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外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

2023年トルコ・イラク・イラン・フランス4か国へなへな旅行記(7)~アルビール2日目前編~

2025-05-22 18:36:59 | イラク

 

中東への旅から帰って早3週間。その間、旅行モードから休養モードにシフトし、「1か月旅先で動き回ったから、疲れをとるために1か月くらい休んでもいい」という謎ルールに従って、以前にもましてだらだらだらだら暮らしていたのだが、さすがにもうそろそろ平常モードに戻るべく、活動時間を増やすべきだという気がしてきた。本格的に暑くなって、また廃人化する前に。でも、暑い日が数日続いた後に一気に気温が下がって、肌寒い日々が来るみたいな今の気候もしんど~い…

 

とにかく、そういうわけで、2023年の旅行記をようやく再開することにした。がんばれ私…

 

今回は、トルコのイスタンブールからイラク北部のクルド人自治区アルビールに到着した翌日の話。アルビールには4泊し、その後スレイマニヤに移動してさらに4泊、そこから陸路でイラン入りした。

 

 

ホテル移動

アルビールに着いた翌朝、目覚めたらエアコンも扇風機も止まっていて、スマホの充電も途中で終わっていた。停電だ。イラクでは毎日長時間の停電があるとニュースで報じられていたが、やはりそうなのだ。しばらくしたら電気が復活して、ふっと扇風機が動き出したが、エアコンは止まったままで(リモコンがない)、Wi-Fiも使えなかった。不吉な…

 

10時頃にホテル探しに出かけた。今のホテルのすぐ近くに「アーザード」というホテルを見かけたので、入ってみる。

 

 

クルド語(ソラニー方言)の「ئازاد」(アーザード)は、ペルシア語「آزاد」からの借用語で、「自由」という意味。グーグル翻訳で日本語に変換したら、「無料」って出てくるけど。きっと英語を経由して和訳する過程で、「ئازاد→free→無料」になっちゃったんだろう。グーグル先生ったら、お茶目なんだから…

 

アーザードホテルのフロント係は、シリア人の青年だった。掃除係はイラン人の男性。入り口付近のソファーでは、イラン人のお客たちがお茶を飲んでいた。イランのクルド人かもしれない。ここは1泊2万5千ディナールで、前日のホテルよりも高めだったが、洋式トイレの部屋があったので、ここに移ることにした。前のホテルに戻って荷物を運びこむ。そのシリア人によると、バザール周辺のホテルは古くて設備が悪いが、○○地区(聞き取れなかった)だったら、同じ値段で新しくて設備のいいホテルに泊まれるらしい。後で考えたら、ちゃんと地区名を聞き直して、そちらで探した方が良かった気がする。

 

それにしても、当時の備忘録(旅日記)を読み返してみると、私はアルビールでのホテル探しの時、やけに洋式トイレにこだわっていたようだ。日本のアパートも和式トイレなのに(水洗だけど)、なぜそんなに地べた式トイレを避けようとしていたのか、我ながらナゾである。

 

移動先のホテルで少し休憩してから出かけ、まずジュース屋でオレンジジュースを飲んで、ビタミンを補給してから、用事をすませることにした。

 

ビタミン補給は重要

 

 

両替屋探し

前日空港のATMでお金が引き出せなかったし、50ドル両替した分は結構使ってしまったので、追加で両替しておくことにした。

 

バザール周辺で両替所を探したが、見当たらない。その辺にいた人に聞いたら、向こうの角のところにあると教えられたが、行ってみたらそれらしい店はない。別の人に聞いても、同じ結果だ。

 

何人かに聞いて回って探した結果、行きついた両替所がこちらでございます。

 

これ屋台やん…

 

私は建物の中に入った両替店を探していたのだが、アルビールのバザール周辺にはそんなものはなく、その代わりに、各国の紙幣が並べられたガラス張りのケースが街角にあって、その後ろに座っている男性に両替してもらうシステムであることが判明した。意表をついて来るわね、アルビール…こんな風に路上でお金を見せている彼らが安全に商売できているわけだから、治安がいいのだろう。

 

何人かにレートを聞いて、そのうちの1人に50ドル両替してもらう。空港の銀行よりずっとレートが良かった。ただし、レートは人によるし、ぼろぼろの紙幣が混ざっていたので、要注意だ。

 

両替できて一安心したら、次はSIMカード探しだ。

 

が、ここまで書いていてエネルギーが尽きたから、それについては、また次回。

 

うう、アルビール2日目の話、一気に書きたかったのに~どうしてこんなに進まないんだろう…

 

 

(おまけの食べ物写真)

先日神田神保町の「はちまき」という天婦羅屋さんで食べた天丼(自慢)

 

 

(続く)

 

 

 

 

 

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2023年トルコ・イラク・イラン・フランス4か国へなへな旅行記(6)~フライバグダードでアルビール入り、ホテルと酒屋探し編~

2025-03-16 20:01:35 | イラク

 

今回は、トルコのイスタンブールからイラク北部のクルド人自治区アルビールに移動した日の話(その前振りはこちら)。

 

夕方16時50分の便に乗る予定だったので、朝はゆっくり10時頃に起きた(おそ)。チェックアウトの時間(11時)の少し前にフロントに行ったら猫がいた。

 

私が猫おばさんだと瞬時に察知したらしい。おりこうさん

 

ぐいぐい来た~(ちゅ~るあげた)

 

 

チェックアウトをしてスーツケースを預け、ホテルに近くにあるSIMとデジカメのバッテリー充電器を買った店に、充電のやり方をもう一度教えてもらいにいったら(ホテルでやってみたら出来なかったので)、前日の店員が教えてくれ、ついでに充電しておいてくれるというので、その間、付近のチャイハネでチャイを飲んだり、シリア人のファーストフード店でチキンシャワルマサンドをテイクアウトしたりした。

 

 

チャイハネのテーブルの周りを巡回する猫さん

 

 

小一時間してから、充電が済んだデジカメを受け取って、ホテルからスーツケースを引きとり、12時半にアクサライのメトロ駅前から空港バスに乗った。一時間足らずでイスタンブール空港に到着。早く着き過ぎた。

 

空港の入口にナザルボンジュウ(魔除け)がある

 

壁画風のかわいい装飾の店

 

 

私が乗るフライバグダードのカウンターは、フロアの一番端っこだった。さすがイラクのLCC、辺境っぽい。いや、イラクは文明発祥の地なんだが。古代文明が栄えた地域で、今大変そうな国って多いよね。

 

チェックインして出国審査をすませ、搭乗ゲート付近で待機しつつ、サンドイッチを食べ、ワインをちびちび飲んだ。ゆうべの飲み残しのワイン(残るように調整して飲んだ)を小さいペットボトルに詰め、100ml以下になるようにして持ち込んだのだ。備えあれば憂いなし。

 

フライバグダードのアルビール行きは、予定通りに離陸した。

 

 

フライバグダードの機体のデザイン、けっこうカッコイイよね

(↑これはネットから拝借した写真)

 

 

窓際の席だった

 

機内は満席に近かったが、私の隣りには誰も座らなかった。外国人枠?

 

聞こえてくる会話で判断するに、他の乗客はクルド人とアラブ人ばかりだったが、1人だけベビーシッターらしきアジア人のヒジャーブを被った女性がいて、家族連れの小さい男の子の世話をしていた。アラブ諸国では、よくインドネシア人やフィリピン人などのアジア人女性が、家政婦やベビーシッターとして住み込みで働いているのだ。虐待のケースも多いと聞くし、そうでなくても、住み込みで働くのは苦労が多そうだ。

 

機内誌

 

読んでみたら、冒頭にフライバグダード社の誕生の経緯や抱負などが書かれていて(民間航空会社、2017年2月営業開始)、イラクが2003年の米軍侵攻に始まる破壊と荒廃から再生して、輝かしい未来に向かって進んで行けるよう、同国初のLCCとして貢献するぞ!という意気込みと自負が感じられた。

 

しかし、旅の準備編でも書いたように、フライバグダードは2024年1月、イラン革命防衛隊および親イラン武装組織を支援したとの名目で米国に制裁を科されてしまい(会社側は全面的に否定しているが)、今は営業を一時停止しているようだ(参考)。米国に制裁を科されると、資産が凍結されたり、クレジットカード決済が出来なくなったりするから、致命傷なのでは…営業再開出来るのか?

 

機内での安全説明

 

 

軽食

 

パサパサの味のないチキンのほぐしたやつとピクルスを挟んだコッペパン、トルコ製のカップケーキ的な袋菓子、アルビール製の甘ったるい桃のジュース、水。カップケーキ以外は美味しくないが、LCCなのに機内食を出してくれるわけだから、文句を言う筋合いでもない。預入荷物も1個25キロまで無料だった。フライトの時間帯もいいし、トルコのLCCペガサス航空よりずっとお得だった。

 

食後のコーヒー

 

 

アルビールには約2時間半後、予定通り19時半頃に到着した。

 

アルビール空港の表示はクルド語(ソラニー方言)がメインで、英語・アラビア語併記

 

入国審査場

 

外国人の列に並んで、係員にパスポートを差し出したら、背後のブースでアライバルビザを買って来なさいと言われたので、戻ってそちらに行く。窓口にパスポートを出して、ビザ料金として用意したドル現金を取り出そうとしていたら、地位の高そうな気配の年配の女性に、ビザの手数料は現金不可で、VISAカードでしか支払えないと告げられる。

 

ええ~ネットで調べた情報では、ビザ料金はドル現金で払うはずだったのに~

 

私がそうぼやいたら、その女性は「去年までは現金で払えたけど、今年はVISAカードのみの取り扱いになったのよ」と説明し、早くVISAカードを出せと言いたげな顔で私を見た。そういうこともあるのか…幸い私のカードはVISAだったので問題はなかったが、マスターだったら入国できなかったかもしれない。運が良かったというべきか。

 

支払いを済まして、ビザのスタンプをしてもらい、再度入国審査の列に並ぶ。入国審査では、どこから来たかとは聞かれたが、アルビールでの滞在先は聞かれなかった。スタンプを押してもらって、あっさり終わり。

 

スーツケースを引き取ってから、2台並んでいたATMのひとつでイラクディナールを引き出そうとしたら、出来なかった。もう1台でも同じ結果だ。

 

ええ~、カード会社にブロックされたの~?イラクの銀行だから?それとも、別のATMだったら引き出せるのか?

 

とりあえず、1つだけあった銀行の窓口で50ドルを両替する。レシート下さいと言ったら、ないと言われた。ああ、イラク…

 

建物から出て、シャトルバスで空港の敷地の入口のチェックポイントと呼ばれるところに移動し、そこから空港タクシーに乗って市内に出た。空港タクシー以外の選択肢はないようだった。ネットで得た情報によると、アルビールの安宿街は旧市街のバザール近辺にあるとのことなので、空港タクシーの係員のおっちゃんにバザール方面に行くと告げると、25ドルだと言われた。高すぎるんじゃないだろうか。ぼられたかと思ったが、おっちゃんが持っていた料金表には、確かにそう書かれていた。

 

空港内のシャトルバスは無料

 

 

運転手の若者に、バザール周辺で安ホテルを探すから、その辺りに行ってほしいと告げたら、彼はグーグルマップを見ながら危なげに運転し、後ろの車にぶつかりそうになったりしつつ、無事にバザールの近くで下ろしてくれた。やれやれ…

 

バザールの周辺には、確かに小規模なホテルが多かった。とりあえず目に付いたところに入って値段を聞いて回り、3軒目の素泊まり1泊2万ディナールのところにした(現在のレートで2300円弱)。シャワー・トイレ、TV、エアコン、扇風機付き、Wi-Fiありだったが、トイレがトルコ式のしゃがんで使ってバケツの水で流すタイプで、紙もカゴもなかった。Wi-Fiもあって無きが如しだ。翌日には別のホテルに移ろうと思い、1泊分のみ払う。

 

この「ズフール・ホテル」(فندق الزهور)ズフール=flowersだから、フラワーホテルね。

 

ベッドがいくつか並んでいた。シングルルームはおそらく存在しない

 

シャワー・トイレルームは、ある意味で潔い空間

 

すでに21時半過ぎだったが、私にはもうひとつ、やらなければならない任務が残っていた。酒屋探しだ。

 

まずホテルの近くの屋台で、夕食用のハンバーガーを買う。

 

ハンバーガーをテイクアウトしてから、近辺を歩いて酒屋を探したが、酒の気配は全くなかった。イスラム圏の国で酒屋の場所を聞くのは、なるべく避けたいのだが、自力では見つけられそうもない。

 

それで、翌日移るためのホテルを探しつつ、そこのフロントで酒屋の場所を聞くという作戦に出た。何軒か聞いて回ったところ、良さげなホテルが1泊2万5千ディナールだったが、今は部屋がふさがってるから、明日また見に来てと言われた。明日の朝また訪れて、空きがなかったら別のホテルを探さねばならない。ざっと回った印象では、バザール近辺には一見安そうなホテルが多いが、実際にはそれほど安くなく、値段の割に設備がひどいようだった。やれやれ…

 

酒屋については、あるホテルで、8km離れたアイカワ地区にしかないと言われたが、別のホテルでも聞いてみたら、さほど遠くないところに一軒あって、フロントにいた若者がいつもそこでビールを買っているということだったので、場所を教えてもらった。歩いていけない距離ではないが、タクシーに乗った方がいい、2千ディナールしかしないと言われ、そうする。アルビールでの移動手段は主にタクシーだと聞いていたが、実際そんな感じだ。

 

若者に言われた通りに、第30ストリートのハワラト(?)モール付近でタクシーを降り、近くのお店の人や通行人に(信心深くなさそうな人相の人を選んで)質問しながら歩き回り、最終的に「文学者クラブ」(نادي الأدباء)の建物に辿り着いた。そこに酒があると近くの商店で言われたのだ。

 

文学者クラブの入口を警備していた軍人(にしか見えなかった)に、「ここでお酒が買えますか?」とおそるおそる聞いてみたら、彼は笑顔になって、「この奥で買えるよ!」と教えてくれた。同志か?

 

奥に進んでみたら、右手に緑の中庭みたいなところがあって、灯りのない薄闇の中で、男たちが飲食していた。これはきっと、居酒屋に違いない。

 

光り輝く空間を目指してさらに奥に進んだら、見覚えのある光景が…

 

おお~酒屋だ~

 

よかった、無事にたどり着けて…疲れているのにがんばって歩き回った甲斐があったというものだわい。

 

一番安いビールを下さいと頼むと(いつになったら逆のセリフが言えるのか)、イラク産の缶ビールが出てきた。1本2千ディナール。ハンバーガーと同じ値段だ(230円弱)、2本買った。

 

このアルビールの「文学者クラブ」でお酒を買いたい同志のために、名刺の写真を載せておこう。我ながら親切だ、ふふっ

(表)「文学者クラブにようこそ」って書いてある

 

(裏)例の中庭の居酒屋(たぶん)の宣伝と住所

ネット上の情報は見当たらなかったので、悪しからず…

 

 

帰りのタクシーを捕まえるのに手こずり、ホテルに戻ったら、もう夜中の12時近かった。ビールとワインの残りを飲んで、寝ることにする。

 

 

イラクビール「REEM」、普通に美味しかった。

 

 

なお、REEM(رِيم リーム)とは、アラビア語→アラビア語の辞書によると、「純白の羚羊(レイヨウ)」(الظَّبْيُ الخالِصُ البياض)だ。イラストでは黒いが。羚羊ビール、かわいいな~

 

エアコンが22度設定で寒かったが、リモコンがなかったので、毛布をかぶって寝た。夜中に停電があって、エアコンが止まったが、乾燥しているせいか、それほど暑くはならなかった。

 

 

(続く)

 

 

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2023年トルコ・イラク・イラン・フランス4か国へなへな旅行記(5)~イラクをめぐる葛藤編~

2025-03-07 18:46:15 | イラク

 

成田からイスタンブールに到着して2泊した後、イラク北部クルド人自治区の主都アルビールに飛んだ。

 

今回はアルビール到着前後の出来事を書くつもりだったが、その前に、私がバグダッドではなくアルビール行きの航空券を取った経緯と、その時の心の葛藤について説明してみたくなったので、そうする。(さあ話が長くなるぞ~)

 

なお、アラビア語でイラクの首都は「بغداد」で、これに近いカナ表記は「バグダード」だが、日本では「バグダッド」と表記されることが多いので、「フライバグダード」のような固有名詞以外は、私はそちらを採用している。また、同国のクルド人自治区の主都アルビールは「エルビル」とも呼ばれるが、私はアラビア語式に「アルビール」(أربيل)と呼んでいる。

 

では、本題に入る。(よっこいしょ~)

 

私はかねてから、イラクを一度は訪れてみたいと思っていたが、治安上の問題のため、ずっと行きそびれていた。しかし、旅の準備編(これ)でも書いたように、近年はかなり治安が安定した状況が続いていたし(地域と時期にもよるが)、日本人はアライバルビザが取れるようになって、事前のビザ申請が不要になったので、行くなら今がチャンスかもしれないと思ったのだ。(*イラクへの渡航は推奨していませんのでね)

 

問題は、どこからどうやって入国するかだ。

 

トルコとイラクは陸続きなので、物理的には陸路で国境越えをするのも可能なわけだが、治安上の不安がつきまとう。「クルド労働者党」(PKK)を警戒して展開しているトルコの治安部隊に拘束されるかもしれないし(私は単なる観光客なんだが、一見正体不明で挙動不審だから怪しまれそう)、トルコ軍はイラクのクルド人自治区北部の山岳地帯での対PKK作戦を続けていて、空爆することも少なくないから(PKKのオジャラン指導者が組織の解散と非武装化を呼びかける前の話)、そちらも不安材料だった。山岳地帯での軍事作戦に旅行者が巻き込まれる確率は低いだろうが、ゼロではないだろう。そういった地域情勢を鑑み、陸路は排除して空路で入ることに決めた。

 

 

目の休憩のためのお花写真(イスタンブール・アクサライ)

 

 

空路でトルコからイラクに入る場合、イスタンブールからなるべく安くLCCで移動しようとすると、入国地はバグダッドかアルビールの二択となる。そのどちらを選ぶか。

 

私は、アッバース朝の首都で当時の文化の中心地だったバグダッドに漠然と憧れていたので、どうせイラクに行くなら、バグダッドを見てみたかった。言語的にも、住民の日常会話がクルド語のアルビールよりも、アラビア語イラク方言のバグダッドの方が勉強になると思った。

 

しかし、旅に出ようと思いついた時期が遅かったため、イラク入りは6月中旬になる予定だった。その時期、バグダッドの最高気温はすでに40度を超えていると予測された。私のような体の弱いおばちゃんがうっかり外を出歩いたら、熱中症で倒れるかもしれない。それに、イラクは長時間の停電が毎日ある国なので、安ホテルに泊まったら、室内にいても熱中症になるかもしれない。バグダッドで熱中症になって病院送りになったら、コロナ最盛期の日本でベンチ飲み中に熱中症で倒れて救急搬送される以上にマズい事態になることは、容易に推測できた。

 

6月上旬は、アルビールも似たような気温なのだが、そちらは外務省の危険レベルが2(不要不急の渡航中止)と低めで、日本のNPOなども活動しているので、熱中症で倒れても、なんとかなりそうな気がした。

 

また、イラクのクルド人自治区では合法的に酒が飲めるが、イラクのその他の地域では、中央政府が禁酒令を出しているため、飲めない可能性があったことも不安材料だった。ネットでの情報を見る限り、自治区外でも酒類を買うことは可能なようだったが、私は外国での違法行為は避けたいタイプだ(日本でも違法行為はもちろんダメですがね)。しかし、イラクの後に禁酒国イランに行くのに、イラクでも飲めなかったら、長期間の禁酒のため禁断症状が出て、心身に不調をきたすかもしれない。アル中ですもの…

 

アルビールから入って、様子を見ていけそうだと思ったら、バグダッドに移動することも考えたが、良く調べてみると、イラクの入国地がアルビールだと、バグダッドには行けないのだ。なぜかと言うと、アルビール到着時に取得できるアライバルビザは、イラクのクルド人自治区内でのみ有効で、このビザで自治区から出るのは違法だから。バグダッド到着時に取得できるアライバルビザの方は、イラク全域で有効なのに。イラク中央政府のクルド人自治区に対するいやがらせかしら…中東地域にはこういう「見えない壁」的な行き止まりポイントがけっこう多いので、要注意だ。

 

こういったことをくちゃくちゃ考えた結果、無難にアルビールからイラクに入国することにしたが(ゆうてもイラクやけどね)、私はハイレベルの優柔不断なので、フライトチケットを購入した後もバグダッドへの未練が絶ち切れず、行先を変更するかどうか、直前まで迷っていた。フライトの変更はやったことがなくてめんどくさそうだから、結局やらなかったが。

 

イスタンブール発アルビール行きの便は、イラクのLCC、フライバグダードを選んだが、それは、イラクにまともな時間に到着するLCCがここしかなかったからだ。トルコのLCCのペガサス航空やAジェットなども価格帯は同じだが、夜中に到着する便しかないのだ。一方、フライバグダードはイスタンブール16時50分発、アルビール19時25分着だった。ネットで評判を見る限り、特に問題のない航空会社に思えたので、ここに決める。

 

旅の準備編に書いたように、フライバグダードのチケットは、カード会社の一時的なブロックを乗り越え、航空会社のHPから無事購入できた。この航空会社はその後、米国の制裁対象となったから、今は予約が非常に難しいかもしれないが。

 

このようにして、私はクルド人自治区のアルビールをイラクの入国地に選び、フライバグダードのチケットを購入するに至ったわけだが、その時の複雑な心の動きがおわかりいただけただろうか…?

 

これはイラク入国編の前書きで、この後イスタンブールからアルビールに移動した時のことについて書くつもりだったが、長くなっちゃったからそれは次回にする。一昨年の旅行記なのに、なかなか書き進めないが、気長にお待ちいただけたら幸いだ。

 

よろしく~

 

 

なお、外務省の海外安全HPのイラクの地図は以下の通り(これを書いた時点のもの)

 

 

(昨今の中東情勢はますます不安定で先が読めなくなっているが、私が旅をした時点でも、情勢が急展開して危険が高まる可能性は存在したので、現地メディアのニュースをチェックするなどして、日々情報を収集していた)

 

 

(続く)

 

 

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