外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

日付不明まとめ書き日記 2013年4月

2013-04-26 17:18:03 | ヨルダン(猫中心)



4月某日
職場の水道から水が出ない。
水がないとトイレが使えないし、コーヒーを淹れるためにミネラルウォーターを買ってこないといけないので、いくぶん不便で不経済である。

4月某日
今日も職場は断水中である。
同じビルに新しくオープンする予定のレストランが、うちのオフィスのタンクの水を横取りしたのがその原因だということが判明する。
非常にアラブっぽい水争いである。

4月某日
職場の水は出るようになったが、今度は自宅の水が出ない。
言うまでもないかもしれないが、自宅の水が出ないのは、職場の水が出ないよりずっと不便である。

ヨルダンは水不足なので、水道水は週1回、数時間しか流れない(地区や都市にもよるが)。
うちのアパートの場合は水曜日の夜中1時に水が流れ出し、午後6時ごろに終了するらしい。
それ以降、次の給水までタンクに溜めた水を使うので、使いすぎたら足りなくなるから要注意なのだ。

こういったことを大家さんや職場の先輩たちに教えてもらい、しんみりした気分になる。

4月某日
いまフランス文化センターで週2回、アラビア語ヨルダン方言の授業を受けている。
今日ヨルダン人の先生に、「君は僕が知っているほかの日本人と違う、ヨーロッパ人っぽい」と言われたが、それは私が毎回遅刻することへのイヤミだろうか?と当惑する。

4月某日
仕事から帰ってきたら、アパート前のスペースに座っていた大家さんが、お嫁さんが手作りしたというアラーイスをおすそ分けしてくれた。
アラーイスというのはヨルダンの軽食で、薄いパンの間に具(羊肉ミンチにタマネギ、トマト、パセリのみじん切りが混ぜてある)を挟んで焼いたものである。
パンまで手作りでカリッと香ばしく、具がジューシーで非常に美味しいアラーイスであった。
今まで食べた中で間違いなくナンバーワンだ。


アラーイス



4月某日
また大家さんに、お嫁さんの手料理をいただく。
前回アラーイスを褒めちぎったのが功を奏したのか、一人暮らしの外国人の私に色んなアラブ料理を食べさせてあげよう、と思ってくれているようだ。
やはりここのアパートを借りたのは正解だった・・・。
今回の料理はインゲンに似た豆と羊肉のヨーグルト煮で、細いパスタを入れて炊いたアラブご飯にかけて食べる。
塩味と羊肉のダシが効いたヨーグルトのスープが実に味わい深かった。
やはりアラブ料理は家庭の手作りが一番やね!と思う反面、ここのお嫁さんは家事に追われて大変だろうな、と内心同情する。

4月某日
冷凍庫に氷柱が立っているのに気づき、ぽきっと折る。
うちの冷凍庫はツンドラ地帯なのだ。
しばらく前に入れた冷凍オクラの袋は、氷に埋もれかかっている。
そのうち取り出せなくなると予測されるので、早めに使い切らなくては。
ちなみに冷蔵庫本体も冷却力がハンパじゃない。
一番強いつまみにすると牛乳も野菜もヨーグルトも、入れたものはすべて凍ってしまうのを、経験上私は知っている。
もしやこの冷蔵庫の片隅には、雪女(親指姫サイズ)が隠れているのでは?

4月某日
今日は職場でも家でもインターネットが使えなかった。
社長が知り合いに電話をかけて情報収集した結果、会社が使っている(そして私が個人でも使っている)オレンジという、ヨルダンで2番目の大手の会社のネットが、全国的に接続不能になっていることが判明。
ネットが使えなければ仕事にならないので、「今日は仕事はやめてピクニックに行きましょう」と提案したが、社長に却下され、その代わりにオフィスの模様替えをする羽目になる。

4月某日
今日はネットが復活している。
新聞の記事によると、ネットが前日繋がらなかったのは、何者かが接続用のケーブルを破壊したからだそうだ。
このため、ロイヤルヨルダン航空の飛行機などもストップしてしまったんだそうだ。
ネットケーブルが破壊されたこと自体よりも、使用不能になった場合の非常用予備回路などがなく、国家規模で丸1日ストップしてしまう、という事態のほうが問題なのではなかろうか。

4月某日
生理が始まった。
ナプキンのストックが少ないので、買い足そうとスーパーへ行く。
棚には数種類のナプキンが並んでいる。
トルコ製のものは質が良いが(トルコで買ったことのあるブランドなので知っている)が、少々高い。
サウジアラビア製は安いわりに良さそうだ。
全体的に、薄型・高吸収シートのものは、分厚くてかさばる座布団タイプのやつより割高だ。
これは日本のマーケットと同じである。
ひとしきり思案した末、最終的に一番安いヨルダン製の商品を購入することに決定する。
その名も「シンデレラ」、安いからもちろん座布団タイプだが、一応カモマイルの香り付きで、外袋もメルヘンな黄色いお花柄である。
使ってみたら、あんまり血液を吸収してくれなかった。
さすがヨルダン製、見事な低品質ぶりだ、と感心する。

4月某日
ダウンタウンで買い物をして、アンマン山の自宅へ向かっている途中、道端に座っていた男の子2人(10歳前後)に声をかけられる。
「どこ行くの?送ってあげようか~?」
みると、2人の足元に自転車が横たわっている。
これで送ってくれるということらしい。
もしやこれは、ナンパの一種?
もちろん遠慮させていただいて、そそくさと通り過ぎると、後ろから彼らの声が追い討ちをかける。
「恥ずかしがってるの?遠慮しなくていいよ!」

水がなくなったり、ネットが繋がらなかったり、最高に美味しいアラーイスを食べたり、子供にナンパ(?)されたりと、私のヨルダン生活は次第に軌道に乗りつつあるのだろうか・・・?


ダウンタウンのスーク周辺のお店の猫おじさん。猫の名前はラーナ
コメント (2)
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アンマンの反政府デモ(4月19日金曜日)

2013-04-20 20:25:11 | ヨルダン(猫中心)


昨日の金曜日、イスラーム行動党(ムスリム同胞団の政党)主催の反政府デモを見に行った。

私の愛読するヨルダンの地元紙アッサビール(私の知る限り、読むに値するヨルダンの新聞はこの1紙だけ)に、金曜日のお昼の集団礼拝のあと、アル・フセインモスク前の広場から大規模な反政府デモが出発する、と書いてあったのだ。

先週の金曜日、ヨルダン北部の都市イルビッドで行われた反政府デモ(これもイスラーム行動党主催)で、治安部隊の催涙ガスによる弾圧と、デモ参加者と王政擁護派等の衝突が発生して、11人の負傷者がでる事件があった。負傷者の中には、同胞団北部のリーダー格の人物もひとり含まれるという。
またその数日後、同じくイルビッドでイスラーム系の学校への放火事件も発生している。

平和的な反政府デモへの弾圧や、王政擁護派による暴力行為に対する、治安部隊の暗黙の容認への抗議行動として、今回のデモは大々的に行われると予想された。

イルビッドでは以前もこのような衝突があったが、アンマンのデモは私の知る限り平和的に終始するのが常であった。
警官たちは弾圧どころか、何事も起こらないように温和にデモ参加者を見守っている、という風情である。もちろん写真も撮り放題だ。

デモ当日の金曜日、私が起きたのは昼の12時だった。
休日なので朝寝坊なのだ。平日だってせいぜい9時おきだが・・・。
急いで支度をして家を出て、約40分かけて徒歩でアンマン山を降り、ダウンタウンへ向かう。
金曜日のお昼の礼拝前後は路上に人気が少なく、乗合タクシーなども走っていないからだ。

アル・フセインモスク前の広場に着いたときは、もう1時半近かった。
集団礼拝はもう終わっていて、デモが始まったところだ。
デモの中心となる移動ステージ(トラックの荷台に櫓を組んである)では、同胞団の指導者らしき人たちがマイクを握って演説を行っている。
その合間にイスラームのタクビール(アッラーは偉大だ、と唱えること)や、スローガンを参加者全員で叫んで、喝を入れている。

今回のデモの特徴は、今までのような「政府」や「内閣」への改革要求ではなく、イルビッドでの事件を含むヨルダン国家の現状の責任者として、現国王のアブドッラー2世を名指しで非難し、迅速な改革推進を要求した点だと思う。
アブドッラー2世に対する改革要求は、「すぐに改革をやらなかったら、どうなるか覚悟しとけよ!」的な警告とともになされていた。
そう言う意味で、ヨルダンの反政府運動はじわじわと佳境に入りつつある、と言えるのではないだろうか。

デモ行進の最前列には、赤と白のカフィーヤをかぶった威勢の良い若者たちが並んでいた。そのあとに年配の人々が続く。
全体で千人を超えていたと思う。数えてないけど・・・。
行列の周囲には、警官たちがずらりと並んでいた。
彼らは互いに手をつないで人の輪を作り、デモが行われているキングタラール通りと、その両側の歩道を隔てるヒューマンシールドとして機能しているのだ。
いつもの如く警官たちはリラックスした風情で、談笑しながら働いていた。
アンマンのデモならではの平和な光景だ。

演説やスローガンは前代未聞の激しい内容だったが、それを別にすれば、デモはいつもどおりゆっくりと平和的に進行していった。
私も道端で売られているひよこやアヒルに気を取られたり、ジュース売りのおじさんからタマルヒンディーのジュースを買って飲んだりしながら、散歩気分でのんびり歩いた。

スーク周辺を歩いているとき、ある若者が近づいてきて、私にタマネギを1個差し出した。
戸惑っていると、「これほしい?催涙ガス弾だよ。あげるから投げたらどう?」と、彼は笑いながら説明した。
そりゃタマネギだから、催涙ガスには違いないけどさ。
そういう冗談は洒落にならんからやめてほしいんよね~。

なかなか進まないデモ隊を先回りして、デモの終結地点の広場に行ったら、そこには防弾チョッキを着て、透明なシールドを構えた治安部隊のみなさんが大勢待機していた。
彼らはデモ開始当初から、ずっとここに立っていたに違いない。ご苦労なことである。
私も広場周辺の隅っこに立ち、移動ステージの到着を待ったが、いつまでたってもやってこない。
広場の数十メートル前で動きを止め、延々と演説をしたり、みんなで歌を歌ったりしているのだ。

風が強くなって、寒くなったからもう帰ろうかなと思っていた矢先、突然雨が降りだした。
ほかの見物人や警察やジャーナリストたちと一緒に、屋根のあるところに移動して雨宿りする。
雨は止む気配がなく、むしろ激しくなってきたので、最終的にデモはおひらきになった。
参加者たちは急ぎ足で散り散りに去っていき、ステージカーも櫓をたたんでどこかに走り去っていった。
治安部隊もバスに乗り込んで帰っていく。
時刻は3時半。デモ開始から2時間ほど経過していた。
ちなみにアル・フセインモスク前広場からデモ終点の広場までは、徒歩10分程度である。

雨のせいで解散なんて、勢いよく始まったわりにしょんぼりした終わり方である。
だからあんなにダラダラ立ち止まったりせんと、テキパキ進んで1時間くらいで終了すればよかったのに~、そしたら雨が降る前に帰れたのに~!
と心の中でぼやきながら、私も家路に向かった。

ともあれ、今回もアンマンのデモは何事もなく終わりました。
めでたし、めでたし。


赤と白のカフィーヤをかぶった若者たち



手をつなぐ警官たち



赤いベレー帽の一団もいた



道端のアヒル



路上で食事をする人たち



伝統的な衣装を身につけた、タマル・ヒンディーのジュースの売り子さん



タマル・ヒンディーのジュース。美味しかった



デモ終点で待機する治安部隊



雨が降って、デモはおひらき



道端でコシャリ(エジプトの料理)を食べてから帰りました。本場の味で美味しかったよ。


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虫のいる暮らし

2013-04-19 21:39:47 | ヨルダン(猫中心)


おとついめずらしく一日中雨が降ったと思ったら、夜台所にナメクジが出た。
長さ3cm、幅最大1cmくらいある立派なやつである。
ヨルダンのような乾燥した国にはナメクジなどいないと思って、すっかり油断していたので、大変驚いた。
無用な殺生はしたくないので、外に出してあげようかと思ったが、遅い時間に外に出るのは億劫だ。
結局そのまま放置して寝たら、朝にはいなくなっていた。

うちのアパートは半地下なので、かなりジメジメしているのだが、そうでなくても一般的に、ヨルダンの建物は湿気がこもりがちな気がする。
この国に来た当初泊まっていたホテルも水はけが悪かったし、2週間前から働いている、ビルの5階にある旅行会社のオフィスも通気性が良くないのだ。

うちに出るのはもちろんナメクジだけではない。

一番よく見かけるのは、ダンゴムシである。
触るとクルッと身体を丸める、あのダンゴムシのことだ。
どうもやつらは風呂場の排水口から出てくるらしい。
初めの頃は、あの暗灰色の蛇腹っぽい陰気な虫が、家中をしずしずと這い回るのに当惑したものだが、今ではもうすっかり慣れてしまった。
特に害があるわけじゃないので、気にする必要もないのだ。
ただ、床に転がったダンゴムシの死骸をうっかり踏んづけてしまったときの、あの「グシャッ」という感触にはなかなか慣れないでいる。
ダンゴムシという生き物は、どうしてわざわざ苦労して排水口を這い上がってきて、うちの片隅でまるまって死ななきゃいけないのか?

先日は風呂場にゴキブリが出た。
ライトブラウンの小さいやつだ。
さほど敏捷ではなかったので、殺そうと思えば殺せたのだが、面倒なので放っておいたらいつのまにか姿を消していた。
その翌日、薬局でゴキブリ退治用の殺虫剤を買い求めた。
パウダータイプで、ゴキブリの通り道に振り撒いて使うものらしい。
容器には、「床を掃除するたびに撒きなおすこと」との注意書きが付いている。
こんな黄色い粉末を床に散布したら、次の瞬間に掃除したくなるような気がするのだが、どうだろうか。
せっかく買ったので、一応排水口の中にふりふりと振りかけてみたのだが、効果のほどは定かではない。
やはりゴキブリ対策としては、日本のゴキブリ団子が一番優れている気がする。
誰かゴキブリ団子をヨルダンに輸出してくれないだろうか?

気温が上がったせいで、最近は蚊も目立つようになった。
どうも夏が近づくにつれて、出現する虫の種類が増えてきた気がする。
ああ、夏が来るのがなんだかコワイ・・・



うちのアパートに入りこんで、この記事を書いている間ソファーでくつろぎ、帰ろうとしなかった猫

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桜猫

2013-04-05 23:10:09 | 


富士に月見草が似合うように、猫には桜がよく似合う。


今回は桜猫特集ってことで、日本に住んでいる妹が撮った桜と猫の写真を載せます。
写真自体が素敵なので説明は必要ないわよねってことで、文章なしです。
うふふ、楽~。
















最後に雀と桜のも1枚


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アンマンのテーマソング

2013-04-05 16:50:43 | ヨルダン(猫中心)


私にとって、アンマン暮らしのテーマソングはガス売りの音楽だ。

これはつまり、プロパンガスのボンベをぎっしり積んだ小型トラックが、街を巡回して販売するときに鳴らす音楽である。
アンマンの街を歩いていると、このガス売りのトラックをしょっちゅう見かけることになる。
そしてどのトラックもなぜか同じ音楽を流しながら、ゆるゆると走っているのだ。
朝早くから日暮れ頃まで一日に何回も聞くので、あのメランコリックなメロディーはもう脳みそに染み込んでしまった気がする。

この曲はインストゥルメンタルで、歌詞がない。
しんみりと物悲しいメロディーが、口笛を思わせる音色で演奏されている。
ボリュームも小さめで、日本の竿竹屋やちり紙交換みたいな押し付けがましさがないところが気に入っている。
これを聞いていると、私の想像力は勝手に働き始めるのだ。

「年をとった乗合タクシーの運転手がひとりごとを言っている。

今朝もあいつ(妻)は機嫌が悪かった。
朝ごはんも出してくれなかった。
俺が何をしたと言うんだろう。
昨日の夕飯の野菜スープが塩辛すぎると文句を言ったのを、根に持っているのか。
ホントのことを言っただけなのに。
ああ、腹が減って何をする気もしない。
仕事は嫌いじゃないけど、毎日同じ道を走るのはもううんざりだ。
ガソリンの値段も高すぎる。
今日はこんなに美しい天気なのに、俺はロバのように働きっぱなし。
子供の頃はよかったなあ。
毎日サッカーだけしてればよかった。
母親も父親も、いつも優しかった。
ああ、あの頃に戻りたい・・・」

ガス屋のテーマソングに歌詞を付けるとしたら、こういう内容になるんじゃないかと、私は思うのだ。


ところで話は変わるが、今は猫の恋の季節らしい。
うちの周辺の猫たちが、ナーオ、アーオと四六時中騒いでいる。
思うんだけど、どうして猫は戦わずに恋愛行為をまっとうすることができないのか?
いっつも喧嘩しながらやるけど、あれはなんでだろう?
他の動物はどうなんでしょうね。


猫と靴


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