先日、アンマン随一のお洒落通りと名高い、レインボー・ストリートにあるKnKの事務所に突然おじゃました。
KnKはヨルダンで活動するNPOのひとつで、正式名は「国境なき子供たち」という。
「世界の恵まれない青少年の支援」がその主要活動テーマのひとつらしい。
ここで最近までシリア人の友人が働いていたり、ダマスカスの留学生仲間が数年前インターンをしていたこともあって、以前から時々耳にする名前だった。
レインボー・ストリートはうちから徒歩圏内だし(うちの周辺はお洒落とは無縁だが)、ちょっと事務所に顔を出して、通訳のバイトやボランティアの募集がないか聞いてみようと思いついたのだ。
事務所にはヨルダン人スタッフ数人に混じって、とても親切な日本人の女性スタッフが一人いた。
彼女は日本で採用されたそうで、現地でのアルバイトやスタッフの採用はあまり前例がないとのことだった。
それはさておき、とりあえずその日行われる子供たちの活動を見学させてもらうことになった。
活動は事務所近くの「首都青少年センター」(青少年・スポーツ省管轄)というところで行われていた。
アンマン各地の子供たちが、学校が終わってから専用バスでここに運ばれてきて、いろんなレッスンに参加するのだ。
日本でいうと、公民館での子供向け講座がやや近いだろうか。
子供たちの年齢は8歳から18歳で、「この年齢のアンマン在住の子供なら誰でも受け入れる」のが前提だが、そのほとんどはアラブ人(ヨルダン人、パレスチナ人、イラク人、シリア人、スーダン人など)の子供だそうだ。
男女は別クラスで、男の子のレッスン日と女の子のレッスン日は違う。
男女同席せず、というのがアラブの基本ですもんね。
その日は男の子の日だった。
クラス内容は演劇、小物作り、ギター演奏、英語、ストーリーライティング、コミュニティー運営に関するワークショップ、それにサッカー。
全部見学するため数分ずつ小刻みに教室を移動したが、最後に見に行ったサッカーの試合はもう終了したあとだったので、記念撮影だけさせてもらった。
写真を撮らせてくれと頼んだわけではないのだが、見学者の私を見て、先生が有無を言わせず生徒を集めてポーズを取らせ、ちゃんとボールを取ってきて前方に配置するという、完璧な記念撮影体制に突入したので、撮らないわけにはいかなかったのだ。
いや、ありがたいですけどね。
演劇のクラスでは、シリア政府の監獄での拷問をテーマにした劇の練習をやっていたが、これがかなりリアルで恐ろしかった。
目隠しをされた囚人役の子供を、拷問者役の子供たちがこづきまわし、「白状しないと指を一本ずつ切り落とすぞ!」などと迫るんだもん。
次の小物作りのクラスは対照的に和やかで、幼い子供たちが先生に手伝ってもらいながら、イヤリングとかブローチとか、毛糸で作る小物(用途は不明)を楽しそうに作っていた。
そばにいた子に、「これガールフレンドにプレゼントするの?」と聞いてみたら、「うん、うん」と適当に流されてしまった。
ホントはお母さんにあげるに違いない。
とにかくどの授業でも子供たちが真剣に、なおかつ非常に楽しそうにいそいそと活動していたのが印象に残った。
学校の授業と違って体を動かしたり、手作業したり、グループ討論したりして、全員が能動的に参加できるのがポイントなんだと思う。
居眠りしてる暇はなさそうだ。
案内してくれた日本人スタッフの方の話では、このプログラムは開始からもう3年目で、いずれは現地の人々に運営を引き継いでゆくことになっているから、運営や管理の人材育成なども行っているそうだ。
ご苦労さまです。
私のやる仕事はなさそうだったけど、可愛い男の子がいっぱい見られてラッキーだったわ!
というのが見学後の私の中年女性的な感想である。
それにしても気になるのは「KnK」という名称だ。
これは「Kokkyo naki Kodomotachi」の略らしいが、どういう経緯でNを小文字にすると決めたのだろう。
「naki」が名詞じゃないからだろうか。
それとも他に同名の団体があって、区別するためにこうしたのだろうか。
ホームページの「よくある質問」の項目に目を通してみたが、そんな質問は載っていなかった。
こんなことがいちいち気になるのは私だけなのかもしれない・・・。
首都青少年センター
演劇クラス
小物作りのクラス
ギターレッスン
英語レッスン
ストーリーライティングの授業
コミュニティー運営ワークショップ
サッカーチーム記念撮影
KnKのホームページ
http://www.knk.or.jp/index.html