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固いこと柔らかいことそのとき

内部被曝 : 線量基準の不確かさ

2011-04-09 11:41:00 | Electric power supply

内部被爆に関するテキストを探していたらGoogleブックスが研究者のまとめをひっぱってくれました。
(ポテンシャルとか1つ用語があると欲しい内容に近づくもんすね)
全部掲載されてなくてもいいことあります(^^

佐渡敏彦/福島昭治/甲斐倫明 編著「放射線および環境化学物質による発ガン」

ざっと読んだところのメモ
(p.114)
内部被ばくの線量は、外部被ばく線量と異なって、線量推定には体内摂取量や体内動態など多くのパラメータが必要である。また、発がんのような健康影響に直接結びついている線量がどれなのか、すなわち線量の積分範囲をどこまでとればよいのかについては明確な基準はない。そのために、内部被ばくに伴う線量の不確かさは大きく、一般に、外部被ばくに比べると線量反応関係の不確かさが大きい。(中略)また、同じ線量であっても、内部被ばくの発がんリスクが外部被ばくである原爆関係者と比べても顕著な違いは観察されていない。例えば、放射性ヨウ素の内部被ばくであるチェルノブイリの甲状腺がんとガンマ線の外部被ばくが主たる被ばくである原爆被爆者と比べても顕著な違いは観察されていない。

(p.124)
低線量被ばくによる発がんが確率的影響であり、遅発性影響であることから容易に推察できるように、そのリスクを定量的に明らかにするための動物実験は厳密な実験動物管理の下に行わなければならず、多くの労力と長い時間を必要とする。(中略)内部被ばく動物実験の結果から求められた臓器・組織線量あたりの発がんリスク係数は実験により大きく異なり、その値は幅広い分布を示す。そこには多くの要因が関与していると考えられるが、本章「3.1序論」で述べた線量評価の複雑性が最大の原因であろうと考えられる。(中略)
ICRPは過去に組織の線量当量(H)の算出に、

 H=D x Q x N (D:吸収線量、Q:線質係数、N:その他の修正係数)

の式を用いることを提案し、Nについては適切な情報がないことから1を用いるとしたことがある。
現在はNを用いる考えはとられてないが、核種によってあるいは曝露の様態によってリスクが体外被ばくによるそれと大きく異なるようであれば、Nを復活させるのもひとつの考え方であろう。
その場合には、Nに科学的根拠を与えるための実験研究が重要となろう。


その前にラジカルって?放射線によるDNA障害って?という基本はここがわかりよいでした

等価線量と実効線量の違いはここ


低線量内部被曝の脅威―原子炉周辺の健康破壊と疫学的立証の記録

2011-04-06 06:19:16 | Electric power supply

本屋でこんな本(amazonリンク)を見かけました
リンク先での内容紹介引用
 ↓
本書は、1950年以来の公式資料を使って、全米3000余の郡のうち、核施設に近い約1300郡に住む女性の乳がん死亡リスクが極めて高いことを立証して、レイチェル・カーソンの予見を裏付ける。

レイチェル・カーソンの予見とは「沈黙の春」(1962)で化学薬品の危険性と並んで、放射能の深刻な危険にも触れ、「人類全体を考えたときに、はるかに大切な財産は遺伝子であり、それによって、我々は過去と未来とつながっている。これがいまでは人工的に遺伝がゆがめられている。まさに、現代の脅威といっていい。私たちの文明をおびやかす最後にして最大の危険なのである。ここで化学薬品と放射能が肩をならべあう。放射能をあびた生物の細胞はさまざまな障害をうける。何年かたつうちに癌細胞にかわる。」を指している。

このような文脈は反原発立場と原発推進立場のどちらでの扱いでも過敏すぎたり軽視されすてたりですが、低線量は短期的に問題なくても長期的には遺伝子の異常の問題があることが統計的に認知されてきたのはつい最近のことと大前さんも言われてましたし、原因はまだよくわからないことなのでしょう。(現段階で科学的に因果関係が立証されていないイコール「因果関係がない」ではありません)

ヨウ素131が半減期いくつだとか小さい子ならこの程度まで見れば十分安全というラインが定められてはいますが、まだまだ動く可能性はあるなと…統計的な資料から判断している要素が強いでしょうから…そんなことを思います。