クロイスターズとメトロポリタン美術館のはしごで疲れたメガヒヨ、
19:30からのアナスタシアの開演に備えて、ちょっとだけとホテルの部屋で横になった。
そして気が付いたときには既に19:00すぎ(!!)
ちなみにホテルは57丁目。アナスタシアが上演されるBroadhurst劇場は44丁目であった…。
本当に切羽つまったときには瞬間移動でも使えるのだろうか。
すごい人混みで信号だって少なくとも15か所はあったはずなのに、無心で劇場に向かったせいか間に合ってしまった(笑)
5月2日火曜日19:30 Broadhurst Theatre
オーケストラE6(上手通路から3つ目)
レギュラープライス $142.00(事前に専用サイトで購入。手数料別)
この席、位置的にはかなり良かったのだけど、前列斜め前に縦にも横にも大きな女性がいらしており、視界が大幅に遮られてしまった。
こればっかりは本当に運。まぁ寝坊して無事間に合ったのだからプラマイゼロとしよう。
...
Anastasia(Anya)...Christy Altomare
Dmitry...Derek Klena
Vlad...John Bolton
Gleb...Ramin Karimloo
Countess Lily...Carikube O'Connor
Prince Siegfried in Swan Lake...Kyle Brown
Dowager Empress...Mary Beth Peil
あらすじ
時は1906年。ロシアロマノフ帝第四皇女の7歳のアナスタシアは、パリに旅立つ祖母マリア皇太后より美しいオルゴールボックスをもらい受ける。
その後美しく成長した18歳の彼女に悲劇が襲い掛かる。ロシア革命の勃発である。
奇跡的にも一族のなかで一人だけ密かに生き残るが、その記憶は失われてしまった。
それから10年後の1928年。サン・ペトロブルグの街は死んだはずのアナスタシア姫が生きているという噂で持ち切りになっていた。
彼女を見つけ出せば、パリに住む皇太后から多大な報奨金が支払われるという。
若い詐欺師ドゥミトリーは元宮廷の召使だったヴラドを相棒にし、アナスタシアの偽物を仕立て上げて一儲けしようと企む。
…とここまで書いたけど、ART CONSUTANTさまのサイトhttp://artconsultant.yokohama/musical-anastasia2/がとても詳しく正確に書かれているので、そちらを読まれることを是非おすすめしたい。
このミュージカルは1997年公開の同タイトルのアニメ映画を基本としており、主題歌・基本的な筋はそのまま踏襲している。
しかしアニメで悪役であった怪僧ラスプーチンの存在がカットされて、ボルシェビキ(共産主義者)が敵役に置き換わっている。
日本でもおなじみ、Ramin Karimlooさんはその将校役。
しかし…。この将校のキャラクターがなんか中途半端。
楽曲がRaminさんの熱唱もあって素晴らしい分、ストーリー上の人物像の肉付けが甘さが目立ってしまうのだ。
ネタバレしちゃうけど、
「アーニャ、死んでもらうぞ!!」
アナスタシア (`・ω・´) キリッ
「くっオレには出来ない…orz」てな感じ。
これだったらRaminさんには映画通りにラスプーチンの役でもやってもらったら良かったかも。
In the dark of the nightとか映画には聴きごたえのあるナンバーがあったからね。
(なお既にRaminさんはこのショーを降板しています。2018年4月現在この役はMax Von Essenさんが演じています。)
ステージドアでのRaminさん。Fanにとても丁寧に接して下さっていた。ありがたや。
そうそう。タイトルロールのアナスタシア、Christy Altomareさん。
彼女はとにかく可憐で、アニメよりはるかに魅力的なプリンセスだった。
アナスタシアは7歳、18歳、28歳とそれぞれ別の女優さんが演じている。
18歳と28歳なんてそんなに違わないんだけど、テレビとは違って同時に舞台に出てこないといけないからね。
設定年齢30歳の相手役のドゥミトリーを演じるDerek Klenaさんは若干26歳。
歌よし、背が高い、顔ハンサム、学生時代からのガールフレンドと婚約する誠実ぶりなどなどBroadwayのおとぎ話のような彼。
(なおDerekさんもこのショーを降板しています。2018年4月現在この役はZach Adkinsさんが演じています。)
他に印象に残ったキャストといえば、ヴラドを演じるJohn Boltonさん。
My Fair Ladyで例えるとピッカリング大佐みたいな立ち位置で、アーニャの教育にあたる。
もともと二枚目の方だと思うのだけど、この役のために体型改造したのかな? 恰幅の良さは映画そのままだった。
皇太后の侍女でありヴラドの元恋人のリリー役のCaroline O'Connorさんも素晴らしかった。
ベテラン役者二人のおかげでショーがさらに引き締まった感じ。
歌やダンスで活躍というわけではないのだけど、アナスタシアの母であり皇后役のLauren Blackmanさんも存在感があった。
四姉妹の姫役女優がみんな小柄な方の中、一人だけモデル体型。
皇后のドレスは純白に輝きラインストーンがちりばめられて、客席から見て目がくらむ程。あれは誰で着こなせるものではない。
登場するたびに彼女に目が行ってしまった。
衣装も豪華だけど、セットもプロジェクトマッピングを使っている。
このハイテクも使い方を一歩間違えると浮いてしまうのだが、この作品についてはセンス良く取り入れられている。
まずはボルシェビキ本部の窓の雪景色で観客の目を慣らした後、大きい映像を映し出している。
そして機関車のシーン、一幕最後の♪Journey to the pastの頃にはまったく違和感がなく、景色を楽しめているのだ。
これは♪Once upon in Decemberのナンバーのシーン。
プロジェクトマッピングのおかげで亡くなったひとたちが幻想的に舞うのがよく表現できている。
そうそう。姫役の女優さん達に対し、貴公子役の俳優さんたちはみな高身長。
リフト多用でダンスも見ごたえあり。
劇中劇でバレエの白鳥の湖が披露されるのだけど、姫役の方は全員バレリーナとして登場するよ。
超ダイジェスト版ながら、小さい白鳥のダンスも有り。
全員バレエスキル有りの姫役女優の中でも、オデット役のAllison Walshさんはバレエ団出身。
アナスタシア降板後は『パリのアメリカ人』ツアー版でリザ役を演じるほどの腕前。
貴公子役の俳優さんからも二人がジークフリート王子とロットバルト役で登場するよ。
そのジークフリート王子役がメガヒヨが数年前から注目しているKyle Brownくん!!
『Priscilla』ではポワントで舞い、『パリのアメリカ人』ではヒロインのダンスパートナーとしてモダンバレエを披露。
そんなBroadway屈指のバレエダンサーである彼。
お父さまを3歳で亡くし、6人兄弟の末っ子として育つ。地元のバレエ教室ではたった一人の男の子の生徒だったというリアル・ビリーエリオット。
ドゥミトリーの代役も務めているので歌も花丸、この次のビッグ・プロジェクトもオリジナルキャストとして内定している。
彼のおかげでまだまだBroadway通いはやめられなさそう!!
『ANASTASIA』がすっかり気に入ったメガヒヨさん。
キャストアルバムが届いたときの心境を「てのりちゅっちゅ」のみなさんに表現していただきましょう。
「とどいた、とどいた♪ わくわく」
「裏表紙、Kyleくんうつってる!!」
「どこどこ?」「右から三人目!!」
「後ろ姿もかっこいいね。」
「一緒に組んでいるのはYoung AnastasiaのMolly Rushingさんだよ。Christyさんとよく顔が似ているよ。」
「このシーンは…完全にもらってるな。」
「もらってるね。」
ところでこの作品は梅田芸術劇場が制作に携わっているので、東宝系での日本版は近いうちにありそう。
キャストはどうなるんだろうな~。
個人的な希望でいうと、アナスタシアは新妻聖子さんで観たい。
役の上でも28歳だから、16歳のキャロルをこなした彼女ならまったく問題ないでしょう。
神田沙也加さんとのダブルキャストなんてのも素敵だなぁ。
彼女の元ネタ再現能力はご自身の仕事に対する誠実ぶりもあり、業界屈指ではないかと。
ドゥミトリーは候補が数多くいるんだろうな~。
うっかりするとアナスタシアを飾る額縁になってしまいがちな役どころだから、少し個性派くらいの俳優さんがいいのかも。
グレブは抜群の歌唱力の佐藤隆紀さんで観たい、というか聴きたい。
ヴラドは石川禅さんなんてどうかな。体型を少々改造していただいて(笑)
この方はアニメ吹き替え版でドゥミトリーの声を担当しているんだよね。
同じ理由でリリーはアナスタシア役だった鈴木ほのかさんで。
二幕は歌って踊って大忙しの、大人の色気漂うこの役だものね。
でも梅芸制作だし、宝塚OGが来るかなと思ったりもして。
皇太后は鳳蘭さんで観たいな。威厳、美しさといいぴったりでしょう。
白鳥の湖のシーンは、もしかしてここだけバレエ団の方に頼むのかな。
メリー・ポピンズでネーレウスを演じていた長澤風海さんのバレエが素晴らしかったので、この方で観てみたいな。
とても気に入った作品なので感想がついつい長くなってしまった。
『Anastasia』はオープンから一年たっても売り上げは順調な模様。
やっぱりみんな、綺麗なお姫様、彼女をめぐるハンサム達、芸達者なベテラン、威厳ある大女優、壮麗なダンスシーン、
美しい衣装、ハイテク装置が大好きなんだね。
この作品には全部そろっているから。
日本にも最高の形でこの作品が上陸するといいなと思うのであった。