皆様、週末は如何お過ごしでしたか?
森本は、土曜日は飼い犬ももこを病院に連れて行きました。
彼女、外耳炎になってしまい、先週からお医者さんに診て頂いていたのです。
臆病なももこは待合室で震えっぱなし、呼ばれても診察室に絶対行かないと踏ん張り、15キロある犬を森本が抱えて診察室まで運んで行く、といういつものパターン・・・でした
診察台の上では、このまま石になってしまうのではないかというくらい固まっていたくせに、
家に帰ったら、「あたしは病院でいっぱい頑張った!!」と大威張りでワンワン言うももこなのでした
さてさて、長らくお待たせして申し訳ありませんでしたが、前回の続きです。
所有者は現在アメリカに住んでいるオーストラリア人で、登記簿上の住所は日本、の名変登記(所有権登記名義人表示変更登記)の何が厄介か、ということでしたよね
ちょっと繰り返しになりますが、「アレ」(外国人登録原票の開示請求)は、日本に住んでいる奥様が請求して、写しを取得してきて頂きました。
前々回ご説明させて頂いた通り、この「アレ」が一番面倒で、あとは住所の変遷を記載したAFFIDAVITを作成して本人に公証役場で認証してもらうだけなので、
これで仕事は半分以上終わったようなもんです・・・と思いきや、
今回のケースで更に厄介なのが、所有者が自分の国籍以外の国に住んでいるということです。
そう、このブログでも散々(?)語らせて頂いた、 「宣誓供述書の認証場所」という問題なのです。
宣誓供述書(というか、商登法上は、「事実の変更を証する書面」)は、
商業登記法第130条には、「~外国会社の本国の管轄官庁又は日本における領事その他権限がある官憲」で認証してきてもらったものでなければならない、と定められています。
不動産登記法には、そのような規定はないのですが、多くの同業者の方が、この商業登記法第130条の考え方を不動産登記の実務で踏襲されていると思います。
また、不動産登記の場合は、同様の主旨の先例があります。
例えば、
◎昭和40.6.18民事甲第1096号民事局長回答
「米国に住所を有する米国人が、その住所地についてした宣誓供述に基づいて米国公証人が署名した書面は住所の変更を証する書面として差し支えない」
今回のケースが、もしアメリカ人の方でしたら、上の先例にばっちり当てはまります。
では、オーストラリア人なら、アメリカのオーストラリア大使館(領事館)へ行けばよいのではないか?
と思われる方もいらっしゃると思うのですが、商業登記法第130条には、「日本における領事その他権限がある官憲」とあって、
厳密にいうと、例えば日本に住んでいるオーストラリア人が、日本にあるオーストラリア領事館で認証してきてもらう場合を想定しているのです。
また、上記の局長回答は、こうも言っています。
「在米日本人の住所に関する証明は、在米日本領事の証明を以て行う」
・・・なので、アメリカに住むオーストラリア人がアメリカのオーストラリア領事に証明してもらっても構わないようにも思えます・・・が、
この先例を使って登記しようとして、
「これは、在外日本人についてのことで、日本人以外には当てはまらない」
と言われて法務局で止められた、という話を何度か諸先輩方から聞いたことがあります。
今回のことで、いつもお世話になっているI先生に、改めて聞いてみたら、
「うん、そう法務局に言われて止められたことがある」
とおっしゃっていました。
商業登記ですと、例えば就任承諾書などに付する署名の場合、就任承諾書から国籍は分かりませんから、オーストラリア人がアメリカの公証役場で認証してもらっても、法務局では分かりませんし、司法書士でさえ分からない場合がありますが、(でも原則は、本人の国籍の官憲、ですよ!)
外国人登録原票には国籍が記載されていますから、今回の申請人がオーストラリア人ということは明らかなのです。
だけど、私のお客様も、そうそうオーストラリアに帰ることもないので、
もう思い切って、オーストラリア人だけどアメリカのオーストラリア領事館で認証してもらったもので良いか、のこのこと法務局に相談しに行ってしまいました。
すると、とてもあっさり、
「ああ、いいですよ」
のお答え。
意外過ぎて、嬉しい回答にもかかわらず、
「でもでも、上の先例とか、あれは日本人の場合のことだ、って言われて登記が止められたことがある、って言う先生もいらっしゃるみたいですけど・・・」
と、更に聞いてみると、
「そうですか・・・念のため、登記官にも聞いてみます」
と相談窓口の方は奥へ行って、また戻ってきて、
「領事館の認証で良いそうです。」
ときっぱり
あー、良かった、相談しに行って良かったー、と早速I先生にもご報告すると、
I先生も、
「ほんとに~!!良かった~。やっぱり時代が変わってるんだから、柔軟に対応してもらえるんだね~」
と喜んでいらっしゃいました。
・・・・ということで、無事解決!と思ったら、
このお客様が、急用でオーストラリアに行くことになり、結局登記はオーストラリアの公証役場で認証してもらった書類で申請したのでした。
皆様も、同様・類似のケースの場合で、本人が「本国」に住んでおらず、在留領事に認証してもらう場合は、一応法務局にご相談してみて下さいね。
最後までおつきあい頂き、ありがとうございました~
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<おまけ>
上の先例では、在外日本人は、在外日本領事館で認証してもらってこい、と言う感じでしたが、
皆様ご存知のように、下記のような先例もいくつかあり、もちろん在外日本人が、その居住する国の公証役場で認証してもらったものでもOKです。
◎昭和54.6.29民三第3549号民事局第三課長通知
「ブラジル在住の日本人が、委任状、遺産分割協議書、住所に関する宣誓書を提出する場合、これに添付する本人の署名証明は在外日本領事の署名証明に代えて、ブラジル国公証人の証明に係る署名証明でも差し支えない」
ご無沙汰しております。
ブログ再開おめでとうございます。
お元気そうでよかったです。
急にブログの更新が止まった(一部、投稿が消えていた)ので、心配していました。
第三国に居住する外国人については、その第三国にある本国(外国人の国籍国)の領事の認証を受けるように通常お願いしています。
ただし、領事に書類の認証権限が付与されていない国(例えば英国)の場合は、わざわざ本国公証人の認証を受けるのも難しいので、結構困ってしまいます。
<おまけ>の先例は、日本人についてのものですが、これが第三国に居住する外国人についても射程が及べばいいのですが、これまで何度か法務局に照会したところでは、やはり第三国に居住する外国人については対象外で、原則どおり本国官憲の認証を受けるべきとの回答でした。
いくら本国官憲だからと言って、海外に居住する自国民の住所移転の経緯など把握していないことのほうが多いと思うのですが・・・
こちらこそご無沙汰しております。
お仕事は如何ですか?
そうなんです、記事が一部行方不明になり、すっかり心が折れて、更新を怠っておりました
そうなんですね、領事の認証で大体やっているのですね。
商登法で「日本における領事」とあるので、厳格に解釈する登記官によってははねられると聞いていたので、ちょっとドキドキでした。
<おまけ>の先例は、そうですよね!「本国官憲」はかなり厳格ですよね~。住所の変更登記は、最終的には本人確認にも照合される事項ですから、たかが名変、とあなどれませんよね。
いつも読んで下さって、ありがとうございます!