オランダ人を売主とする不動産取引

2015-11-17 11:23:19 | 不動産登記法

お疲れ様です、森本です

8月に、オランダ人を売主とする不動産取引の決済を致しました。

幸い、売主の方は立ち会いのために来日できるということでしたので、本人確認については問題ありませんでした

そう、非居住者を当事者とする不動産取引で、一番の難関は、本人確認といっても過言ではないでしょう。

****本人確認とは

   「犯罪による収益の移転防止に関する法律」によって司法書士に課されている依頼人及びその代理人が本人であることの確認と、依頼の内容及び意思の確認を確認する義務のことです。

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本人確認は原則対面で行うことが求められているので、

(登記識別情報を提供できない場合の本人確認につき、テレビ電話による本人確認をした場合は、本人確認情報の提供をできない、とのカウンター相談あり。『登記研究778号』)

売却しても大した金額にならないような不動産の場合、非居住者の売主に来日をお願いするのはなかなか難しく、

本人確認をしなければならない、と言うと、代理人の弁護士の先生や不動産屋さんに、

「それじゃあ、売れないですよね!?」

などと怒られてしまうのですが、

「あ、うちは対面で本人確認しなくても、登記しますよ~」

とは司法書士は言えないのです。

勿論、売主が日本に来るのではなく、司法書士が売主さんのところへ出向いて行って、本人確認してもいいわけなのですが、

そのような費用を出す人はなかなかいらっしゃらないので・・・(ちなみに、森本は、1回だけ、本人確認で外国へ行ったことがあります

なので、ご本人が契約か決済か、いずれかのタイミングで来日して下さることになれば、取引の司法書士的最大難関は過ぎたようなものです。

さてさて、今回のオランダ人の売主さんですが、不動産取得時のご住所(オランダ)と現在のご住所(オランダ)が違っているので、住所変更の登記(所有権登記名義人表示変更登記)も必要でした。

当事務所で用意したのは、

- 住所の変遷を記載し、当該不動産の所有者である旨を記載した書類 

- 登記原因証明情報

- サイン証明書(Signature Attestation)

- 登記委任状

で、これらを英文で作成しました。

オランダの公証役場は、英文でも認証して頂けます

当初、これら全ての書類を認証してもらうつもりだったのですが、手続きを進めていく上で変更が生じたこともあり、

登記原因証明情報と登記委任状は、決済の場でサインして頂き、認証はしませんでした。

(これでも登記は通ります)

売主の方と、間に入って下さったコンサルティング会社の社長(オランダ人)は、お2人とも穏やかで話しやすい方でしたし、

買主(法人)の担当者の方も、穏やかな方だったので、

とてもやりやすいお仕事でした~

着金確認を待っている間、鎖国とか、日本の歴史の話とかで花を咲かせました

鎖国時代、日本はオランダとだけ付き合っていたのに、開国したとたんに、どうだ、日本史上からオランダはあっという間に消えてしまった、とご不満そうでした(笑)

ちなみに、売主さんは日本に銀行口座をお持ちではなかったので、

売主の日本の弁護士の先生のお口座をescrowとして使って、決済しました。

また、今回の物件の購入価格は3,000万円以下でしたので、日銀への届け出も不要でした。

という訳で、なかなか楽しい、オランダ人の不動産取引でした。

今日もお読み頂いて、ありがとうございました。

ではでは、また次回~

 

 

 


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