お疲れ様です、森本です
前回の、帰化による氏名変更の登記 で思い出したお話があるので、書いてみます。
同じく帰化による氏名変更の登記なのですが、逆パターン。
そう、日本人が外国に帰化した(当該ケースはアメリカ)ケースです。
もともとは、決済で、売主の登記簿上の住所は日本だが、現在は帰化してアメリカに住んでいるので、住所の変更登記が必要だ、ということだったのです。
当初、別の司法書士の先生がこのお仕事を受けていて、当該住所変更登記に何が必要か、と管轄法務局へ相談に行ったところ、
「名前もカタカナに変更して下さい」
と言われた、ということでした。
別に、帰化したからと言って、名前の音(おん)が変わっているわけではありません。
言い換えれば、「森本綾乃」が帰化によって「キャサリン・ゼタ・ジョーンズ」(←大きく出ましたね。)などとまるっきり違う名前になったわけでありません。
「森本綾乃」のままです。
でも、登記実務の運用では、外国人の名前は外国文字では登記できず、日本語表記に置き換える必要があるわけですが、通常はカタカナ表記になっています。
ただ、中国の方や韓国の方のお名前の漢字は、康熙字典に載っているものは登記できることになっています。
康熙字典に載っていなければ、日本の漢字に引き直して登記できます。
森本綾乃は帰化して外国人になったのだから、カタカナで登記して下さいね、ということのようです。
言われてみれば、なるほどそうか、と思い、なんとなく腑に落ちない気もしたのですが、住所と一緒に名前もカタカナに直して登記をしました。(どうせ売っちゃうし、費用も一緒ですしね)
それから1,2年して、アメリカに帰化した元日本人の方を被相続人とする相続登記の案件を受けました。
アメリカ人の相続って、わりと頻繁にやっているので、粛々と手続きを進めていたのですが、
んん??と思ったことが一つありました。
相続登記にかかる不動産は、被相続人の方が帰化してから購入したものなのです。
病気療養のため来日し、マンションを購入、そのまま日本でお亡くなりになりました。
住民票にもTOKI TAROとアルファベットで記載されており、特に通称名などは記載されておりませんでした。
(外国に帰化した元日本人の方は、印鑑証明書などに通称名として以前使用していた漢字のお名前を載せている人が多いのです)
しかしながら、不動産の登記簿上の名前は、「登記太郎」と帰化前の漢字のお名前が使用されていました。
上記の最初の事案、カタカナに引き直した登記のことを考えると、矛盾なようにも感じます。
この「登記太郎」は、何を見て登記したのだろうか・・・と考えつつ、特に今回の相続登記に影響なかったので、深く考えないことにしよう・・・と流してしまったのでした
まわりの先生に聞いてみると、最初の事例(カタカナ引き直し)についても、いちいちカタカナに引き直したりしないで手続きを進めることも、実際多いようです。
考えてみれば、住所の変更を証する書面に、帰化したことって書かないですよね。
住所変更からしたら必要な情報じゃないから・・・
森本がやった案件は、別の先生が相談に行ったりするから(おいおい)、帰化のことも宣誓供述書に書いたりしたのでした。
法務局ではそもそも帰化したかどうか分からない・・・ですよね。単にアメリカに引っ越しただけ、と思いますよね。
だから、より厳密に言うと、帰化によるカタカナ名前変更は、実体を表す上ではよりproperな方法だったのか・・・などと考え直したのでした。
名前の登記は、本人の同一性を確認する上で大変重要な事項なので、慎重になりたいですよね・・・などとキレイにまとめてみました
それでは皆さん、今日も1日お疲れ様でした!
上の「登記太郎」さんの相続は、そう言えばちょっと面白いことがあったので、次回はそのことを書いてみますね!