議事録等を作成して、お客様から押印を頂くとき、事情が許されるなら捨印を頂くことがあります。
この捨印があると、押印後に作成した議事録に訂正すべき箇所があったり、後になってここを変えたい、という時に捨印を使って議事録を修正します。
さて、サイナー(signer:署名者)が外国人で印鑑の代わりにサインをする場合、捨てサインという概念はあるのでしょうか?
結論から言うと、日本では、捨てサインで訂正した議事録をもって登記は受理されます。
しかし、欧米では捨てサインまた割り印(割りサイン)という概念はないそうです。
私が習ったビジネス・ライティングの教科書には、書類の修正をする時には修正箇所にサイナーがイニシャルの署名をして修正し、割り印の代わりに各ページの隅にサイナーが署名する、とありました。
が、私は実際にはイニシャル署名の修正や、各ページにサインがある書類を見たことはありません。一度カナダ人の友人に聞いたら、「間違えたら作り直しでしょー」と言ってました。各ページのサインも「オールド・スタイル(old-fashioned)」だと言っていました。なるほど。
ちなみに日本で長くビジネスをしている方は、捨印、割り印の概念を理解していらっしゃる方が多く、こちらから頼まなくても捨サイン、割サインをして下さる方が結構いらっしゃいます。
法務局の扱いですが、サイナーが全員外国人で印鑑ではなくサインばかりの場合、割り印がなくても登記は通りますが、地方ではどうでしょう。念のため確認した方がいいですね。
森本綾乃司法書士事務所-M.D.Law Office (http://www11.ocn.ne.jp/~mdlaw/index.html)