goo blog サービス終了のお知らせ 

思い出された動産譲渡登記

2009-07-24 16:58:28 | 債権・動産譲渡登記

2年ほど前にご依頼を受けて、譲受人たるアメリカの会社からの委任状等がついに届かず、お蔵入りになっていた動産譲渡登記が、動き出すことになりました。

動産譲渡登記とは、当該登記することにより、当該動産について、民法第178条の引渡があったものとみなされ、対抗要件が具備されることになる制度です。

同一動産について二重に譲渡登記がされた場合の譲受人間の優劣は、登記の先後によって決せられ、登記と引渡が競合した場合には、登記と引渡の先後によって決せられることになります。

動産譲渡登記をする際、「譲渡に係る動産を特定する為に必要な事項」を記録しなければならないのですが、

①個別動産(動産の種類及び特質によって特定する方法)

②集合動産(動産の種類及び所在によって特定する方法)

の2種類があり、どちらを選択するかは自由です。

当初お話があったときは、後者を選択させて頂き、動産の種類を入力していたわけですが、2年前と今では、倉庫の中身、違っているんだろうなあ。。。。

2年前に1度資料や契約書を見たとは言え、もう一度初めからやり直しのようなものです

ちなみに、上記②を選択して、流動動産の場合、日々その倉庫なら倉庫に日々搬入された時点で、当該動産譲渡登記の対象になります。

ところで、この動産譲渡登記は、不動産登記と違って、当該動産が転々移転されても、その経緯が公示されるわけではないので、動産譲渡1個として、記録を出してみないことには分からないことになります。

これは、債権譲渡登記でも同じことが言えます。

時間が経つと、最終的には誰が債権者なの?という事態になることもあります。

ところで、先に「譲受人たるアメリカの会社」と書きましたが、「譲渡人」は外国の会社はなることができません。あくまで譲渡人は日本法人だけです。

動産譲渡登記は(債権譲渡登記も同じですが)、譲受人も譲渡人も、資格証明書を提出する必要がありますが、日本法人でしたら、これは商業登記簿謄本です。

では、外国の会社は?

これは、不動産登記などの時に当事者が外国法人であるときと同様に、弊所では、AFFIDAVIT(宣誓供述書)を作成して、これを資格証明書として提出します。

この2年の間に果たして当該動産は二重譲渡されていたりしないでしょうか?

また、モノはその倉庫にあっても、占有改定、占有改定で転々移転していないでしょうか?

書類が来たからハイ、登記、とは行かないような気がします。

それでもずーっと『保留』の箱に突っ込まれていたファイルが日の目を見ることになったのです。

良しとして、しっかりしごとしましょう


債権譲渡登記のウラをとる

2008-10-17 17:18:06 | 債権・動産譲渡登記

久しぶりに債権譲渡登記のお問い合わせがありました。

森本事務所は小さな事務所なので、債権の数が何百、何千とあるようなバルクみたいなお仕事は来ません。

大抵は、以下2種類の案件です。

(1) 債権の数が少ない(1個からせいぜい50個くらい)

or

(2) 将来債権

(1)の場合でしたら、債務者の数も少ないです。

(2)の場合でしたら、債務者がまだ特定されていないことが多い。(将来債権だから)

そして、やっぱり、当事務所に来るからには、

債権の譲渡人が、「外国の会社」ということ。

(譲受人は日本法人でないといけません)

法務局に提出する譲渡人の資格証明書は、サイン証明書を兼ねた内容のAFFIDAVITを当事務所でご用意します。

実際の登記は、ソフトを使って入力していくわけですが、バルクのような案件だと、入力する人1人当たりチェックに2人くらい必要になってきます=うちのような小さな事務所では、対応できない、ということになります・・・不眠不休で頑張れよ、って感じで根性入れた方が良いでしょうか?

で、弊所のやり方も、クライアントさんがご用意して下さったリストに基づいて、スタッフが入力します。

つまり、現在だとKくんがやります。

では、Kくんが入力している間、森本は何をするのかというと、ウラを取っています。

どうやってウラを取るかと言うと、要は「債権の存在(数、種類、債務者)」と「譲渡の存在」を、契約書で確認するわけです。

契約書自体は、法務局に提出しませんが、そこは不動産の決済と同じで、確認しておかないと。ね。

それで、大体の場合、その契約書が分厚いんですね。

圧縮ファイルで送られてきて、プリントアウトをするのが、一瞬ためらうくらい。

お気づきだと思いますが、そう、契約書は英語です。

と言うことは、倍とは言いませんが、森本の能力では、日本語の契約書を読むよりは、おそくなります。

私が初めてした債権譲渡登記の際に確認した契約書は、本契約と譲渡契約で併せて200頁を越えていました。

辛かったなあ。

「動産譲渡登記」の場合、倉庫にある動産全部って感じで担保にするのですが、それを登記の際カテゴライズしていくと、「担保価値あるの~?」という物もあります。

例えば、販促のオマケみたいな(会社のロゴ入りらしい。)・・・

森本思うんですけど、「登記」の中で、「債権譲渡登記」と「動産譲渡登記」は、司法書士の最後の砦ではないか、と。

会社の登記なんて、本当はやってはイケナイ他士業さんもやっているので(=違法なんですよ)、違法承知でやっている方々に、

「じゃあさぁ、これは出来る?」

という感じで司法書士が言えるのが、「債権譲渡登記」と「動産譲渡登記」だと思うんです。

人手がないとちとキビシイお仕事ではありますが。

森本綾乃司法書士事務所-M.D.Law Office (http://www11.ocn.ne.jp/~mdlaw/index_jp.html)