2年ほど前にご依頼を受けて、譲受人たるアメリカの会社からの委任状等がついに届かず、お蔵入りになっていた動産譲渡登記が、動き出すことになりました。
動産譲渡登記とは、当該登記することにより、当該動産について、民法第178条の引渡があったものとみなされ、対抗要件が具備されることになる制度です。
同一動産について二重に譲渡登記がされた場合の譲受人間の優劣は、登記の先後によって決せられ、登記と引渡が競合した場合には、登記と引渡の先後によって決せられることになります。
動産譲渡登記をする際、「譲渡に係る動産を特定する為に必要な事項」を記録しなければならないのですが、
①個別動産(動産の種類及び特質によって特定する方法)
②集合動産(動産の種類及び所在によって特定する方法)
の2種類があり、どちらを選択するかは自由です。
当初お話があったときは、後者を選択させて頂き、動産の種類を入力していたわけですが、2年前と今では、倉庫の中身、違っているんだろうなあ。。。。
2年前に1度資料や契約書を見たとは言え、もう一度初めからやり直しのようなものです
ちなみに、上記②を選択して、流動動産の場合、日々その倉庫なら倉庫に日々搬入された時点で、当該動産譲渡登記の対象になります。
ところで、この動産譲渡登記は、不動産登記と違って、当該動産が転々移転されても、その経緯が公示されるわけではないので、動産譲渡1個として、記録を出してみないことには分からないことになります。
これは、債権譲渡登記でも同じことが言えます。
時間が経つと、最終的には誰が債権者なの?という事態になることもあります。
ところで、先に「譲受人たるアメリカの会社」と書きましたが、「譲渡人」は外国の会社はなることができません。あくまで譲渡人は日本法人だけです。
動産譲渡登記は(債権譲渡登記も同じですが)、譲受人も譲渡人も、資格証明書を提出する必要がありますが、日本法人でしたら、これは商業登記簿謄本です。
では、外国の会社は?
これは、不動産登記などの時に当事者が外国法人であるときと同様に、弊所では、AFFIDAVIT(宣誓供述書)を作成して、これを資格証明書として提出します。
この2年の間に果たして当該動産は二重譲渡されていたりしないでしょうか?
また、モノはその倉庫にあっても、占有改定、占有改定で転々移転していないでしょうか?
書類が来たからハイ、登記、とは行かないような気がします。
それでもずーっと『保留』の箱に突っ込まれていたファイルが日の目を見ることになったのです。
良しとして、しっかりしごとしましょう