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代表取締役の居住要件緩和-実務の現場【2】

2016-02-29 16:00:42 | 会社法

お疲れ様です、森本です

前回の続き、またまた少し時間が経ってしまって、申し訳ありません。

さてさて、もう既に存在している会社の取締役を、これから全員非居住者にする場合は、どうなるか?ということでしたね。

勿論、登記的には全然問題ありません。

しかし、森本事務所では、このようなリクエストがあった場合、お取引銀行にその旨確認を取ってみて下さい、とお願いしております。

平成27年3月に、株式会社、合同会社の代表取締役・代表社員・職務執行者の居住要件が廃止されたばかりの頃は、

銀行さんが難色を示されることが多かったようで、「取引銀行に確認してみて下さい」と言うと、

しばらくして、やっぱり居住代表取締役を置く、ということに落ち着いたりしました。

1年ほど経った今、このように確認を取ってみると、

問題なく代表取締役を非居住者にすることができる場合と、やはり難色を示される場合と、いろいろのようです。

要はその会社さんの実績や取引状況によるのですね。

銀行に確認して、と言うと、わざわざ本社の方からメールが来て、

「どうして会社の代表取締役を変更するのに、銀行の確認が必要なんだ」

と聞かれたりすることもあります。

我々も銀行の内規によるので一概には言えないんですけど・・・

とりあえず、これまで法的にはきちんと要件を満たしているのに、銀行口座を開けなかった例などを挙げて、とくとくと説明したりしています。

司法書士の皆様、お友達に銀行にお勤めの方がいらっしゃったら、その辺のご事情を聞いて、教えて頂けたら幸いです。

森本事務所は銀行のお客様っていないし、銀行に勤めている森本の友達は、結構みんな偉くなっちゃって、支店にいないんですよ~

とりあえず、お客様から役員を非居住者ばかりにしたい、というリクエストがあったら、銀行にも確認取ってもらった方がいい、というお話でした~。

今日もお読み頂いて、ありがとうございました!

ではでは、Enjoy Leap Year!


代表取締役の居住要件緩和-実務の現場【1】

2016-02-18 11:29:44 | 会社法

こんにちは、森本です

皆様ご存知のように、平成27年3月から、株式会社・合同会社の代表取締役・代表社員・職務執行者の居住要件が廃止されました。

これによって、少なくとも代表取締役(又は代表社員、職務執行者)の1名の住所が日本でなければいけない、ということはなくなったので、

役員全員が非居住者の会社の設立も可能になったわけです。

この改正がされるという話が出た頃、(新聞にも大きく出ましたものね)

お客様の税理士の先生などから、

「森本さん、仕事が増えるんじゃない?」

と言われましたが、

森本及びその周りの外資系・外国人を扱う士業の方は、

「だからって・・・・」

という割と冷ややかな感じでした。

少なくとも、「やったー、ばんざーい」という感じではなかったですね。

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1つには、全員非居住者の役員の会社を作ったところで、果たして銀行口座を開設できるか?

という問題があります。

勿論、上場会社の子会社など、問題ないところも多くあると思います。

が、市井の外国人、小さな外資系会社を扱っている森本事務所のような規模の事務所だと、まずこの銀行口座開設をどうするんだ、という考えが頭をよぎりました。

少なくとも、銀行まででかけて口座を開く手続きをすることができる、社員証を持っているスタッフが日本に存在していないと、難しいような気がします。

2つには、草薙先生や他の先生も既に指摘されているように設立登記申請時に提出する払込証明書をどうするんだ、という問題があります。

株式会社の資本金の払い込み証明には、発起人・若しくは設立時代表取締役の口座に資本金を振り込み、その口座の通帳なりweb明細なりの写しを提出しなければなりませんが、

この銀行口座は、今のところ日本の銀行に限られているので、日本に住所を持っていない人が、日本の銀行に口座を持っていることも普通はないので、難しくなります。

合同会社でしたら、「受領証」でもいいのですが、森本は「受領証」にする場合でも、一応口座に資本金が入金されていたか、確認していました。

(だってコワイし、もしその後ビザが必要な方だったら、結局ちゃんと資本金があるか、入管に証明する必要があるからです。)

この問題は、発起人を一時日本に住んでいる人(今後は、日本に銀行口座がある人、と言い換えた方がいいかも知れません)にして、

その後株式譲渡、という昔よくやった方法(今でもやっていますが)などで対応することができますが、

居住要件がなくなって、設立しやすくなったか!?、という点では疑問が残ります。

そして何とか設立してからも、1.の問題が残るわけなのです。

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この居住要件廃止から1年近く経過しましたが、上記2つの問題、特に銀行口座開設の問題については、未だに同業者(というか外資系・外国人を扱う"小さな"事務所)では、

同様の愚痴(?)を吐露し合っております。

ところで、既に設立してある会社で、これから役員を全員非居住者にする場合は、どうでしょうか?

これについては、また次回~

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 思い出したのですが、この居住要件廃止を受けて、

新聞などは「全員外国人の会社容認」などという書きぶりも見かけましたが、

正しくは全員外国人の会社容認でなく、全員非居住者の会社容認、ですよね。(ゲラゲラ

今までも全員外国人はOKだったっつーの、うちなんか、全員外国人の会社ばっかだよん(そんなこともないんだけどね)、と心の中でつっこんだりしてました(笑)

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今日もお読み頂き、ありがとうございました!


デンマークの外国会社の営業所の登記

2015-12-17 18:11:53 | 会社法

今日は寒くなりましたね~。

やっと冬らしくなってきたというか

しかし、季節の移ろいはゆっくりでも、時の経過は順調に流れまくって、もう12月後半です

私事ですが、今年は母親が入退院を繰り返し、通算7カ月も入院していたせいか、あっという間に過ぎたような気がします

さてさて、今日は小ネタを。

先日、デンマークを本店とする外国会社の営業所の登記をしました。

デンマークの日本領事館では、認証業務を行っておりません。

なので、現地(デンマーク)の公証役場で、代表者の方に登記に必要な宣誓供述書(Affidavit)を認証してきて頂きました。

英語でOKです

ちなみに、上のリンク先はデンマーク語です。(英文のサイトは、このページはなかった

勿論、森本はデンマーク語は分かりません。

読むときはこれをコピーして、Google翻訳で ”デンマーク語→英語"にしてから読みます。

(まあ、デンマーク領事館が認証してくれない、というのは有名な話なのですが、もしかして変わったかも・・・と淡い期待を抱きつつ。)

国によっては、領事館で認証業務を行っていないので、不便ですよね。

と言うことで、今日も1日お疲れ様でした~


辞任届がもらえなかった

2015-11-19 13:26:36 | 会社法

お疲れ様です、森本です。

少し前の話になるのですが、アメリカの会社を本社とする日本法人の役員変更につき、一部の辞任する取締役の方から、辞任届をもらえないことがありました。

(辞任届がもらえない、という嘆きは、このブログでさんざん言っているのですが・・・)

A,Bの取締役(非居住者)が辞任し、新たにC,Dが就任するのですが、そのうちAの辞任届がもらえなかったのです。

もらえない、というか、Aは本社(アメリカ)の役員だったのですが、本社自体を辞めており、

その際、本社の役員は辞めます、あと本社の関連会社(韓国)の役員も辞めます、的な辞任届は存在したのですが、如何せん日本法人の役員を辞める旨の記載がある辞任届でないと、

登記には使えません。

役員変更以外にも、目的変更などその他の登記もあり、辞任届を待っていては、他の登記が滞ってしまいます。

そこで、管轄の法務局に、

「取締役選任の株主総会議事録に、『A、Bが〇月〇日付で辞任し、その後任者としてC,Dを選任する~』的な記載があるが、Aの辞任届が手に入らないので、Aの辞任登記のみ打たないが、びっくりしないでね

という電話をしてみたところ、その旨付箋にでも貼っておいてくれたら、問い合わせもせず手続きを進める、とのことでした。

要は、Aの辞任届のみが手に入らないからと言って、後任者の取締役の選任の公示(登記)や他の変更の公示(登記)が遅れるのは、宜しくない、ということですね。

それで、Aの辞任登記だけせずに、他の登記の申請をして、無事完了しました。

結局、Aの件は、任期満了退任を待つしかなさそうです(任期が2年で良かった・・・・

株式会社の場合は、任期満了退任という方法がありますが、任期のない有限会社ではこの方法は使えません。

辞任届は、本当に取っておいてほしいな、というお話でした

ではでは皆さん、今日もお読み頂いて、ありがとうございました~


日本語で認証。(ハワイのNotary Public)-5

2013-05-24 13:34:46 | 会社法

お待たせしました(if anyone)  

Registered Agentは、宣誓供述書作成権限があるか、というお話でしたよね。

前回、少しばかりRegistered Agent の役割、というかお仕事をご説明させて頂きましたが、

日本の商業登記的には、その3でご説明させて頂いたとおり、Reistered Agent が

『継続的な取引による効果の帰属主体である外国会社を代表すべき者(本国における代表者又は日本における代表者)』(「平成18年4月5日付法務省民商第872号民事局商事課長回答」:登記研究715号参照)

ならば、宣誓供述書を作って問題ないわけです。

ちなみに、州によって若干違うRegistered Agentの役割や任命の仕方やRegistered Agentの登録の仕方をスタンダード化したものに、

"Model Regitered Agents Act"というものがございまして、そちらの"Agency And Duties"(代理人及び一般義務)という章には、次のように規定されています。

( ()内は拙訳)

***********

NRS 77. 390 Service of process on entities:

A registered agent is an agent of the represented entity authorized to receive service of any process, notice or demand required or permitted by law to be served on the entity.

(NSR77.390 会社における訴状の受領

Registered agent は訴状、法律によって求められ若しくは認められた通知又は催告を受け取る権限がある会社の代表者の代理人である)

********

とまあ、以前からくどくどご説明しておりますとおり、あくまで訴状などを受領する権限がある代理人、ということなので、前述の『外国会社を代表すべき者』には当たらないんですよね。。。。

ところで、実際には、森本はRegistered Agentが現地の公証役場で認証してきてもらった当該会社の登記簿やら議事録やらAnnual Reportやらを目にしたことはありますが、

(思い起こしてみると、これらはみんなケイマンとかイギリス領のタックス・ヘブンの国だったかも・・・)

お客様にはいつも、

「これは登記には使用できません」

と申し上げております。(こちらで宣誓供述書を作成する資料としては使えますけどね

と言っても、先に挙げたModel Registered Agent Act はアメリカの法律ですから、国によってはRegistered Agentの定義や仕事の範囲が違うかもしれず、宣誓供述書作成権限があるところもあるかもしれませんが、

その場合には、その3 の『登記研究715号』にあるとおり、宣誓供述者となり得る本国法の該当箇所の訳文等』を添付されるべき、とされているわけです。

また、日本の商業登記では、宣誓供述者を『会社を代表すべき者』とされていますが、これが現地(本国)で適用されるわけではないことは、先に述べたとおり、Registered Agent が宣誓供述者で現地公証役場で認証されているケースもあるので、そのような資料が来てもあまり悩まず、「登記には使えません」と言っとけばいいと思います。

・・・・と言うわけで、今回のハワイの会社さんの外国会社営業所設置時の宣誓供述書(日本語で作成されて、宣誓供述者がRegistered Agent)で、登記が通ったということらしいので、驚いた~、というわけです。

もしかしたら、「~以上が真正で真実であることを宣誓します」とあったのではなく、「以上の翻訳は正しいことを宣誓します」という記載だったから、登記が通ったのかな~と思ったりもします。

しかし、この営業所さんは、すでに閉鎖されてしまっているので、深く考えるのは止めよう~と思っている森本でした

ではでは皆さん、良い週末をお過ごし下さい~。