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核シェルター

2011-05-11 | ★モスクワの地下鉄★
モスクワの地下鉄の中で、最も深い駅は2003年にオープンした勝利公園駅(濃い青色のライン)。
その深さは地下84(一説によると90m)m、エスカレーターの長さは125mです。


東京では、都営地下鉄大江戸線の六本木駅が一番深く、地下42.3m(地下6階にあたります)、大江戸線ができる前は、地下37.9mの営団地下鉄千代田線の国会議事堂前駅が一番深かったです。

ですから、モスクワの地下鉄「勝利公園」駅は、日本の一番深い地下鉄の駅の約2倍、地下に深く潜り込んでいることになります。モスクワの地下鉄は「核シェルターだ」と言われるのは、こうした由縁があるのでしょう。

尚、ホームが最も長いのは雀が丘駅(赤色のライン)で、ホームの長さが全長282mもあります。


地下にもぐっていなくて、窓から外が見えるので、とても開放的雰囲気の雀ヶ丘駅です。
下を「凍っている」モスクワ川が流れているのが見えます。また、右手に見えるのが1980年モスクワ・オリンピックの舞台になったオリンピックスタジアム。

文学車両

2011-04-19 | ★モスクワの地下鉄★
モスクワの地下鉄には、「読書するモスクワ」というコンセプトで企画された「文学車両」というのがあります。

確か赤のラインだったと思いますが、2008年からスタートした企画で、運がよければ、今でもその「文学車両」に乗ることができます。
車両内の壁には一面文学作品からの引用が貼りつけられており、広告は一切ありません。


この写真に写っているのは、レールモントフの『仮面舞踏会』からの引用。


車両ごとに、「詩作品」、「散文」、「自然・動物」といったような、テーマが決められるいます。

いかにも読書王国ロシアならではのアイディアと思っていたら、すごい!「文学車両」、マドリートの地下鉄にもありました!!!


この写真に写っているのは、このブログでも2010年1月6日の記事で取り上げた、ウルグアイの文学者マリオ・ベネデッティ の詩作品。


ちなみに、モスクワの「文学車両」も、マドリートの「文学車両」も、ともに落書きなどが一切なく、とてもきれいでした。


地下鉄(12) Kievskaya駅

2010-01-09 | ★モスクワの地下鉄★
モスクワの地下鉄「茶色いライン(環状線)」。
動物園があるクラスノプレスネンスカヤ駅を出発して、時計回りに進み、最後のキエフスカヤ駅に到着しました。
1954年に開通した、壁面、天井のモザイク画が美しい明るい雰囲気の駅です。



「青いライン」「水色のライン」への乗り換えができます。
地上にはウクライナの首都キエフへ向かう列車の発着駅があります。
また、すぐ目の前にモスクワ川が広がり、夏の「モスクワ川くだり」のフェリーの発着場もここにあります。

ウクライナやロシア南部からの列車が到着する駅ということもあり、以前から野菜や果物を山のように抱えた人々が路上で即席露天を開いたりするにぎやかな場所でしたが、最近はこうした露天商が見られなくなった代わりに、「ヨーロッパ」という巨大なショッピングモールができて、若者に人気のデートスポットになっています。

駅構内の装飾は「ウクライナ」と「ロシア」の友愛がモチーフになっており、ロシアの国民的詩人プーシキンがウクライナにいる様子(トップの写真)や、ウクライナの大詩人シェフチェンコがモスクワで他の文学者たちと交わっている様子が描かれたモザイク画などが目を惹きます。



そして奥には・・・ここにもちゃんといます。ロシア革命の父レーニンのモザイク画です。




地下鉄(11) Park Kultury駅

2010-01-08 | ★モスクワの地下鉄★
地下鉄「茶色いライン(環状線)」に戻りましょう。
クラスノプレスネンスカヤ駅を時計回りに出発して11番目の駅。
「茶色いライン」の「Park Kultury(パルク・クリトゥールイ)」駅は、赤いラインの同名の駅と交わっています。



1950年に開通した駅で、一応東京の山手線のようにぐるっと回っている地下鉄環状線の始発の駅ということになっています。

「Park Kultury(パルク(公園)・クリトゥールイ(文化の))」というのは、「文化公園」という意味で、駅の近くに「マクシム・ゴーリキイ記念文化・休息・中央公園」という大きな遊園地兼市民公園があるため、このように命名されています。

この公園、今は「文化公園」と略して呼ばれることがほとんどですが、以前はソ連を代表する作家の一人「ゴーリキイ」の名をとって、「ゴーリキイ公園」と呼ばれていました。



そしてこの「ゴーリキイ公園」という名称は、マルチン・クルス・スミス原作の犯罪小説・映画『ゴーリキイ公園』で世界的に有名になりました。

「茶色いライン」の「文化公園」駅の構内は、市民の休息がテーマとなっており、サッカー、スケート、踊り、チェスなど、ゴーリキイ公園で実際に人々が好んで過ごしてきた憩いの時を描いた白い大理石のレリーフが美しいです。



話しは少し変わりますが、夏は涼しく、冬は暖かい地下鉄構内は、モスクワっ子にとって快適な「待ち合わせ場所」となっています。
下の写真は、まったく同じ日の同じ時間に撮影した写真です。





こうして「待ち合わせ」をしている人の多くが、本を片手に持っているのを見ると、最近ロシア人の「読書量が落ちた」と言われているものの、まだまだロシアが「世界一の読書量」を誇っているのを実感させられます。

地下鉄(10) Oktyabr'skaya駅

2009-12-30 | ★モスクワの地下鉄★
1950年に開通した「茶色」のライン(環状線)のオクチャーブリスカヤ駅は、時計回りでドブルィニンスカヤ駅の次の駅です。
「オレンジ色」のラインと交差しています。

この駅のテーマは、第二次世界大戦で亡くなった人々を偲ぶ「レクイエム」並びに「勝利の凱旋」。
駅の構内全体が「凱旋門」のような形態をとっています。
そしてその「凱旋門」を形づくる壁面には、勝利に貢献した人々の姿がレリーフ状に彫りこまれています。



構内の奥にある「青」の光は、ソ連の明るい未来を象徴する「青空」を現しているそうです。



教会(寺院)との類似性が指摘されている、独特な魅力を持つ駅です。

地下鉄(9) Dobrynenskaya駅

2009-12-29 | ★モスクワの地下鉄★
「茶色のライン(環状線)」を時計回りに進みます。
古典主義的で荘厳な雰囲気のパヴェレツカヤ駅の次は、「働く人々」がテーマとなっているドブルィニンスカヤ駅です。



「灰色」のラインと交差しています。

1950年に開通した当時は「セルプホフスカヤ駅」と命名されていましたが、後にドブルィニンスカヤ駅に改名。
現在はこの駅と交わっている「灰色」のライン上にある駅が「セルプホフスカヤ駅」と呼ばれています。




ドブルィニンスカヤというのは、1917年の十月革命の参加者の一人「ドブルィニン」にちなんで名づけられたそうです。
地上の駅入口前にはこのドブルィニンさんの銅像があります。

構内の奥には、「宇宙時代の朝」と題されたモザイク画があります。

トップの写真ですが、「収穫」をイメージしたレリーフの下に、なぜかバケツが置いてありました。
勿論このバケツはいつもそこにあるものではなく、たまたま置かれたものに過ぎないのですが、とても粋な「オブジェ」になっていました。

地下鉄(8) Paveletskaya駅

2009-12-28 | ★モスクワの地下鉄★
1950年に開通したパヴェレツカヤ駅。
「茶色のライン(環状線)」、時計回りでタガンスカヤ駅の次は、大理石が美しいパヴェレツカヤ駅です。
古典主義的で重厚なその雰囲気は、水色のマヨルカ焼きが柔らかい空気をかもし出していたタガンスカヤ駅とちょうど良い形でコントラストを成しています。



地下鉄「緑色」のラインと、地上では郊外へ向かう鉄道駅と交わっています。
「緑色」のラインへつながる乗り換え用通路は、モスクワの地下鉄の中でも最も長いものであるとのこと。
下の写真は、出発直前の車両。



構内の奥には、ソ連の労働者や農家の統一と調和をうたったモザイク画があり、それがトップの写真です。

地下鉄(7) Taganskaya駅

2009-12-27 | ★モスクワの地下鉄★
地下鉄「茶色い線(環状線)」。
時計回りでクルスカヤ駅の次の駅は、「タガンスカヤ駅」です。
「紫色」、そして「黄色」のラインと交差している、乗り換えに便利な駅のひとつです。
1950年に開通しています。

何といってもこの駅の特徴は、構内を飾る美しいマヨルカ陶器のパネル画。
ソ連時代の軍人さんたちをモチーフにしているのですが、薄い水色と象牙色の調和が、とても上品で優しい雰囲気を生んでいます。



そしてパネル画の下にあるベンチは、快適な待ち合わせ場所です。



ちなみにこの「マヨルカ焼き」というのは、元々古代エジプトやバビロニアで普及した焼き物で、北アフリカのイスラム教徒がスペインに移住した時に一緒にスペインに伝わり、スペインからイタリアに入って、更にはドイツ、フランスそしてロシアまで伝わってきたもの。
イタリアに入ったのが、スペイン領のマヨルカ島からだったので、マヨルカ焼きと呼ばれるようになったそうです。

ロシアでは18世紀にこのマヨルカ焼きの製造がピークを迎えたとのこと。
有名な工房はモスクワ市内、そして現在ロシアの代表的な焼き物を製造しているモスクワ近郊のグジェリ市にあったそうです。

駅名までもがこのマヨルカ焼きによるタガンスカヤ駅。



一度訪れてみる価値はあると思います。

地下鉄(6) Kurskaya駅

2009-12-26 | ★モスクワの地下鉄★
さて、また地下にもぐってみましょう。
地下鉄「茶色いライン(環状線)」の続きです。
モスクワの玄関口とも言われているコムソモリスカヤ駅。
そこから時計回りで一駅進みます。

「茶色のライン(環状線)」の「クルスカヤ駅」。
クルスク行きの鉄道駅(クルスキー駅)がある地下鉄の駅です。

1950年に開通したこの駅は、「茶色のライン(環状線)」上にある駅にしては珍しくテーマ性のあるモザイク画やレリーフなどがなく、どちらかというとシックな造りになっています。

最近話題になったのは、この駅の改札口のホールです。
改装されたばかりの改札口ホールに「我々に(国民に対する)忠実さを教えたのはスターリン」という一文が大きく彫りこまれたことが、批判の渦を呼んで大騒ぎになりました。



これは、一番最初のソ連国歌から引用された一文で、この駅が造られた当初、この駅にはスターリンの記念像とこの一文があったのですが、この度の改装でこの一文が復活したのです。

この件に関しては、その内もっと詳しく書きたいと思います。

取り敢えず駅構内はこんな感じです。


地下鉄(5) Komsomolskaya駅

2009-12-13 | ★モスクワの地下鉄★
時計回りで更にもう一駅。
「コムソモリスカヤ駅」周辺には、地上にペテルブルクへ向かう列車の始発鉄道駅となる「レニングラード駅」、カザン方面へ向かう列車の始発駅となる「カザン駅」、そしてヤロスラヴリ方面へ向かう列車の始発駅となる「ヤロスラヴリ駅」の三つの大きな鉄道駅があるため、モスクワの地下鉄の中でも最も重要な駅のひとつとなっています。(「赤いライン」の「コムソモリスカヤ駅」とつながっています)。

従ってモスクワの玄関口としての見栄えに気合が入っているのは当然のことです。



天井には古の頃からロシアを「勝利」に導いた英雄たちの姿を描いたモザイク画があります。・・・ということで、ロシアの歴史を勉強するのに最適な駅です。

トップのモザイク画は、2009年に全国投票で「ロシアを代表する人物(ロシアの顔)」に選ばれたアレクサンドル・ネフスキーを描いています。アレクサンドル・ネフスキーとは、13世紀に活躍した武将で、北方から攻めてきスヴェーデン軍、ドイツ騎士団を打ち破り、ロシアを守ったことで有名な英雄です。

次は14世紀に活躍した武将ドミトリー・ドンスコイ(下の写真)。
1380年、クリコヴォの戦いでキプチャク・ハン率いるのタタールの大軍を破ったことで有名です。



ポーランド軍からモスクワを解放した例のミンスキーとポジャルスキーの二人の姿も、聖ワシリー寺院をバックにしっかりあります。



その他にもナポレオン戦争でロシアを勝利に導いたのクトゥーゾフ将軍の姿もありますし、第二次世界大戦の兵士たちの姿もあります。
ネフスキーやドンスコイが「聖画(イコン)」の旗を掲げているのに対して、第二次世界大戦の兵士たちは「レーニン」の姿が描かれた赤旗を掲げているのが印象的です。



こちらの二枚(レーニンが演説している姿と、「母なる祖国」が勝利の行進をしている姿)は、もともとはスターリンの姿を模っていましたが、スターリン批判が始まった後の1963年に今ある二枚に変更されたとのこと。
こちらが、レーニンの演説姿。



こちらは「母なる祖国」。



この「コムソモリスカヤ駅」は1952年に開通しました。
そしてこちらは車両の中から見たホームの様子です。



ちなみに上に挙げたモザイク画は写真で見ると少し色がくすんでしまっていますが、実物はとてもきれいです。

地下鉄(4) Prospekt Mira駅

2009-12-12 | ★モスクワの地下鉄★
ステンドグラスがきれいな「ノヴォスラボツカヤ駅」を離れ、時計回りで更に次の駅に行きます。
「プロスペクト・ミーラ駅」。
1952年に開通した駅です。「オレンジ色のライン」とつながっています。



モスクワ大学の植物園が近くにあるということで、元々は「植物園駅」という名称がついていたのですが、1966年に「プロスペクト・ミーラ駅」という名称に改名されました。
そのため、壁には「植物」や「農業開発」にちなんだ美しいレリーフが並んでいます。
植物を顕微鏡で観察する学者の姿から、



楽しそうに植物を手入れする親子の姿などが、柔らかなトーンで描かれています。



ちなみにこの「ミーラ」という不思議な響き。
人によっては「ミイラ」を思い浮かべるようで、どういう意味なのか聞かれたりすることがあります。

もともとこれは「mir」という単語が語尾変化(正式に言うと「格変化」)している言葉です。
「mir」というのは「平和」、そして「世界」という意味を持つ単語です。

「平和通り」という大きな通りが地上にあり、この駅はその大通りに面しているためにこのように名づけられているわけですが、「平和」は「茶色のライン(環状線)」上にある多くの駅のメインテーマとなっています。
そしてこの「プロスペクト・ミーラ駅」には、まさにこうした「平和」を喜ぶ穏やかな気品があります。

地下鉄(3) Novoslabotskaya駅

2009-12-11 | ★モスクワの地下鉄★
美しいモスクワの地下鉄にあって、「茶色のライン(環状線)」上にあるこの「ノヴォスラボツカヤ駅」は、おそらく最も美しい駅のひとつだと思います。
・・・というか、ロシアの人に「どの駅を見に行ったらいいと思う?」と質問すると、「革命広場駅」などと並んで必ず名が挙がる駅のひとつです。



この駅は1952年に開通しています。

1988年に開通した「灰色のライン」の「メンデレーエフスカヤ駅」とつながっているのですが、「灰色」の方はごく普通の駅なのでその雰囲気、装飾の違いがとても目立ちます。

この駅を飾っているステンドグラスは、ラトビア人画家たちによってデザイン、制作されています。
テーマは「労働」です。
農業に従事する人の姿もあれば、



工場の労働者の姿もあります。



そしてトップの写真のようにピアニストや、画家、



建築家、学者の姿も平等に描かれています。




ホームの一番奥には巨大な赤ちゃんを抱いた女性のモザイク画(「世界中平和」と書いてある)があります。



このモザイク画、もともと赤ちゃんが手をのばしている先にスターリンの顔があったそうです。スターリンが亡くなり、フルッショフの時代になったら、スターリンの顔は取り除かれたのだそうです。

ちなみに、この駅は上述したように美しいステンドグラスが主な特徴となっていますが、上から吊り下がっている照明もなかなか凝っていて印象的です。



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地下鉄(2) Belorusskaya駅 (茶)

2009-12-10 | ★モスクワの地下鉄★
便利なモスクワの地下鉄。
「茶色のライン(環状線)」上にある「クラスノプレスネンスカヤ駅」の次の駅(時計回り方向)は、地下鉄「ベラルースカヤ駅」です。

「緑のライン」と交わっているのに加えて、地上にはベラルーシ行きの列車が出る鉄道の「ベラルーシ駅」があります。

「茶色のライン」上の「ベラルースカヤ駅」は、1952年に開業しました。



全体的に明るい色の大理石や漆喰、タイルを使っているためかとても爽やかで明るい感じの駅構内なのですが、実は2002年2月5日18時30分、この駅で爆弾テロ事件があり、子供を含む7名の方が怪我を負っています。

0.5キロの爆薬が、写真のような大理石のベンチの下に置いてあり(先頭車両の横)、それが爆発したということなのですが、この、見るからに重々しい天然大理石のベンチが、猛烈な爆発の衝撃を吸収し、そのおかげで死者、重傷者がでなかったのだと言われています。
ベンチがなければ、車一台が軽く吹き飛ぶ分量の爆薬だということですので、どんな惨事になっていたことか考えただけでも恐ろしくなります。



ちなみに、地下鉄構内の標識などどうなっているのか、時々質問されることがあります。せっかくですので、ご参考までに。
・・・下の写真のような「看板が」かかっているのが普通です。



この看板、ロシア語がわかれば問題はないのですが、ロシア語がわからない外国人にとってはなかなかの曲者です。(この写真つい最近撮影した写真です。いまだにキリル文字表記のみで、ローマ字表記がないことに注意してください)。
そうしたこともあって、ロシア語のわからない外国人にとってモスクワの地下鉄はまだまだ交通手段として利用するためのものではなく、カメラを片手にグループで「観光」しに訪れるところのようです。

そしてこちらは駅名。



乗り換えしたりして無事に目的地についた日には、ものすごい達成感を味わうのではないでしょうか。案外宝探しの旅のような感じですので、冒険好きな方はお試しあれ。

ちなみに天井のモザイク画は12枚。
いずれも穏やかで明るい感じの絵柄です。



そしてこちらがわたし達の一番のお気に入りの一枚です。



コンサートに関する新情報はこちらまで。

地下鉄(1) Krasnopresnenskaya駅

2009-12-09 | ★モスクワの地下鉄★
スターリン時代の「正」の遺産であるモスクワの地下鉄。
住んでいると慌しく過ぎていく忙しい日々の中で、なかなかゆっくり鑑賞したり、味わったりすることができないこのモスクワが世界に誇る地下鉄ですが、モスクワを離れたりすると途端にこの「地下鉄」が懐かしくなります。

1905年の第一次ロシア革命の舞台になったモスクワの中心部、クラスノプレスネンスカヤ地区には現在、「紫色のライン」上の「1905年通り駅」と、「バリカードナヤ駅」、そして「茶色のライン(環状線)」の「クラスノプレスネンスカヤ駅」があります。

「紫色のライン」の2駅は、いわゆる「便利だけれども、特徴のない普通の駅」なのですが、「茶色のライン」の「クラスノプレースネンスカヤ駅」は、1905年と1917年の出来事を描いたレリーフに飾られた美しい駅です。



1954年に開通しています。

この駅は地上の雰囲気もなかなか良いです。
道路を隔てた向かい側には、動物園への入り口があり、また少し行った先にはスターリン建築の代表的な建物のひとつ、文化人アパートがあります。
下記写真に見える背の高い建物が、「文化人アパート」です。
写真の右側の丸い建物が地下鉄です。前には大きな「戦士」の像が立っています。



レリーフには、前述したように1905年と1917年のロシア革命の様子が描かれています。



また興味深いのは、アーチ型の壁を支える赤い花崗岩。何と、アンモナイトをはじめとする様々な化石がついています。
下の写真は、このクラスノプレスネンスカヤ駅の壁についているオルトケラス(細長い渦巻き状の貝)の化石です。この写真は、こちらから引用しています。



ちなみにモスクワの地下鉄にある様々な化石を駅ごとに整理して、600枚以上もの写真データを使って説明しているすばらしいホームページもありますので、興味のある方はこちらへどうぞ。

コンサートの新情報はこちらへ。

地下鉄 スターリン時代の「正」の遺産

2009-12-08 | ★モスクワの地下鉄★
経済大国ドイツの今日の発展基盤となっているとても整備された高速道路網(アウトバーン)がナチスドイツの唯一の「正」の遺産、という言葉を耳にしたことがあります。どんな時代でも、「負」もあれば「正」もあるようです。
ロシア・ソ連のスターリン時代にしても然りです。

前述の大粛清は、スターリン時代の「負」の部分の最たるものですが、そんなスターリン時代にも、「正」の部分はあります。
しかも今日に至るまでモスクワ市民がその恩恵を蒙っているほどの、すごく強力な「正」の遺産です。

それは・・・ロシアが世界に誇る「モスクワの地下鉄」です。

ここ数年のモスクワは道路の渋滞が異常なほど激しく、平日の朝晩など地上の交通は実質麻痺しているような状態が続いています。特に雪が降り積もった冬場はひどいです。
そんなモスクワを唯一救っているのが、地下鉄の存在。

一度、試合に向かう途中のプロサッカーチームのバスが渋滞にはまって立往生してしまい、プロサッカーの選手達が全員そろって地下鉄で移動してスタジアムまで駆けつけたという出来事がありました。
この出来事が象徴しているように、モスクワ市民にとって地下鉄は、唯一のまともな交通手段であり、巨大なメガポリスを完全な麻痺状態から救っている救世主なのです。

もともとモスクワに地下鉄を作る計画は、1890年に持ち上がりました。
しかしこの時は、馬車の御者と、聖職者に猛反対され、この計画は中止されました。
20世紀初頭に再度地下鉄建設計画が取り上げられますが、今度は戦争と革命勃発によって凍結されます。

そして1930年代、急激に人口が増えたモスクワ市にあって、もはや路面電車とバスといった交通手段では間に合わなくなり、1931年に「1933年より地下鉄建設開始計画」がたてられ、それに基づいて1933年より施工されます。

1935年5月15日、スターリンの目が光る中異例のスピードで完成した地下鉄が開通しました。
この時開通した地下鉄の総距離は11km。
2つのライン(赤と水色)線上には、13の駅がありました。
開通の1935年5月15日には一日で、37万人の乗客が、出来たばかりの地下鉄に乗ったという記録が残されています。

日々どんどん人口が増えているモスクワにあって、地下鉄の「朝晩のラッシュアワー」というのも勿論あります。その時は日本と同じくらいか、あるいはそれよりももっとひどい「おしくら饅頭」状態になります。
しかしラッシュアワーの時は、最短で90秒間隔、ラッシュ以外の時間帯では平均して2分30秒くらいの間隔で車両がきますので、「おしくら饅頭」の不快感さえ我慢すれば、目的地に時間どおりに到着する計算をすることはできます。

こちらが現在のモスクワの地下鉄路線図です。(引用はこちらから)


モスクワの地下鉄には、スターリン時代に造られた博物館のような「美しい駅」と、スターリン亡き後に作られた「便利だけれども、特徴のない普通の駅」、そして、ロシア連邦になってから造られた「なかなかお洒落な駅」という三種類があります。

この「美しい駅」と「なかなかお洒落な駅」は一見の価値があります。
特に冬にモスクワを旅する時は、暖かくて快適な地下鉄観光、お勧めです。

トップの写真は、地下鉄を示す「M」のロゴが、もうすぐ大きくなるということを伝えるニュース記事(2009年6月25日付け)より引用しています。

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