母をたずねて

あ、ここ、あったかーい。

今日は暖かいからヒーターなんていらないんじゃないの。

みうはねこだからさむがりなの。

まっ、そりゃあそうだけど。やりすぎじゃないの？

やりすぎでもなんでも、いーの。ほっといて。

あらまあ。両手を突っ込んじゃって。

ねね、みうちゃん。みうちゃんのお母さんのお話し、聞きたい？

ん？みうのおかーさんのおはなし？


いい？これからみうのお母さんの話しをするからしっかりきくのよ。

あい。しっかり。

みうちゃん。みうちゃんのお母さんはみうちゃん達を産んで、
そのあとにまた赤ちゃんを産んだって前に話したことがあるわよね。
この間、おにいさんが来て、みうのお母さんの話しをしてくれたんだけど、
またお母さんはお腹が大きくなって、それっきり帰ってこないんだって。
みうと一緒に産まれた子や後から産まれた子たちを残してよ。
だからみうはもうお里に帰っても、お母さんに会えないの。

でもね、みうちゃん。そこが動物の賢いところなのね。
お母さんはそのことをちゃんと考えての家出だったの。
もうお母さんに会いたくても会えないけどしかたがないよね。
これが動物の定めなんだもん。
でないと大変なことになっちゃうし…。
みうちゃん、わかったかしら。このお話し。


うん。むずかしいけど、わかった。おかあさんにあえないのね。

そ、でもそう深刻にならないでね。みうのおうちはここなんだから。