今年の2月に続くバイオリン鈴木舞とピアノ福原彰美のデュオ・コンサートである。今回はCAP代表取締役の坂田廉太郎がプロデュースしているようで、標題のようなタイトルが与えられ、開演前に三人によるプレ・トークがあった。一曲目はストラヴィンスキーの「イタリア組曲」。この曲はバレエ「プルチネルラ」から7曲をピアノとヴァイオンのために作曲者自身が編曲した曲集で、軽やかで多彩なリズムに満ち溢れた曲達を二人は最初からハイテンションで弾ききった。続いては夭折の女性作曲家ブーランジェの「二つの小品」。豊かな叙情が漂った。前半の締めくくりはラヴェル最後の室内楽曲である「バイオリンとピアノのためのソナタ第二番」。鈴木の自在な表現にピタリと寄り添った福原のピアノ。この二人のアンサンブルは全く隙がなく実に見事だ。とりわけ遊び心満載の終楽章「無窮動」は圧巻で、弾き終わるや大きな掛け声がかかって前半を終えた。今回は二人の音楽が前回以上に濃密で、ここまででもう十分満たされた気分だった。そして後半は今回二人目の女性作曲家シャミナードの「カプリッチョ」で開始された。ここでは繊細な佳作ながら鈴木の音楽作りがいささか豊麗すぎて少し重たく感じる時もあった。そして締めくくりはフランクの「バイオリンとピアノのためのソナタ」。今度は鈴木の大きな音楽作りがピタリとハマリ、夫婦の一生を表すかのようなストーリーを見事に歌い上げた。福原のピアノも決して伴奏の枠に止まらず、バイオリンと同じ方向を見据えつつも随所に自身の煌めきを見せつ、見事な共演だった。まろやかに豊かに歌い上げられたアンコールのタイスの瞑想曲も心に染みた。
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