こういう質問や疑問が、けっこううれしいものです。
「これ、どうやって撮ったんですか?」
答えて進ぜましょう。多重露光です。
フィルムの時代から、実はぼくは多重露光の写真が多かったのですね。なぜなら、ぼくにとって写真はアートであり、文学であり、ゆえに独特の表現をしたいがために、テクニックをあれこれ駆使するに 全然抵抗がない風に考えておりました。
だから、ふつうは、プロカメラマンというものは、なぜか 多重露光というものを ちょっとバカにして いちだん見下げた風な雰囲気があったのではないでしょうか。アマチャ―のすることさ等という風にね。
ところが気分はアマチャーのぼくは、以前より独特の表現をしたいがためにカメラを手にした人間です。もともとは、創作の実験や新規の作品などは、アマチャ―によって担われてきて、プロが真似をする、というふうな、写真に限って言えばそういうことも言えそうなのです。
亡くなった小沢昭一さんがそういうことをおっしゃっていたような記憶がありますし、植草甚一氏など、アマでもプロでもどうだっていいや、面白い写真を撮っていたんですね。コラージュは彼の代表作でしょうよ。
ぼくは,誰から刺激を受けたんだろうなあ、多重露光に関しては・・・・・思い当たらないのですよ、まるっきり。
写真・文 石郷岡 まさを