この十余年間のびんぼ体験を書こうとして、昨日からそれを書き始めたんでしたね。
貧乏はへいちゃらなんだけれども、お腹がすいたときなど、何か昼飯を食べようとなった時などわれながらけち臭くなったなあ、と思ってぞっとすることがある。
今日も、午後、お腹がすいて、何食べようかなあと15秒ほど考えて、そうだ駅の中の立ち食いそばがあったはずだと、寄って見た。
ところでぼくの好きな噺家、落語家さんの事ね、が約2名ほど、たて続けに、駅の立ち食いそばのうまいことなどを、落語のまくらにふっていて、それもそうだなあ、と立ち食いそばに決めたこともあるのであった。たしかだいぶ前に入ったことのあるお店は、10坪もないお店にいつもざっと数えて、20人からのお客で混んでいる店だったが、そしてイカやエビのてんぷら、かき揚げの入ったそばがたしか360円、と記憶にあり迷わずに入ったのだった。
柳家喬太郎の落語を聞くと、一流の蕎麦屋のお蕎麦じゃあだめで、駅の立ち食いそばの小麦粉のもっちゃりしたそばでなけりゃあ、天ぷらもからっと揚げたものでなくベトッとするくらいの天ぷらがいいとか、うんうん、そうかもなあ、そんな気分もきょうはやっぱりべとべと小麦粉だけで打ったんじゃあないかというお蕎麦も、べったりかき揚げの脂っぽさも、まいったまいったなのであった。実はひいきのお蕎麦屋さんはあるのである。2倍ちょっと出せば、最高に満足できるお蕎麦をいただいて、蕎麦湯を飲んで、・・実にゆったりした時間を持つことができるのに、失敗であった。このお蕎麦屋さんは、ぼくにとって贅沢の場合に入るのでありまして、毎日のランチは実はぼくは穴場を知っているから、毎日そこでお昼をいただくのである。
なんと480円でバランスのとれたお昼を、今どきありえないでしょう?とれることをぼくは知っているのである。知っちゃったのである。お店の詳細は出せない、出せないけれどもヒントくらいは書こうと思う。
それは、役所のレストラン、なのだ。野菜から肉、魚 ご飯も味噌汁も実においしい。たまにもう一つ野菜サラダをとっても580円。あり得ないでしょう?こんな穴場も、最近はどこから聞きつけてくるのか、けっこうぼくのような役所にとりあえず用はないけれど、食事に来ました風の人をけっこう見かけるのである。そして、ぼくのような貧乏人の、年収2倍3倍の公務員の諸君がこんな恵まれたところでお昼をとっているのであります。君たちこそ、街の食堂で奮発して大枚1000円でも2000円でも払って大いに消費をしたらよろしいのに・・・・・・。
貧乏生活の知恵と生きる術を書こうとするならゆうに1冊の本を書けると思う。
ああ、そうだ、もう一人 立ち食いそば愛好家の噺家とは、柳家喜多八であったと思う。ぼくはこの噺家、けっこう好きなんである。
貧乏十余年、石めはだらだら生きております。ゆる貧もいいもんですよ、などと言いながら。次の一歩を大きく踏み出そうとしているのである。この写真の子のように。
写真・文 石郷岡まさを