音次郎の夏炉冬扇

思ふこと考えること感じることを、徒然なるままに綴ります。

留学生と過ごした1週間

2010-10-28 05:52:30 | 身辺雑記
先週ホームステイの留学生が帰国し、我が家の慌しかった1週間が終わりました。私は仕事で行けなかったのですが、最後の見送りの際は妻と娘と留学生が長い時間抱き合って号泣する劇的な愁嘆場を演じたようで、言葉の壁はあっても気持ちは通じ合うのだなあと、改めて思いました。

我が家に来てくれたのは、金髪ブルーアイのハンサムで、一団のリーダー的存在ともいえる、12歳の少年マイコーでした。陽気で快活な上に礼儀正しいとくれば、妻が気に入るのは当然ですが、受け入れを何とか乗り切れたのは彼の積極性に負うところが大きかったような気がします。振り返ってわが子を見るに、物静かで云うことを聞く性格なので、日本の家庭に預けた場合は「いい子だね」と先方様に思ってもらえるでしょう。海外留学でもロングステイだったら、時間をかけて長所を理解してもらえるかもしれません。でも言葉の問題があるので、短期決戦はそれだけでは足りません。度胸と愛嬌がある人が断然有利です。大袈裟なくらいのアクション、1度通じなくてもめげずに同じことを(言葉を換えて)話すタフさ、見慣れぬことにも物怖じせずチャレンジする精神が必要になってくると思います。

受け入れが初めての我々にとってはビギナーズラックというか、今回のマイコーは大当たりだったのですが、女の子を預かったお宅は苦労していました。総じて寡黙で無口、ホームシックで延々泣いている子、食事は殆ど手をつけず炭酸飲料しか飲まない子、実家の母親とチャットがしたいというのでPCを貸したら、部屋に閉じこもって出て来なくなり、挙句にずーっとオンラインゲームしていたりとか・・・。男子でもシャイな子はいたけれど、それでも素直だし真剣に交流しようという意思を感じましたが、女子の12歳というのは難しい年頃なんですかね。日本では女子の方が元気でアクティブなイメージがあるのですが、たまたまかな。

地域のお祭り、回転寿司、空手の稽古体験、東京観光、花火、近所の子の誕生パーティー、スーパー銭湯などなど盛り沢山でしたが、いずれも喜んでくれたようでホッとしました。子供たちとのコミュニケーションのきっかけはやはりTVゲームでした。近所の友人宅に滞在した留学生も含めて4人で対戦しているときの満面の笑顔は忘れられません。スーパーマリオやWiiスポーツなど、大画面液晶でやったことがなかったようで、「エキサイティング!」と興奮。改めて任天堂というメーカーのプロダクトの偉大さを実感しました。それと日本のコミックの知名度もです。ドラえもんとかナルトとか当然のように知ってますからね。

マイコーは箸も上手に使えるし、教えると食前・食後の挨拶も欠かさず、口にものが入っている間は喋らないなど、食事のマナーは日本人も見習ってほしいほどでしたが、和朝食にも積極的に挑戦し、味噌スープも舌鼓を打っていました。煮物では、レンコンは知ってましたが、ごぼうは初めてだったようです。うどんが食べたいというので連れて行ったら、「デリシャス!」を連発しながら完食しました。さすがに回転寿司で挑戦した納豆の軍艦巻きは途中でギブアップしましたが・・・。ライスフードが好きで箸は使えるけど、つまむのに時間がかかるようなので、小ぶりなおにぎりにしてあげたら好評でした。結局、滞在中はパンかご飯が殆どで、大量に用意していたシリアルを食したのは1日だけだったような。

それにしても文明の利器は有難いというか、インターネットは便利です。たまたま金曜の商談で使って持ち帰っていた会社のiPadが活躍しました。これがあれば電子辞書も要らず、扇子に書いてある「一期一会」というフレーズも即座に回答できちゃいます。グーグルアースで実家を教えてもらったり、当地在住の日本人女性が書いているブログを玄関にして、色んなサイトに飛び、多くの話ができました。もし居間にPCがあったとしても、あれだけ機動的に活用できなかったでしょう。

事前にお願いしていた通り、マイコーがゆっくり喋ってくれたので、なんとか会話が成立しましたが、英語力の不足を痛感した1週間でもありました。日常会話はともかく、込み入った話になると即座に言葉が出て来ないのが悲しい。大方は通じたのですが、通じなかったことのほうが強く印象に残っています。妻は英語を喋れないんですが、好きな洋画を毎日のように観ているので、実際ヒアリング能力は私よりもあるのです。そこで、「なん語を話す乳幼児や犬も人間の言葉が話せないだけで、こちらのいうことは6割がた理解しているでしょ。それと同じだから、気を遣って音ちゃんにばかり話しかけるのでなく、云いたいことは私に云ってほしい」って訳してと頼まれても、そんな長文はムリです(キッパリ)

スーパー銭湯では、露天風呂よりもむしろサウナが気に入ったようで(向こうにはあれだけ高温で強力なスチームはないみたい)、歓声をあげながらサウナと水風呂を15往復くらい繰り返していましたが、浴槽にタオルを入れてはいけないというのを説明するのに苦戦しました(汗)新しいタオルを持ち込み、しかも洗っているので、ダーティーという答えは納得し難いようで、ジャパニーズマナーとかルールと云ったのですが、「Why not?」と首を傾げていました。日本人の公衆感覚というか空気を表現するのは、私のpoor Englishでは難しかったですね。

ともかく、もっと英語やらなきゃなという意欲が喚起された一方で、言葉やコミュニケーションについて考えさせられたことも多々ありました。もちろん英語がもっと出来るのに越したことはないのですが、豊富な語彙が豊穣な会話を約束するものではないということです。むしろ多くの言葉が、本質的なコミュニケーションを阻害していることもあるのではないかと。

具体的な例をあげると、実質的初日の土曜朝に、妻がマイコーの家族にお土産を渡したいと云い出しました。甚兵衛とか浴衣とか下駄とか風呂敷などなど、事前に用意していたものです。今後の滞在や観光で買い物をするだろうから、重複を避けるために、このタイミングで渡すのだという趣旨を説明してくれと妻に頼まれたので、乏しい語彙で「~を避ける」とか「~しないように」と英作文して必死に喋ったのですが、よくわからないようで「????」と怪訝な顔をしています。仕方なく、当方の品物を「For your father」などと云いながら渡し始めると、マイコーもピンときたようで、2Fの部屋に駆け上がり、スーツケースから紙袋を持って降りてきて、我々家族へのお土産を床に並べ始めました。そして楽しい交換会のひとときとなったわけです。こうやって中身見せれば、彼も人並み以上に理解力があるわけですから、万華鏡があれば万華鏡は自分で買わないわけですよ。だから、「ダブらないように今渡すんだよ」なんていうインフォメーションは、彼にとって全然重要ではなかったのです。

振り返って、日本人同士の会話は言葉の壁がない分だけ、逆に不要な言葉が多過ぎて、生産的でないんじゃないかと。会議冒頭での前置き、上司への報告、その他もろもろ、「説明」と称するものの8割くらいは、喋り手の単なる「言い訳」にすぎないのではないかと。このエクスキューズに費やしている労力と時間を省いて、もっとシンプルに、そしてもっとストレートにできるんじゃないかと、外国人とのコミュニケーションを通じて学びました。

マイコーはホッケーやバスケ、ソフトボールが好きなスポーツ少年でもあり、トロンボーンを吹き、バンドでボーカルを務める音楽少年でもありましたから、TVゲームとともに言葉の要らない運動とカラオケを一緒にやりたかったのですが、1週間はあまりに短く、特に日曜が空手の昇給審査と重なっていたという日程の問題で心残りはありますが、まあベストを尽くせたかなと思っています。

僅か1週間であっても、言葉の壁を超えて、これだけの絆が生まれることに目覚めた(味をしめた)妻は、3日間くらいの放心状態を経て、早速留学生協会みたいなところにアプローチしていました。はやっ! 今度は都内の私立高校に9月から通っている香港出身の16歳女子だそうです。フィットすれば最長で来年の6月までの長期滞在になりますが、「それでいつから?」と尋ねると、

「ん、えーと、11月6日からだけど」

「えーっ!」

またまた掃除しないと。。。。orz

コメント (3)    この記事についてブログを書く
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3 コメント

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大成功ですね (meici)
2010-10-29 16:30:11
かなり、かなり、しっかりした男の子で、大成功ですね。帰国したら、凄いレポート書いてくれますよ、きっと。
お子さんも喜ばれたでしょう。少しでも言葉が通じるようになると、嬉しいものです。

我が家でもGoogle earthは活躍しました。同じ場所に行ったことがある、ていうだけで、盛り上がるものです。

我が家では、女の子のほうが、お喋り好きで世慣れていて楽でした。でも男の子のほうが聞き分けがいい、素直かな?その子のパーソナリティですね。PCを貸すと、際限がないので、最初に時間を制限するなど、こちらの要望を伝えておく必要がありました。

奥様は、とっても面白い方ですね。今度は長期滞在ですか。香港の子は漢字で筆談ができますよ。「白髪三千丈・・・」なんてのも(笑)。私も我が子の語学力のために、また長期滞在がいいなあ、と思っているのですが、3LDKのマンションでは、一部屋を空けられないので、断念しているところです。ほんと、自分の子にとっても刺激に、勉強になりますね。

私はホームステイに来た高校生の女の子が初恋の相手で、その後結婚したっていう人を知っています。
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素敵ですね (エコ)
2010-10-31 23:52:51
ステキな、また、お茶目な奥様、見習いたいです。交換留学生受け入れに挑戦したい!!と思いつつ、5年も経ってしまいました↓↓
また、楽しいお話が聞けますように。。。
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うーん・・・ (音次郎)
2010-11-02 01:25:38
meiciさま、毎度ありがとうごじます。

>奥様は、とっても面白い方ですね。

うーん、、、面白いというか、「きっと楽しいだろう」ということしか考えてないみたいで、配偶者としては、トホホ・・・と頭を抱えています。


エコさん、コメントありがとうございます。

>お茶目な奥様、見習いたいです。

いや、見習わない方がいいんじゃないかと・・・。楽しいかどうかはわかりませんが、こうなったら、またレポしますよー。
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