ことばと学びと学校図書館etc.をめぐる足立正治の気まぐれなブログ

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エコロジー的に思考する:3月7日の研究会から「探究活動と学校図書館」を考える

2009年03月27日 | 「学び」を考える

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 かつてジョン・デューイ(『学校と社会』)は、学校が社会生活と有機的な関連をもち、子どもが自分の経験を学校にもち込んで利用し、学校で学んだものを日常生活にもち帰って応用できるようにするには、学校を互いに孤立する各部分の複合体ではなく、一つの有機的な全体をなすものにする必要があると考え、そのかなめとして「図書室」を位置づけた。そこは、ただ図書が置いてある部屋ではなく、子どもが自分の「経験、問題、疑問、発見した事実をもちよって議論」し、「他人の経験からくる新しい光、世界の叡智の集積からくる新しい光を投ずる」ところである。つまり、デューイは、学校の「図書室」を「探究」活動を進めるところだと考えていたのである。

 たとえば、調理は、地域の生活とも学問の体系とも関連なく教えることが可能であり、事実、たいていの場合そのように教えられてきた。しかし、調理室にもち込まれる食材は、その土地の土壌から生じ、光や水の影響を受けて育てられたものであり、地域の多彩な環境を象徴的に表しているといえる。「ガーデンからより大きな世界へと広がるこの関連をとおして、子どもは諸々の科学の学習へと、最も自然なかたちで導かれていくのである。これらのものは、どこで作られたのか、これらのものが生育するためには、何が必要とされるのか、その作物と土壌との関係はどうなのか、気象条件の違いによる作物への影響はどのようなものなのか、などといった問題が生じ、学習の対象となるのである。」(ジョン・デューイ『学校と社会・子どもとカリキュラム』講談社学術文庫、pp.143-144

 このように、ものごとが「互いがかかわりあい、つながりあっている」ことを「背景となる文脈」から考えることは、関西大学人間活動理論研究センター(CHAT)が推進する「食」をテーマにした「ニュー・スクール(NS)」プロジェクトが目指しているものであると、37日に開かれた第4回活動理論と教育実践研究会でセンター長の山住勝広教授は語った。NSでは、子どもたちはエコ農法を体験しながら、自らの感覚を研ぎ澄まし、能動的なアクションを引き起こすという。最初、ミミズや虫に触れて、興味をもった子どもたちは、やがて小さな動物に託された大きなテーマへと探究的な学びを拡張する。それは、「エコロジー的に思考する」ことであり、「長い時間をかけて深く探究してゆく学び」であり、「現実の生きた生活世界や社会的活動と意味のあるかたちで関連する学び」である。

 山住教授の話を受けて、私は、デューイの描いた「学校の設計図」を今日の教育課題と関連付け、生徒の拡張的な学びと教職員の協働を誘発する「ひろば」としての学校図書館の創造について、自分の経験をもとに語った。

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