幹事さんのひとりごと

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さるかやぎ

2011年05月15日 | ひとりごと
「猿かやぎ」

秋田でというより土崎で古くから使われてた言葉。
「ばかもの」「おろかもの」という意味で相手を罵倒する言葉だ。
現在では使う人もいないだろうけど。

「かやぎ」というのは前にも考察したけど、一般的には
鍋物を作るのに鉄製の鍋は一般的に高価だったため、大きめの貝を
鍋の替わりにしたことから「貝焼き」がなまって「かやき」になった。
というのが通説。
俺はそんなでかい貝が庶民の手に入ったのかと疑問なんで、すき焼きに
対抗して農機具のクワで焼いたことから「クワ焼き」が語源じゃないかと
思うんだけどね。

それはいいとして、今回は「猿」。
秋田市内で猿は見たことも聞いたこともない。
海辺の秋田市でも山の方に行くとタヌキやキツネはいたそうだ。
クマやカモシカは見たこともある。
秋田市からはずれると猿もいるんだろうなぁ。

『語源探求 秋田方言辞典』(編著・中山建)によれば、「猿かやぎ」の
語源は竹を使った玩具があり、人形が飛び跳ねて1回転するやつ。
その人形に猿が使われていて「猿っかえり」と呼ばれていた。
それが「猿かやぎ」の語源だろうと。
突然飛び跳ねてひっくり返るような動きに驚くことから、一般的じゃなく
突拍子もない驚きのことを言うようになったということだろう。

他の説で、畜生は人間より劣り、猿も人間に近いながらも獣である。
そんな猿と契約したかのような猿同様の異様な振る舞い。
それを「猿との契約」、「猿契約」「猿けやぐ」「猿かやぐ」「猿かやぎ」と
なったのではないかと。

大正から昭和初期に活躍した土崎出身の劇作家、金子洋文の著書『牝鶏』に

「畜生ッ、畜生ッ、手前のやうなごろつき出て行きゃがれ、一刻も早く出て
行きやがれ、この猿鍋(さるかやき)」

として使われていて、土崎の古い言葉であることがわかる。

いずれにしてもテレビの普及で標準語だの共通語だの地方の言葉も氾濫し、
若者が日本語を変え、純粋に秋田弁、東北弁として残る言葉はほとんど
なくなってきている。
実際に使うとしょりだっていなくなってる。
でも、古い言葉を掘り起こし、聞き慣れずに新しく感じることもあるんじゃ
ないかとも思う。
若者が改めて古い秋田弁を使うってなんか楽しい気もするんだけどな。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
うちの親 (夫婦岩)
2011-05-15 11:37:10
は、庶民の中でも質素な方だった時代、普通に貝焼き食ってた、って聞いたけど…

まさか洋文氏まで猿かやぎとはね(笑)勉強になりますわ
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土崎弁 ()
2011-05-15 21:01:40
土崎弁の勉強会も楽しいかも?

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Unknown (ロンリーROM)
2011-05-15 21:30:22
「猿かやぎ」って土崎だけじゃないと思う。
うちの田舎でも使ってたし。
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おや? (幹事)
2011-05-16 08:46:16
ロンリーさんの実家って中国・四川だっけ?
ちがうか・・

貝を鍋の代わりにして囲炉裏で調理して、しかも昔の大人数の家族で
食うということが可能なのかどうか疑問でさ。
高給料亭じゃ出ることもあるけど、一般家庭では難しい気がするからね。
漁師料理とすればあるだろうけど。
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