万葉集ブログ・2 まんえふしふ 巻九~巻十

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2346 作者未詳

2012-06-04 | 巻十 冬相聞
窺良布 跡見山雪之 灼然 戀者妹名 人将知可聞

うかねらふ 跡見山雪(とみやまゆき)の いちしろく 恋ひば妹が名(な) 人知らむかも


「“うかねらふ” 跡見の山に(積もった)雪が、はっきり目立つように、愛する女の名前が、他人に知られてしまうでのではないだろうか」

●うかねらふ:窺狙(うかねら)う 狩りで獣などが通った跡を見て獲物をねらうところから「跡見(とみ)」にかかる

2345 作者未詳

2012-06-03 | 巻十 冬相聞
天霧相 零来雪之 消友 於君合常 流經度

天霧らひ 降りくる雪の 消なめども 君に逢はむと ながらへわたる


「空一面が曇り、降ってくる雪が、消えてしまっても、あなたに会いたいと、生き永らえているのです」

2344 作者未詳

2012-06-02 | 巻十 冬相聞
梅花 其跡毛不所見 零雪之 市白兼名 間使遣者 【一云 零雪尓 間使遣者 其将知奈】

梅の花 それとも見えず 降る雪の いちしろけむな 間使遣(まつかひや)らば 【一云 降る雪に 間使遣らば それと知らなむ】


「ウメの花が、どこにあるのか見えないほど、降りしきる雪だから、余計にはっきりと目立つでしょうね。書簡を届ける使者を派遣すれば 【一に云う 降りしきる雪の中に、使者を派遣させれば、それと知られてしまうでしょう】」

2343 作者未詳

2012-06-01 | 巻十 冬相聞
吾背子之 言愛美 出去者 裳引将知 雪勿零

我が背子が 言(こと)うるはしみ 出(い)でて行(ゆ)かば 裳引(もび)きしるけむ 雪な降りそね


「あの男(ひと)の、言葉に気持ちが高ぶって、(外に)出てゆけば、裾をひいた跡が残って(両親に見つかって)しまうわ。(だから)雪よ降らないで」

2342 作者未詳

2012-05-31 | 巻十 冬相聞
如夢 君乎相見而 天霧之 落来雪之 可消所念

夢(いめ)のごと 君を相見て 天霧らし 降りくる雪の 消ぬべく思ほゆ


「夢みたいよ。あなたと抱き合えて。(まるで)空一面に曇り、降ってくる雪のように、消えてしまいそうだわ」