井沢満ブログ

後進に伝えたい技術論もないわけではなく、「井沢満の脚本講座」をたまに、後はのんびりよしなしごとを綴って行きます。

ヒッチコック「裏窓」を観てきました

2017年05月11日 | ドラマ

朝10時上映会開始の名画祭です。

アルフレッド・ヒッチコックの「裏窓」。

舞台はジェームス・スチュワート扮するカメラマンの部屋、ほぼ一室のみ。

ヒッチコックが何度かこの至難の技に挑戦していて、本作は

成功していますが、やはり一室ものは作る側の冒険心と趣味みたいなもので

見る側は息苦しいです。

いっそ、舞台でやったほうがいいでしょう。

グレース・ケリーの端正な美貌は、もうハリウッドにはありませんね。

「ラ・ラ・ランド」のヒロインを観ているだけで、私はしんどかったです。

いつの頃からですか、男優のほうが女優より美しくなったのは。

「タイタニック」ですでに、そうでしたね。若き日の華奢で美しかった

ディカプリオのほうがヒロインのようでした。

ケイト・ウィンスレットは、腕太く腰回りは猪のごとく逞しく、私の友人などは

「なんで、おデブでブスのあんたが生き残る、あんた沈んでディカプリオを助けろや」

と言ってましたが。

当時は男が犠牲になって女を助ける、が西部劇以来のハリウッドの

お約束だったのかもしれません。

考えてみれば、別に女が沈んで男を助けてもいいわけですよね。

こういうとき、男女同権主義の女どもは、口をつぐんで知らん顔です。

あれだけ崇高な愛を捧げられながら、女のほうはちゃっかり結婚、

孫までいて、我が友のみならず私もシラケました。

おまけに編集が下手で、イライラさせられるし。

ジェームス・キャメロンは、その後「アバター」を見ましたが、有能な興行師。

アーチストではありません。

「裏窓」のジェームス・スチュワートですが「翼よ! あれが巴里の灯だ」を

中学生の時見て、ファンレターを出したらモノクロのポートレートに

直筆のメッセージとサインが届きました。

あの当時は、極東の少年からファンレターなど珍しかったので

お返事をくださったのでしょうか。

プリンストン大学出のインテリで、誠実さで知られていたとか。

志願して軍人として戦地で戦って来た人なので、終戦後まだ

日浅き頃、かつての敵国日本から来た、少年の手紙に

いかなる思いで返信をくださったのか・・・・・。

青インクのペン書きで今でも、持っています。

私の中では、勝手に「懐かしい人」のお一人なのです。

 

「帝一の國」の原作本、1巻と2巻が届き一読、映画は非常に手際よく脚本化

しています。

十数巻ある原作の、どこまでを映画にしたのかは知らないのですが学園内の

選挙戦をメインのエピソードにしているので、おそらく3,4巻目辺りまでか、

と3、4巻を今手配中です。

映画では、幼馴染の定番ガールフレンドがいる一方、男の恋人がいることに

今っぽい感性だと、そう記したのですが、原作ではもっと突っ込んでいて

ガールフレンドから「あの人は、あなたの何なの!?」と詰め寄られた

帝一が答真顔で答えていわく「奥さん」。

柔軟なほうだと、私は自分を評価していますが、その私がこの帝一の答えには

しばし絶句。想像を絶しました。

その一方、なるほどなぁ、と解らなくもないのです。

ハレの日に会うガールフレンド、日常の苦楽を共にする親友、しかも

その親友は自分に憧れまめまめしく仕えてくれ、見た目も可愛く、

絶対に裏切ることはない・・・・

と、考えつつ「奥さん」呼ばわりをやっと納得したところで、そういえば

帝一の國は政界の風刺劇にもなっているが、実際にいるよなあ、

男の女房は、と思い至ったのでした。

表向き用の妻と、運命共同体のごとき誠実な男の妻。います、そういえば、

政界に。武将の傍らに、常に契をかわした男がいたように、現代の

政界でも、いますね。

男の女房役で思い出しましたが、私が「バンキシャ!」に常連であった頃、

よくご一緒させて頂いたのが、元東京地検特捜部長でいらした

河上和雄さんでしたが、私とは水と油。

女子大に男子を入れることの是非の如きテーマのときだったか、

私が「ドルチェ&ガッバーナ(女性ファッションブランド)の新作を男が買うために並ぶ時代です。

男らしさや女らしさが言われる時代は終わり、これらは自分らしさが

キーワードになると思います」

そうコメントしたら、「わかりませんねぇ」と河上さんは苦虫を噛み潰した

ような顔でいらっしゃいましたが何度か番組をご一緒するうち、私が

意外にもかなりの硬派であることに気づかれたようで、好意的に接して

くださるようになりました。

 

しかし、漫画家って不思議な話を考えだすものですね。

勉強がてら「帝一の國」は全巻、読もうと思っています。

明日の朝は散歩の延長で、市川崑監督の「雪之丞変化」を見に行くかもしれません。

長谷川一夫さんと、美しい盛りの山本富士子さんが、ご出演です。

 

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8 コメント

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先生、すごく良くわかります! (大熊猫)
2017-05-11 22:21:55
「ラ・ラ・ランド」のヒロインを見ているだけでしんどかった、とのこと、私もその通りでした!
と言うより、いつになったら主役の女優が出てくるんだろう、としばらく思って観ていました。
先日娘と観に行った、ディズニーの「美女と野獣」も、映画の内容はテンポも良く、多少の矛盾点はあっても、さほど気にならない程度だったのですが、いかんせんヒロインの女優さんが、村一番の美女に見えないのです。
芯のしっかりした、気丈な娘さんではあるのですが、ごく普通の可愛い娘さん、ガストンが、あれこそ俺に相応しい村一番の美女、と執着するには無理があるので、話に入り込むのに苦労しました。
流石に、最後の舞踏会のシーンでは、綺麗だったので、ほっとしました。

私の母は、「めまい」が大好きで、あのヒロインのファッションがお気に入りでした。
もう今は、豪奢な美女は、流行らないのでしょうか?
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山本富士子さん 最高! (とほりすがり)
2017-05-11 23:13:35
「裏窓」のケリー、あの向こう側で、後ろ手で合図を送るところが、可愛くてはらはらで最高です。

確かに、暗い水の中に美しく沈んで行くディカプリオとは対照的に、ケイト・ウィンスレットは、あのピーピー笛を吹く時の、強い視線と健康的な姿態で、「生きてやるわよ」という覚悟というか、未来を暗示していました。井沢様の解説、面白い、最高です!

私も、結婚して、子供も作っちゃうんだ、と思いました。そして、またディカプリオの元に戻って行く。米国自由主義って、女性に優しい(笑)。

「雪之丞変化」、名優長谷川一夫の女装もさることながら、あだっぽい山本富士子さん最高です!楽しまれますように。
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追申 (とほりすがり)
2017-05-11 23:28:59
ジェームス・スチュワートのサイン、凄い!。
ファンレターは英語で書かれたのですか?
もう、一生物のお宝ですね。

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ラ・ラ・ランドに思わず反応 (ゆうこ)
2017-05-12 03:26:50
映画は悪くないとは思いました
特に最初の高速道路のダンスシーンはどうやって撮るんだろう!?
ヒロインは楳図かずおの漂流教室に出てくる女の子みたいなお顔で…所謂不細工顔だと私は思うんですけど?良く採用したもんだと変なところに感心しました

ヒッチコックの裏窓は何回見ても良いですよね
グレース・ケリーの着ている衣装はイーデス・ヘッドのものだったと記憶
特に白いアメリカンスリーブの白いブラウスとモスグリーンのタイトスカート姿は惚れ惚れします

話が変わってやすらぎの郷毎日楽しく見ています
この作品もラジオドラマもできそう!?舞台もやりようによっては出来そう(三婆みたいに加工できそう)映画にしたら詰まらないかも!?(ばーさんじーさんでビジュアルが今一でしょうか)
9月まで楽しめます
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裏窓! (toko)
2017-05-12 08:33:35
学生の頃、どこかの名画座でドキドキしながら観たのを思い出しました。

ジェームス・ステュワート出演では、グレンミラー物語も観に行きました。ジューン・アリソンと素敵なご夫婦を演じられていました。
ハンサムな方でしたが、誠実でもいらしたのですね。
直筆のメッセージだなんて奇跡のようなお話です!(井沢先生は奇跡的なことが多そうですね。)

ラ・ラ・ランドは見に行くつもりでしたが、だいたいの評判を聞いたのと、予告で女優さんのお顔を見て、「ま、いっか~」と流してしまいました。(漂流教室の女子、ですね!確かにw)
タイタニックも再放送で見ただけですが、はかなげな主題歌に似合わず、やたら生命力にあふれた大味なヒロインでした。
>あんた沈んでディカプリオを助けろや、には大うけしましたが、どうやっても沈みそうにない(笑)
社会の変化を映して、ヒロイン像も変わっていくのでしょうね。
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美人の基準 (夏風)
2017-05-12 09:12:15
美人の基準
ゆらいでいるように思います。
ミスコンの優勝者。
(優勝した方には申し訳ないけれど)
「?」です。
美しさもさることながら「オーラ」を感じないのです。
たしかにスタイルはいい。
長身でスレンダーで、出るところは出ていて。
だけどお顔のほうは…それほどでも。
外見だけでなく内面も審査対象らしいですが
それも「?」。
昔はミス○○といえば
納得できる美しさでしたね。
今はどうなんでしょう?
世界的なミスコンは
外人ウケする美人さんを選んでいるようです。
でもそれならミスコンする意味がないような。
アメリカのとあるミスコンで
上位入賞者たち8人?(だったかな)は
みんな金髪でブルーアイ、同じような顔だったという
笑えない話があります。
いろんな人種がいるのに、結局はお決まりの価値観、選択。(笑)
いろいろ書いちゃいましたが、こんなこと書いている私自身
人を批判できるほどたいした人間ではありません。
ミスの皆様、ごめんなさい。


漫画ですが
最近はネットで試し読みができるので
「帝一の國」も1巻まるごと試し読みしました。
おもしろいですね~☆
続きを読みたくなりました。

試し読みがいろいろできるので
(しかもすごいときは同じ作品で数巻も)
漫画の世界の自由さに驚かされるばかりです。
韓国映画「ビューティフルサンデー」なみのエグさ、いっぱい。
あ、もちろん、さわやか系も。
先生がおっしゃるとおり、
漫画の世界では性の扱いは実世界の先を行っていますね。

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Unknown (mai)
2017-05-12 11:42:37
>いつの頃からですか、男優のほうが女優より美しくなったのは。

それ言えてますよね先生。
今は良い意味でも悪い意味でもジェンダーフリー(和製英語だそうですw)の時代ですから、キャスティングをする方(プロデューサーと言うのでしょうか?監督に次いで一番の権力者だそうですね)が女性であったり、ストレートではない方の男性wが多いからかしらんと思って見ています。
それにしてもグレース・ケリーさんの往年の美しさは神がかり的でしたね。
それとかヒッチコック監督の「鳥」に出てて女優さんとか。
数年前にニコール・キッドマンさんがグレース・ケリーの伝記ものでご本人を演じられてましたが、見劣りがしてしょうがありませんでした。
やはり主演女優は美しくなければね。
それが原因でも無いですけれども、私は最近は映画見ないで海外ドラマばかり観てます。「Better Call Soul」とかすごく面白いですよ。
でも先生はやはり脚本家でいらっしゃるので、観劇・観賞の分野になると私たちと基本的視点が違うのねーとも思いながらブログを読ませていただいてます。
そんなお話も伺いたいなと考えてたら、もう来週ですね(●^o^●)
楽しみにしております!
当日は新宿に宿を取りましたww
翌日は学生時代の友と会ってTOKYO連泊です!疲れ過ぎない程度に気合入ってます!
最近はイベント始まる前に自分の気合に疲れてしまい、イベント開始時には既に終わってしまっているお年頃ですのでww

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お返事 (井沢満)
2017-05-12 18:34:06
★大熊猫さん

>いつになったら主役の女優が出てくるんだろう

笑いました。

しかし、昔ならヒロインやれるご面相ではないですよね。アップなんか、勘弁して欲しいです。
昔はスターの美しい顔に、木戸銭払ってたんですけどw


「美女と野獣」、観てませんが、理由は単純で女の子がきれいでないから、夢がない。


銀幕に大写しになる顔はきれいであって欲しいと、私は頑固に思い続けています。



★とほりすがりさん

中学生の拙い英語で綴りました。

★ゆうこさん

ダンスシーンは、事前準備してフリーウェイを2日間、締め切って撮影したようです。

https://oriver.style/cinema/la-la-land-opening/

>ヒロインは楳図かずおの漂流教室に出てくる女の子みたいなお顔で

なんでこの娘に男が惚れるんだろう? という思いが先立ちました。それが後に大スターになるというのも、???でした。

★tokoさん

映画の中で、女の子が一度でも、「私が海に沈むから、あなたが助かって」と言ったかどうか? 記憶を辿っているのですが、思い出せません。私の脳裏では、あたしが助かってトーゼンよ、的表情でしか覚えてないので、少々意地が悪すぎるのかもしれません。


★夏風さん

試し読みというてがありましたか。

「ビィーティフルサンデー」は面白かったですね。


★maiさん

>女性であったり、ストレートではない方の男性wが多いからかしらんと思って見ています。

案外、正鵠を射ているかもしれません。
ハリウッドにおけるゲイ占有率は非常に高いでしょう。
AVにおける男優が、軒並み不細工で体型ぶよぶよが多い心理と似通っているような?








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