井沢満ブログ

後進に伝えたい技術論もないわけではなく、「井沢満の脚本講座」をたまに、後はのんびりよしなしごとを綴って行きます。

ローマからの便り

2018年06月24日 | ドラマ

イタリアのプロデユーサー、Claudio氏から公演日当日の動画を送って来ました。
私自身は、開演時間すら知らされず劇場差し回しの、内装が凝った最新ベンツに
言われるまま乗り込み、劇場前の人の多さに驚きつつ、運転手の青年に
恭しく手を取られ車を降りたらいきなり歓声と凄まじいフラッシュ、
テレビカメラで、狐につままれたようだったのですが、
今こうして、全体を俯瞰で捉えたような動画を観ると、
敏腕プロデユーサーClaudioの描いたシナリオにまんまと
私も乗せられ、宣伝のための一つのコマとして、彼の手のひらで
転がされていたのだ・・・・と解ります。
いえ、不快を表明しているわけではなく、褒め言葉です。開演前のパーフォーマンスを仕掛けに仕掛けて人々を煽るやり口で、ほとほと感心しているのです。
この動画自体が最初からの青図通り、構成が成り立っていて、
手際の良いこと。
 

Georgie il musical al Teatro Sistina

 

今観るとまず、私の滞在ホテルから劇場に到着する時間を測っていて、私を乗せたベンツが現れると即座にそれを正面から捉えるべくカメラをスタンバイさせていたことが、解ります。あの群衆の中、カメラは最初から位置を確保、準備してないと撮れない構図です。
彼の脳裏には宣伝媒体としての動画作りのコンテが、きちんとあったのだと思います。

なにゆえに、イタリア全土からコスプレ族が集結したのか解らなかったのですが、これもおそらくClaudio氏の仕込み。それによりマスコミに働きかけ、芝居とは別要素をも加味して動かしたな、と睨んでいます。

物語がシドニーに汽車が開通した1985年頃の話なのですが、それから
舞台はロンドンへと移り、当時のイギリス王室をも含む上流社交界が背景になるので
コスチューム・プレイの要素が大きいのです。
そこに着眼、コスプレ族を煽ったかなあ、と想像しています。コスプレ族の人数自体は
さほどのことでもなかったのですが、その場の盛り上げには有効でした。

ひとしきり彼らと私の写真を写しつつ、そして市内のみならずミラノや、
遠くはシチリア島から駆けつけてくださった
ファンの方たちと私を交流させつつ、いよいよスターたちが登場という段取りなのですが、スターたちは扮装のまま、馬に引かせた馬車で表に登場させ、ひときわ高い歓声、という構成です。ロビーでサインやらファンの方たちとの2ショット撮影に追われていて(次から次、子供からいい年齢の男性まで含め半端ない数だったのです)、馬車の演出は、動画を見て初めて知ったようなしだいです。
馬まで登場させて、すでに芝居のオープニングなのです。悪役は
私と視線が合ってもニコリともせず、参集の人々に手下に銃を向けさせ威嚇します。

動画の当初、ロビーで踊ったり仮面をかぶった人たちはコスプレ族で、登場人物ではありません。出演者は馬車で登場した人たち。馬車以降が出演のスターさんたちです。
ローマは夜8時になってもまだ明るく、開演時間が遅いので終焉も午前0時
近くだったのですが、楽屋を訪ねてロビーに出ると出待ちの人たちが30人ほども
待ち構えていました。

コツコツと上演を重ね、ついにイタリアのミュージカルの殿堂と称される
システィナ劇場に持ってきたClaud氏の辣腕に脱帽。
公演の翌日、当夜の様子と私がイタリアのテレビで流されると聞かされたのですが、見ていません。それにしても、原作者としての私の訪問だけでは、
イタリアのテレビが流すほどのことではなかったでしょう。
そう言えば、イタリアのネットニュースの人も来ていました。
ひとえに、プロデューサーのこまやかで、かつ大胆な手さばきに帰することです。

 

誤変換他、後ほど


10 コメント

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晴れ舞台(^_^) (総太郎)
2018-06-24 18:17:54
先生、素晴らしい晴れ舞台の御様子がなによりですね(^_^)

Claudio 様の暖かい気配りと演出に、日本のファンとしても改めて厚く御礼申し上げたい気持ちですm(__)m

先生の作品がこれからも海外に広く愛される事を願ってやみません!

ところで、昨日御紹介した梶芽衣子さんの回想録にも、先生が受けた暖かいおもてなしに共通する素敵なお話が・・。

昭和48年頃、梶さんが御自身の主演する東映作品に於いて、御自身の育ての親とも言える敬愛する日活の長谷部安春監督の起用を懇願・御指名し、何とか実現。
まだまだ五社協定の名残りも強く、他社の監督に対して排他的だった時代、
東映の俊藤浩滋プロデューサーは、長谷部監督の御自宅に毎日、高級車のハイヤーを送迎に手配!

俊藤さんは、梶さんに対してそんな事は一切仰らず、俊藤さん没後、長谷部監督の奥様からその事実を知り、感謝の気持ちで一杯だったと・・。

世界共通で、素晴らしい方々、粋な計らいをなさる方々はいらっしゃるのだなと・・(^_^)

さりげない気配りや演出は小生のような凡人には無理ですが、それが出来るのが一流の方々なんでしょうね。
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華やか! (ぬかった)
2018-06-24 20:05:19
素敵な演出ですね。
溢れる色彩の中、先生のお着物姿がまた素晴らしいと思います。

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またも感動に包まれました(#^.^#) (じゃあがじゃあが。)
2018-06-24 20:23:30
動画拝見させて頂きました(’-’*)♪

井沢先生が車から降りられて、沢山の歓声に当初キョトンとされてるご様子がとても微笑ましくて…
そして、井沢先生のお顔がだんだん笑顔になって
私も一緒に感動に包まれてる気持ちになりました。
馬車から降りて来られたのは役者さんだと直ぐにわかりました。
本物というかとても力強さを感じたので。
やはり役者さんの迫力は違いますね!
井沢先生、動画をアップして下さってありがとうございます。
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お返事 (井沢満)
2018-06-25 10:34:38
ぬかったさん


着物の選択は迷ったのですが、あまり地味めに
しなくてよかったかもです。白黒ですが、白に
模様が入っていて帯がゴールドのラインの
一本独鈷なので。

じゃあがじゃあが。さん

車を降りた当初は、一瞬誰に何に歓声が上げられてるのか、解らなかったのです。

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ゆっくりと (mai)
2018-06-25 10:50:47
朗らかな微笑みをたたえてお着物姿でお辞儀をなさる先生がまた素晴らしいです。
お着物もま抑えたお色目でリアル品格の塊!
カメラアングルによって全然違った世界が展開されていたことに驚きました。
ご盛況は認識していましたが、これでは興行的にも大成功だったことでしょう。
ますますのご活躍をお祈りしてます
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maiさん (井沢満)
2018-06-25 12:01:15
私は普段から【王様歩き】と言われていて、ゆったりなのですが、ローマでもゆったり歩いてますねえ・・・・。
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熱狂 (熊笹)
2018-06-25 12:22:32
大変な状況だったのですね!動画だと熱狂や人出が良く伝わります。群集の中で、先生のシックなお着物が映えます。先生のおすましも微笑ましく拝見させていただきました(スミマセン!)
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熊笹さん (井沢満)
2018-06-25 18:10:21
観ていただいて、ありがとうございます。
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劇場前も既に華やか (美しい日本)
2018-06-25 23:05:12
井沢先生  こんばんは

動画や先生の解説を見るとファンの方々と良い交流が持てたことが伺えます。

飛行機に乗るのが嫌な先生とイタリアのファンの皆さまの交流は、
今回の一度きりになるかもしれませんので・・・
ファンの皆さまの貴重な思い出になるのではないでしょうか。


最初に動画を見た時は、先生が、かなりゆっくりとした動きなので、飛行機や海外のストレスで少し弱ってらっしゃるのかなと思いました(若しくは少し眠いのだろうか・・・とか)。
・・・普段通りだったのですね。
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美しい日本さん (井沢満)
2018-06-25 23:16:33
ゆったり歩きは、普段からですが長年愛犬たちを連れての散歩ペースも影響しているかもしれません。
劇場前は、びっくりするあまり憶えてないのですがカメラを構えている人たちがびっしりいて、その人達のためにゆっくりしたような気もします。
それなら背後を振り返って、立ち止まり手ぐらい振ればよかったのですが、状況が掴めずそんな余裕はなかったかもしれません。
ロビーに足を踏み入れた辺りから、ようやく熱気に慣れたしだいです。
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