農林水産省は4日、2015年産の主食用米の生産量が前年比44万トン減の744万2000トンとなり、生産調整(減反)の生産数量目標(751万トン)を下回ったと発表した。
目標値の設定が現在のやり方になった2004年以降、減反目標の達成は初めて。
政府は農家に対し、主食用米から家畜の飼料用米への転作を促している。15年産では、飼料用米の生産量が前年比24万トン増の42万トンに伸びたことが、目標達成の要因だ。生産調整は18年産から廃止される。
飼料用米は価格が低いため、政府は収入の10倍以上を交付金として農家に支給し、主食用米を作った場合と同程度の収入を得られるようにしている。15年度の財政負担は640億円程度に上る見込みで、多額の税金を投入して減反目標を達成し、米価を維持する構図となっている。
食生活の変化に伴って消費量は年々減少し、近年は毎年約8万トンのペースで減り続けている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151204-00050159-yom-bus_all
引用 読売新聞 2015/12/4
コメの消費量は年々低下しているのですが、外食用コメは消費量は逆に増加傾向にあったのではなかったかと記憶しています。
また、今年は大規模な水害がありましたのでどの程度の被害が生じているのかも問題です。
コメは減反しているのに対して、収穫量が上回るのは品種改良による耕作地当りの収穫高の向上があります。
同じ面積での収穫高が向上しているわけです。江戸時代に”石高”という制度がありました。1石は大人が一年で消費するコメの量を指し、その当時で180kg・・・3俵だったそうです。この3俵が収穫される面積が凡そ”1反”という資料がありますので、現代の収穫量・・・1反あたり420kg。7俵ということになるかと思います。ちなみに日本人の平均的なコメの消費量は60~70kgらしいということです。(江戸時代の180kgは生活全般の費用も含めてですので、純粋な消費量ではありません。)
話し変わりますが、小麦の輸入価格というのは国際的な取引価格が末端価格に影響を及します。世界最大の生産地は米国で世界最大の消費地は中国であったと記憶しておりますが・・・。
日本の経済成長の要因の一つは食生活を”小麦”に依存しなかったことにも要因があります。一時アメリカが日本のコメの自由化を執拗に迫ったのですが、アメリカのコメの生産量というのは世界的な生産量の数パーセントにしかならなかったはずです・・・にも拘らず、執拗にコメの輸入の自由化を叫ぶ背景には食生活における小麦の比重を高めることにあったといえます。
・・・原油もそうですが、主食となるべき産品は”戦略物資”なのです。
アジアの新興国の強みは何か?主食をコメに頼っていることにあります。主食の大半を自国で賄えることは重要なことであるといえます。
日本人の食生活がコメから小麦にスライドすることは安全保障という面からいっても好ましいことではありません。それはコメの年間での生産規模を縮小し続けることで、問題が生じた際に国民を飢えさせることになるからです。逆に生産規模を維持するためには・・・品質の維持とコストの低減。何よりも生産農地の確保が重要になります。TPPはその逆になるのではないかと思われるわけですが、劇薬も利用方法次第では良薬になります。国内農業生産の問題は零細性です。これは少なくとも中規模にする必要性があります。
日本の農業は価格面では劣りますが、その生産性は他国に負けるものではありません。ようは価格競争力の強化と収入の向上をバランスよく果たさねばならないと言うことです。
中国の軍事力の台頭の背景には資源の確保があるかと思われますが、今後は更に加速するかと考えます。それは工業用資源の確保ではなく、食料の確保に比重が移るのではないかと考えられます。共産主義や社会主義国の崩壊の原因は食糧問題が存在していますので・・・。
日本は経済単位を穀物によって測るという経済史的にも珍しい民族かといえます。今、その感性が再び重要視されてきていることに再認識すべきではないでしょうか?(当然、現在にアレンジしてですが・・・)
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