『 庭の初氷と葉ボタン』 16日の朝
須田 孝雄さん 撮影
最近は淋しい老人が多いとかで、その為の老人訓というか老人の生き方、
考え方の啓蒙の本が多く出ている。それだけこの長寿社会は、めでたい反面、
問題や悩み深い人が増えていると言うことなのだろう。
私ももちろん淋しい老人なのでよくそんな本を読んでいる。
そんな本が教えている共通項は、他ならぬ「人を好きになること、どんな人でも
好きになりなさい」という事だ。これが楽しい老後のためのポイントのようだ。
心理的には、人がある特定の人を嫌いになるのは、なにやら生理的に合わない
と言う我が儘な人の数少ない例外を除けば、まずは自分のプライドが傷つけられた時、
次は相手が自分より優秀とか上だと思った時、そして三つ目は相手が自分を好んで
いないと思った時だそうで、これが日常生活でも、それの大きな要因だと言われている。
しかしこれも年を取れば、人との利害も、競争やライバル意識も、上下関係も恋愛関係も
(あっても好ましいなぁ!いい人だなぁ!と思う程度だろうし)総じて薄くなっていく
のが普通だろう。
すると嫌いにはならないが、好きにもならないと言うケースが増えてしまう。
それではいけないのだと老人学の心理学者は教えている。
人を好きになれば、人にも好かれるものだという。つまり人に嫌われている人は、
人を好きにはなれない人が多いのも事実だろう。
75歳を過ぎたら、人に嫌われないコツは、他人の話をよく聞くこと、自分以外の
事にも関心を持つこと。そして無感動、無感情、無表情ではないこと。
人への思いやりを意識し、自分の世界に入り込まないことだと言っている。
80歳を過ぎたら、もうそんなことは、どうでもよくなってしまうのかも知れないけれど。
何時までも新鮮でナイーブな神経と感性を持ち続けたいものだ。
そしてもう聖者みたいなものなのだから、いろいろな状況で人に嫌われれる事もあるかも
知れないが、少なくても人を嫌いにだけはならないようにしよう。
それが心暖かい老人の人生訓のポイントであるようだ。