こおろ、こおろ

まぜまぜしましょ

「亡国のイージス」を観る ◆これってネタばれか?◆

2005年08月09日 02時06分04秒 | Weblog
イージス艦「いそかぜ」副長、宮津:「海上警備活動の範疇では、こちらが攻撃しない限り、貴艦は機銃弾一発撃つことが出来ない」

対日工作員、ヨンファ:「よく見ろ、日本人。これが戦争だ」

宮津のセリフは、停船命令に従わなければ進行を阻止しなければならないと言う護衛艦「うらかぜ」艦長、阿久津に対して発せられた。
躊躇なく護衛艦「うらかぜ」を対艦ミサイルのハープーンで攻撃、撃沈させると、笑みを浮かべながらヨンファのセリフが。

こんなセリフがある事を知り、予備知識も無いまま「亡国のイージス」を観てみた。

冒頭のセリフの他にも日本の現状をチクリと刺すセリフが随所にちりばめてある。
たとえば、イージス艦「いそかぜ」がヨンファらに占拠されたことを受けて、国内では国家安全保障会議が。
閣僚と幕僚が揃い、そこへ内閣総理大臣、梶本が到着。「…なんで俺のときに」とつぶやきながら。
DAIS(防衛庁情報局)内事本部長、渥美と内閣情報官、瀬戸の会話にも頷くものがある。

私はまだ原作を読んでいない。
多分、もっと深くあじわえる作品なのだろう。
また、映画では登場人物の背景描写が抑えられ、観る側にゆだねられていたので、近く原作を読み自分の想像と原作をすり合わせて楽しもうと思う。
先任伍長(真田広之さん)とともにイージス艦を占拠した工作員らと戦う如月行(勝地涼さん)、対日工作員ヨンファ(中井貴一さん)と妹のジョンヒ(チェ・ミンソさん)、「いそかぜ」副長の宮津(寺尾聰さん)、ヨンファの部下である山崎謙二/ドンチョル(安藤政信さん)など、その背景が気になる人物ばかり。

自衛官が交わす言葉の意味や、作戦に伴う装備の名称など、よくわからない部分もあったけど、全体としては、なかなか楽しめた。

原作者の福井さんは『惑星直列が起きたんだ』と、よく言うそうだ。
理解を示し、全面協力をした石破前防衛庁長官、古庄前海幕長、伊藤広報室長、井上広報担当の4名が映画を立ち上げる時期、同時に防衛庁にいたからだと言うが、協力を得られるというのは原作を評価したからこそ。
こういう作品を映画化するのは、まだまだ先のことだと思っていたけど、周りがざわめきだしてきて、日本人の意識も変わってきたのかもしれない。



余談だけど、予告編で気になったのが藤沢周平さん原作の「蝉しぐれ」 

20年-
人を想いつづけたことはありますか

こんなテロップで始まった。

名作らしいけど、原作を読んだ事は無く、予告編を観てすぐに原作を読み、映画を観たいと思った。
NHKでも昨年末放送されたようで、そのとき脚本を手がけた黒土三男さんが監督・脚本を担当している。
この予告編は、こんな言葉で締めくくられる。


私たちが どこかに忘れていた
「日本人の気高さ」が、ここにある。


なぜか胸があつくなった。