第65回日本産科婦人科学会学術講演会の続きです。
浜松医大の鳴本敬一郎特任助教(家庭医療学)が、
「この50年間で、日本の女性の骨盤の形が変ってきている」
との発表をされました。
↓
ポスターセッションで、ポスターは英語。
口頭での発表は、日本語だったそうです。
↓
発表に先立って、5/9の朝日新聞夕刊に、同様の内容が載りました。
↓
これは朝日新聞の医療サイト「apital」に掲載されている記事で、
ここから読めます。
↓
右上の図を拡大すると、
↓
この50年間で、細長型(類人猿型=Anthropoid)が激増し、
扁平型(Flat)が激減しています。
新聞の記事には
「細長型は帝王切開や分娩時に機器を使った割合が丸型より
高い傾向が見られた。
ただ、骨盤の形が理由かどうかは分からない」と書かれています。
↓
私は10年ほど前から「細長型(類人猿型)が増えている」
と感じていましたが、
今回の学会で、それを裏付ける発表がされたんです!
私は助産学生時代に「女性の骨盤は四つの型に大別できる」と学び、
習った教科書(新撰産科学 川上博ら 金原出版)には
このように描かれていました。
↓
私は開業してから「現代女性できれいな女性型骨盤を持つ人は
1割いるか、いないかでは?」と感じるようになり、
そのように書いたこともあります。
そこで、私が言いたいのは「丸型≠女性型」ということ。
丸型は現代でも45%もいるのです。
これを女性型と考えると「渡部信子は大ウソつき」となります。
ちなみに、鳴本先生は、
前後と横の長さが均等で丸い骨盤を「丸型」とされていますが、
記事には「丸型は女性型」とは載っていません。
前後と横の径が同じくらいの骨盤を「丸型」とするのが
調査・研究しやすかったのかも知れません。分かりません。
従来より、どんな教科書にも描かれている女性型骨盤は、
このように骨盤入口(にゅうこう)は横長の楕円形。
↓
↑
前後径のことを、真結合線とも言います。
↓
骨盤入口の径の長さの平均値は、新撰産科学によると
↓
このように、前後径が10.7cmで、横径が13.5cm。
このように、前後径の方が横径よりも短いのです。
なので、私は、
丸型=女性型と類人猿型(細長型)との中間型
であると考えています。
記事に描かれている扁平型は、
扁平型と女性型の中間~女性型に近い型
と言えると思います。
人間の胎児の頭は、このようにかなり前後に長い形をしています。
↓
ですから、丸よりも横に長い楕円の方が
胎児の頭は、骨盤に入って行きやすいのです。
胎児の頭は骨盤入口の形に合わせるように、
背中は横に向けて骨盤に入って行き、
次第に、背中を前に回旋させながら進入します。
↓ ↓
↑
背中を右にして骨盤に入る子もいます。
私は典型的な扁平型ですが、とても安産でした。
扁平骨盤の方が児頭は細長くなり、骨盤出口部を通過しやすいので、
安産になりやすいはずだが…、
なぜ、丸型よりも自然分娩している人が少ないのか?
時々帝王切開になった産後のママから理由を聞くと
「入院診察の時に『赤ちゃん大きいね。骨盤狭いね。無理だね』
と言われて帝王切開になった」と、聞くことがあります。
「こんな感じで自然分娩できなかった人もいるのでは?」と、
推測してしまうんですよね~。
細長型は帝王切開や機器使用の分娩が、最も多いとはいえ、
「目立って多い」というほどではないですね。
私はそれよりも、骨盤の内腔が広い分、
反屈位(反り返った姿勢)で骨盤を通過することが多く、気になります。
そのため、赤ちゃんの首に負担がかかリやすく、
「反り返って、激しく泣き続ける子が多い」と感じています。
ともあれ、こうして産婦人科学会で、
このような骨盤に注目した研究が、
発表されるようになってきたんです。
真っ暗な周産期医療の現状に、
一筋の光がさし込んだようで、とてもうれしいです。
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類人猿型が増えているというのは当たり前の結果でした。しかし、丸型ってこんなまだいるんだなという自分の感想に対して疑問を抱いて考える作業がかけていました。
私も渡部先生みたいに一歩さらに踏み込んで考えなくてはならないと、自分の未熟さと今後の課題の発見ができました。
目標にできる師匠に巡り合えたことに感謝します。
ホモサピエンスにとっての理想的な骨盤とは、
50年前くらいの前までの多数派骨盤で、
それが女性型骨盤と言われていたはずなんですけどね。
現代ではあまりにも少なすぎて、
「どんなのが女性型なのか?」
「本当にいいお産ができる骨盤とはどんな骨盤か?」
について、分からなくなってしまった感じですね。
10月の日本母性衛生学会でも
北海道の医師が骨盤の形態の変化について
発表される予定です。
楽しみですね。