流動のイイ女

妻子もちと別れ⇒いじめで会社を退職⇒脱無職⇒上司と不倫関係⇒約3年の不倫にピリオド⇒復縁、妊娠⇒未婚の母に

悲しい出来事

2006-09-05 | 過去のできごと
母の実家、つまり祖母の家には犬が2匹いる。
家の庭には手作りの犬小屋が二つ並べてあって、夏だから間にビーチパラソルがさしてあった。
さすが親子で外見はそっくりなのだけど、性格はまるで正反対。
母犬はいつも大人しくつつましげに尾を振ってくれるのに対し、息子犬はとても活発でよく鳴き飛び跳ねて歓迎してくれたものだ。
母犬の名前は忘れてしまったが、子供犬の名前は「ゴクウ」だ。
もちろんあの漫画のゴクウから取ったものだったのでアタシもよく覚えていた。
親子の犬はとても犬臭かったけど、祖母のもとを訪れるたびに「おめーはいつもクセーなー」と言いながらよく撫でてた。
お盆休みに親戚が集まってるからと、祖母の家を訪れた時、相変わらず親子犬はアタシを歓迎してくれた。
飛びつかんばかりの勢いで喜んでくれるゴクウを、なぜかその時アタシは撫でなかった。
そう、その時だけゴクウの身体に触れる事をしなかったんだ。
きっと臭いとか面倒くさいとかそういう理由だったと思う。

そして先週の土曜、母と祖母を健康センターに連れて行くことになり、また祖母の家を訪れた。
だけどそこには一つの犬小屋と一匹の犬しかいなかった。
出迎えてくれた祖母にアタシは聞いた。
「あれ?なんで小屋が一つしかないの?ゴクウは?」
すると祖母は目を伏せながら言ったんだ。
『死んじゃったの・・・』
「えっ!!?」思わず大きな声を出してしまった。
理由を聞いても『分からない』の一言。おかしい。
祖母の姿が見えなくなった隙に母親に聞いてみた。
『フィラリアかなんかじゃないの?』
どうでもよさそうに答えられた。
その時は死因がフィラリア(であろう)ということよりも、母親がゴクウの死を知っていたことの方がなぜかショックだった。電話した時にでも耳にしたのであろうが。
アタシはついこの前まで元気にしていたゴクウが突然いなくなっているのがとてもショックで仕方なかった。
だってまだ3週間くらいしか経ってないのに。
この3週間の間に一つの尊い命が消えてしまっていたなんて。
それと共にこみあげてくる思い。

どうしてあの時、ゴクウを撫でてあげなかったんだろう。

おかげで最後にいつゴクウに触れたかなんて思い出せやしない。
アタシはゴクウの飼い主でも、その家族でもないけれど、一匹の犬として可愛がってきた。
ゴクウが生まれて何年も経ってるけど、顔を見る度に撫でてきたのに。
どうしてあの時だけ撫でなかったんだろう。
今となってはすごくすごく悔やまれる。
心なしか寂しそうに見える母犬の鼻先を、そっと撫でてやった。

フィラリアで死んでしまうとは、どういう状態なのだろう。
アタシの家の歴代の犬たちはフィラリアで亡くなったことはないので、そういうのは分からないが、それは目も当てられないような光景だと聞く。
日に日に衰弱し、やせ細っていく姿。
もしゴクウがそうだとしたらすごく切ない。
しかし、あんなに元気だったのにたった数週間で死んでしまうものだろうか。
すでに発症していたのだろうか。対処はできなかったのだろうか。
従姉弟は何も思わなかったのだろうか。
記録的な暑さの中、星になったゴクウ。もうちょっとその姿を見ていたかった。

健康センターで日中過ごし、祖母を家まで送り、そして母をも送り届ける。
アタシの実家にも犬が一匹いて。
こいつもまたアタシがくると狂喜乱舞で歓迎してくれる可愛いヤツ。
しかし実際は、飼われてから1メートルたらずの鎖に繋ぎっぱなしで、糞尿は垂れ流し状態。
散歩もほとんどさせてもらえないから超肥満体だし、シャンプーもしないからコートがボサボサ。
せめてアタシがいる時に何かしてあげたいが、一人暮らしだとキツイものがある。
ま、言い訳だけどね。
「もう何歳くらいになるんだっけ?アタシが中学生の時に拾ったんだから、もう10歳はいってるよね」
撫でながらアタシが言うと母親はふん、とつまらなそうに相槌をうち

『こいつもそろそろ寿命だな』

どうでもよさそうにつぶやいた。

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