町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

武蔵野を駆ける伝統の黄色い電車・西武新2000系(中期・後期車)

2021年05月14日 | 西武鉄道

西武鉄道の通勤車両は長らく非貫通正面・3扉を基本とし、1977年から製造された2000系からは初の4扉車に移行する事になりました。この時点では新宿線のみの配置でしたが、1988年の6次車に分類される車両からは大量製造され池袋線系統にも進出し一気に4扉化を推し進めました。これらの形式は新2000系と呼ばれ既存の2000系とは区別されており、後に101系の廃車発生品を流用して製造された9000系もほぼ同一デザインの車体を採用した為、従来車に代わり一時期の西武通勤車の象徴的存在となりました。現在は9000系が池袋線から撤退し多摩湖線に活躍の場を移した為、本線系統で活躍する最後の黄色い電車となっています。

新車攻勢に晒されながらも、新宿線系統では大活躍を見せる新2000系。製造時期により細かいバリエーションが存在し、最初期車は正面非常用貫通扉の寸法が若干小さいのが特徴でした。写真の編成は中期車(2531F2545F2059F2545Fが該当)に区分される車両で、貫通扉窓寸法が大きくなり左右の窓と揃えられた他、側面ドア窓も拡大され四隅が角張った形状で、京王電鉄の車両を思わせるスタイル(化粧板や座席も京王60007000系と類似していた為、車内はよりその印象が顕著)になっています。 

池袋線所属の後期型編成。ドア窓形状は四隅のRが大きく寸法が小振りな初期車と同じ仕様に戻りましたが、戸閉装置を旧来の床置式から鴨居部分に設置する直動式に改めた為、開閉動作が異なっています。このグループに対しては2007年〜2011年に車体修繕と大規模更新改造が実施されましたが一部に留まり、全編成には及びませんでした。

小川駅で並ぶ国分寺線で運用中の新旧2000系。同線は全列車が2000系列の6両編成で運転されています。2本が並ぶと電装品は共通ながら印象は大分異なりますね。上の写真の編成と隣の旧2000系が行先表示をフルカラーLED化している一方で、新2000系は後期車ながら方向幕で存置されているのも注目点です。

中期車車内。設備の改良は段階的に実施され、座席を3人+4人で仕切るスタンションポールの新設やドア付近の黄色い警戒色化、また床置式戸閉装置の初期車・中期車に対しては注意喚起のドアチャイム設置を行っていますが、これらも全編成には及んでいない為、格差が生じています。

現在は緩やかなペースながら2000系の廃車が進行しており、VVVF試験車を組み込んだ2097F(2016年廃車、現在は前頭部のみ豊島区の丸善池袋店にて展示)以外健在で、2・4・6・8の多彩な編成で柔軟な運用をこなしていますが一番新しい編成でも登場から29年目に入りVVVFインバータ制御車が主流になる中で旧来の界磁チョッパ制御車という事もあり、遠くない将来の置き換えと本線系統撤退が予想されます。今や昭和期の西武を象徴する黄色い車体にステンレスドアの車両なだけに、一日でも長く活躍して欲しいですね。

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