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京都地裁判決  「礼金」が違法・・・・

2008年11月11日 | 不動産賃貸
賃貸にご入居されている方、大家さん ご覧ください。 大家側優位の判決です。


京都地裁は9月30日、「礼金は一方的に強制された根拠のない金銭であり、消費者契約法に違反する」との借主の礼金返還請求を棄却。「信義則に反して消費者の利益を一方的に害するとの事情は認められない」と判断した。

1.経緯
 借主は平成16年3月、賃料6万1千円、礼金18万円更新料2か月分などを条件に、京都市内の物件 につ いて貸主と1年間の賃貸借契約を締結。契約書には、「借主は礼金の返還を求めることはできない」旨の 約定があった。

 借主は約7か月後に退去。礼金の返還を求めて 簡易裁判所に提訴したが棄却され、京都地裁に控訴した。

2.借主側の主張
 礼金は借主の利益を一方的に害する。仮に礼金が賃料の一部前払いであるならば、解約した場合は
 使用収益しなかった分が返還されるべき。借主には契約全体を承諾するか拒否するかの自由しかない。
 国土交通省の標準賃貸借契約書には礼金の項目が ない。公営住宅では礼金が禁止されている。礼金 は、本来毎月の賃料に含まれているべき自然損耗の修繕費用の二重取りに当たる。
 ・・・等々、借主側の主張は多岐にわたる。
 貸主側の主張の多くは裁判所の判断に採用されている ため割愛し、以下、借主側の主な主張にごとに、裁判所 の判断の概要を紹介する。

3.裁判所の判断(概要)
(1)礼金は借主の義務を加重する?
 礼金は賃料の前払いとしての性格を有する。民法614は賃料の支払時期を毎月末と定めているため、礼金約定は 民法に比べて消費者の利益を制限し、または義務を加重している。

(2)礼金は根拠がなく不合理?
 名目にかかわらず、使用収益の対価として受け取る金員は賃料に該当する。賃料支払時期を定める民法614条 は任意規定であるから、賃貸借契約成立時に一部を前払いさせることは可能。

(3)礼金は明確性に欠ける?
 契約書に礼金の額が18万円であること、返還されないことが明記されており、借主は自己の負担すべき金額 を容易に認識し得る。また、借主は重説書面の交付が契約締結より後になったと主張するが、礼金が返還されない性質の金銭であることは一般に周知されている。

(4)貸主は情報力・交渉力の点で圧倒的に優位?
 借主は立地、間取り、設備、築年数などの物件の属性や一定期間の使用収益に必要な経済的負担などを考慮し、複数の候補物件の中から、礼金の金額を分かったうえで本件物件を選択している。

(5)貸主は礼金によって不当に利益を得ている?
 本件礼金は賃料前払いの性質を有するから、契約書に明記して契約締結の際に徴収しても、貸主が不当な利益を得ることにはならない。

(6)標準賃貸借契約書は礼金を否定している?
 当該契約書の作成に関与した政府委員は、礼金の慣行のない地域にまで礼金を広げることは好ましくないと答弁しているが、礼金等の一時金の慣行のある地域において礼金等の額を記入する欄として「その他一時金」との記入欄を設けた旨、現行の礼金制度を容認する答弁をしている。 政府委員の答弁をもって、礼金徴収が特段の非難に値するということはできない。

(7)公営住宅法や旧公庫法の礼金禁止との関係は?
 借地借家法の制定時、礼金は禁止されなかった。公営住宅法や旧公庫法が礼金を禁止していることを
 もって、本件礼金約定が非難に値するとまでいうことはできない。

(8)約3か月分の礼金は過大?
 証拠として認められた京滋地区の礼金の平均額(2.7か月分)と比べて高額ではない。

(9)居住月数(7か月)で考えると礼金の額は過大?
 借主は礼金が返還されないことを承知しながら、自ら中途解約した。貸主は中途解約の場合でも礼金を返還しない前提で賃料を設定しており、このような期待は尊重されるべき。

(10)他地域と比べて礼金は不当に高額?
 証拠として認められた首都圏の礼金の平均額は1.5か月分。愛知は1.7か月分。しかし、礼金を少額に抑えて賃料が高額に設定されている可能性があるため、他地域と比較して、一概に、本件礼金が不当に高額に設定されているということはできない。

(11)礼金は自然損耗の修繕費用の二重取り?
 通常、修繕費等の必要経費は賃料に含まれている。 それを賃料の名目で回収するか礼金の名目で回収
 するかは、地域の慣習などを踏まえて貸主の自由に委ねられている。したがって二重取りとはいえない。
4.結論
 本件礼金約定が信義則に反して消費者の利益を 一方的に害するものであるような事情は認められない。

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1 コメント

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礼金を払わないと (nao)
2017-05-26 20:11:31
現実の問題として、礼金を支払いたくないと拒否すれば、契約締結にこぎ着けないのが現状です。
要は、貸す側が有利な状態なわけです。
礼金なし物件で条件に合う物件がなければ、どうしても礼金ありの物件を探すしかなくなるわけで、これでは最初から消費者が泣き寝入りするしかないんですねよ。
それを裁判所は、泣き寝入りして契約せよと言っているわけで、これはどうみても公平ではないような気がします。
礼金は、修繕費やクリーニング代の費用として準用することにして、退去時には、通常損耗以外の損耗があった場合にのみ、その費用を負担させるのが普通じゃないのかな?
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