医療と適当に折り合いをつける内科医

医師国家試験浪人後の適当な医療を目指す内科医を追います

久しぶりの感染症セミナーでした

2007-01-23 00:10:11 | 医学ネタ
本当に久しぶりに感染症セミナーに参加でした。恩師である大野先生がまだ一人で学生相手に教えてから徐々に規模は大きくなり、いつの間にか感染症のエキスパート達が集まる場所になりつつあります。雰囲気も随分と変わり、いいこともあり、悪いこともありという印象でした。

学生時代全く勉強をしなかった私が初めて医学に興味を持ち、のめり込むきっかけをくれたのがこの大野先生の感染症セミナーでした。当時はまだ講師は大野先生一人、学生相手がメインで、講義もスタイルも超適当で、気が向いたら延長・脱線なんでもありのスリル溢れるライブ感が魅力的だったのをはっきりと覚えています。講義スタイルも白板2枚を用意して、大野先生がしゃべくりながらだだーっと書いてゆく、僕らはそれに必死について行って書き写してゆく、みたいな一体感もありました。多分このブログの初期の頃に大いに語ったはずです。
それにくらべると今回は感染症の大御所青木先生をはじめエキスパートがきら星の様に並ぶ講師陣!相手も専門の先生達も混じってのディスカッションと来れば流石に内容も形式も変わっていました。まずパワーポイントを使った講義というのが一つ。講義は洗練されたものにはなるのですが、その分しゃべる道筋は最初からつけられておりスリル感は失われています。白板の文字をお互い書き倒すといった一体感はもはやありません。脱線も延長もない講義です。そこは確かに惜しむべき個所ではあるのですが、やはり青木先生の講義のすばらしさに、このような形式でも燃える講義が可能なのだと可能性を教えていただきました。パワーポイントはともすれば知識の羅列に走ってしまいがちで、最も忌むべき点でもあります。それを彼は一つの知識・知見だけをとってきてそこに、伝えたい概念、考え方をそっと滑り込ませるような手法をとってきたのです。非常に緻密で洗練された講義でありました。

さらに私に火を付けたのが周囲の参加者さんたちのレベルの高さです。感染症やACLSの同期のみんなに会え刺激をもらったことはいうまでもないのですが、他にも尋常じゃない先生方が多数いらっしゃってました。特にG大学のI先生!見た目クールでダンディで太い声、しかしその博学な感染症知識、本当に麻酔科医なのかと問いつめたいくらい。すごい数の文献を読みあさっていなければ出来ない発言の数々。私は自分を反省してしまいました。確かにうちの病院は感染症のレベルは低い。何せ私ごときが感染症コンサルトを受けてしまうことがあるくらいなのです。それに応えられるよう確かに勉強もしてきました、がこんなひよっこの知識では全くお話にならないということを痛感したわけです。まだまだ奥の深い世界が山のようにあったわけで。私は襟を正して再度勉強し直そうと心に誓ったのです。そういう意味で今回のセミナーには参加できて本当によかった。うちのような病院ではすごい先生がいないので、最上級の基準値が2年でいつの間にか下がっていたのでした。この3日間でまたもや最上級の基準はぐんと上がり、そこを目標に再設定できたことは大きな収穫でした。こうなったら次くる1年目には講義・セミナーをしまくってあげるべく更なる勉強をしなければなりません。飯塚病院のすべての症例は「シェア」しなければならないという考え、大いに賛同つかまつります。

早く人間になりたい。