(写真)「カワイイ大使」に任命された3人(外務省ホームページより)
以前の記事で、「日本では、外国人・・・歌手に・・・大使を依頼する等ということは(いわゆる「親善大使」のような名誉職を除いて)想像できませんが、・・・」と書きましたが、最近の日本の外務省では、こと本職の「大使」ではない「親善大使」については、むしろ積極的にいろいろな「大使」を任命しているようです。
例えば、2008年3月19日、外務省は、霞ヶ関の庁舎に藤子不二雄原作のまんが「ドラえもん」のキャラクター・「ドラえもん」と「のび太君」(の着ぐるみ)を招き、高村正彦外相(当時)から、「ドラえもん」を「アニメ文化大使」(Anime Ambassador)に任命。外務省がホームページ上で公表している記録によれば、「高村大臣より、ドラえもんには「アニメ文化大使」として、世界各地を飛び回り、日本がどんなところなのかを紹介していただきたい、これからもドラえもんやのび太くんと一緒に力を合わせて、世界中のみんなと仲良くなるために頑張っていきたい旨述べ」、「これに対し、ドラえもんは、「ボクの作品を通して、普通の日本人がどんなこと考え、どんな暮らしをして、そしてどんな未来を創っていこうと考えているかを、海外の皆さんに伝えていけたら!と思います。」と述べた。 」そうです。
「アニメ文化大使」の任務は、ポップカルチャーを通じた文化外交の一環として、「日本のアニメ作品を(海外で)上映し、諸外国における日本アニメに対する理解を深めるとともに、併せて様々な日本文化を紹介し、日本そのものへの関心に繋げること」で、日本と「ドラえもん」について紹介するビデオクリップを英、仏、スペイン、中国の4カ国語で作成するほか、劇場版作品「ドラえもん のび太の恐竜2006」を、海外の日本大使館で4ヶ国で無料上映するそうです。「なんで『ドラえもん』がアニメ文化大使なんだ、『セーラームーン』『ドラゴンボール』こそ大使に相応しい。」とこの「人事」に反論?する人もいるかもしれませんが、「ドラえもん」の初代大使任命にあたっては、5人の委員からなる「アニメ文化大使諮問委員会」が厳正な?審査を行ったとか。この「諮問委員会」には、浜野保樹・東京大学大学院教授(外務省海外交流審議会ポップカルチャー専門部会部会長)、白石さや・東京大学大学院教授(外務省海外交流審議会ポップカルチャー専門部会委員)という学者のほか、その他の3人の肩書きは、「株式会社徳間書店 アニメージュ統括プロデューサー」「株式会社学習研究社 アニメディア編集長」「株式会社角川書店 ニュータイプグループ長」と、主要アニメ誌3誌(「アニメージュ」「アニメディア」「ニュータタイプ」)の編集責任者を網羅。ツボを押さえた?人選になっています。

(写真)高村外務大臣(当時。写真左)から「アニメ文化大使」に任命されたドラえもん(外務省ホームページより)
続いて、2008年12月11日、こんどはグラビアアイドルのほしのあきさんが、「海外安全大使」に就任。伊藤信太郎外務副大臣を表敬訪問し、パスポート(旅券)を持ったほしのあきさんが大写しになったポスターが、全国の国際空港や旅券センターに張り出されました。「海外安全大使」は、平成20年度海外安全・ポスポート管理促進キャンペーン(2008年12月15日~2009年2月28日)の一環で実現したもので、昨年は「鉄腕アトム」が初代の「海外安全大使」に。ほしのあきさんが2代目の「海外安全大使」に選ばれた理由について、外務省は、「幅広い年齢層に人気があり、海外渡航経験も豊富。」だからと説明しています。
ところが、ここへ来て、「アニメ文化大使」「海外安全大使」より更にぶっ飛んだ?「親善大使」が登場しました。その名も、「カワイイ大使」!!
「カワイイ大使」は、正式名称は「ポップカルチャー発信使」といい、外務省のホームページによれば、「我が国に対するより一層の理解や信頼を図る上で、従来から取り上げている伝統文化・芸術に加え、近年世界的に若者の間で人気の高い日本のポップカルチャーをさらに積極的に活用する」ため、「この分野で顕著な活動を行っている若手リーダーに「ポップカルチャー発信使」の名称を付与して、広報関連業務等を委嘱するとともに、可能な範囲で、在外公館及び国際交流基金が実施する文化事 業への協力を求める」ことを目的としたもの。2月26日に、門司健次郎・外務省広報文化交流部長(前駐イラク日本大使)によって、「ロリータファッション界のカリスマ」の青木 美沙子氏、「バンド「PEEP★4U」のボーカリスト」兼「原宿系ファッション」の木村 優氏、「制服コーディネイトの魔術師」で「ブランド制服ショップ「CONOMi」のアドバイザー」兼女優、藤岡 静香氏の3人が通称「カワイイ大使」に委嘱されました(さすがに、「ドラえもん」よりは知名度が大きくないためか、3人の任命者は外務大臣ではなく広報文化交流部長になっているようです・・・)。
ちなみにこの「カワイイ大使」、正式な通称には「カワイイ」と「大使」の間にハートマークが2つ入っており、しかも、英文の正式名称は「”カワイイ” Ambassador」となぜか英語なのに「カワイイ」部分がカタカナのまま。3人は、タイ・バンコクで今年3月に開催される「ジャパンフェスタ」や、フランス・パリで7月に開催される「ジャパンエキスポ」等のイベントで、講演を予定しているそうです。
うーん、お堅いお役所の発想とは思えない「カワイイ大使」。一体、誰の発案だったんでしょうか・・・。