Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

小悪魔はなぜモテる?!

2020-12-06 | 外国映画(か行)
★★★★ 2010年/アメリカ 監督/ウィル・グラック

大学生の彼とHしたという嘘をついたばかりにビッチの烙印を押されたオリーブ。しかしなぜかSEXしなくていいから「俺とやったことにしてくれ」という男子たちが群がる。「童貞喪失=一人前」という男たちの呪縛。男らしさからの解放が裏テーマ。いま見るべき1本。

原題は「Easy A」。緋文字の主人公へスターのごとくオリーブも胸に「A」の刺繍をつけ、自ら不義の女を誇示する。文学や映画への言及も多く、おバカ青春映画などとは全く侮れない。この邦題の酷さは本当に罪。そして何があってもオリーブを全肯定する両親の存在が効いている。

バーニング

2020-12-04 | 外国映画(は行)
★★★★★ 2019年/韓国 監督/イ・チャンドン

孤独な青年イジョンス。愛する女ヘミはアフリカ旅行から謎の男ベンと共に帰国。貧乏地方青年と大金持ち。孤独な魂が共鳴する。ビニールハウスを焼く。イジョンスもまたその言葉に取り憑かれる。しかし、書くことでかろうじて止まる。虚無の果てに生きることを選ぶのだ。傑作。

整形し、世界の果てを旅したヘミは解放の象徴のように思える。夕闇の中、服を脱ぎ捨て踊るシークエンス。その儚さと美しさ。しかしそんな彼女が消えてしまう無常。救いのない社会。決して埋められることのない貧富の差。だからイジョンスは書く。闇に埋もれてその先を書くしかないのだ。



ペパーミント・キャンディー

2020-12-03 | 外国映画(は行)
★★★★★ 2019年/韓国 監督/イ・チャンドン

旧友の集まりにふらりと現れ、自殺を図ろうとする男。なぜこうなってしまったのか。映像は時間を逆戻りしていく。若い時は純朴で優しい青年だった。もしもあの時。人生は偶然の出会いと小さな選択の積み重ね。生きるとは何と切ないことだろう。傑作。

バーニングを見る前に久しぶりに再見。イ・チャンドンは余韻の監督。線路が逆回しに映される映像を思い浮かべ、切なくて身をよじる。以前見た時より、タクシー運転手などで韓国の歴史について詳しくなっているから、余計に来る。堕ちていくソルギョングすばらしい。どういう順序で撮影したのだろう。