Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

シコふんじゃった

2007-02-03 | 日本映画(さ行)
★★★★☆ 1991年/日本 監督/周防正行

「木漏れ日と‘間’」

始まりはいきなりジャン・コクトーですよ、ジャン・コクトー。周防監督ってのは、実に粋なことをする人です。しかも、相撲の美しさを例えるのにシスティーナ礼拝堂を引き合いに出してくるような詩なんですから、この弱小相撲部にも果たしてそんな美しい一瞬が訪れるのか、実に胸躍らせる始まり方です。つかみはオッケー!って感じですね。

主人公山本秋平を演じるのは前作「ファンシィダンス」に引き続き本木雅弘。卒論の担当教授である穴山教授(柄本明)から単位と引き替えに相撲の試合に出るよう強制されますが、酒の勢いで絶対勝つと約束してしまい、次第に相撲の面白さに引き込まれます。

キャップをかぶって今時の大学生を演じるモックンがまわしをしめて土俵に立つ姿が次第に凛々しくなっていく様子は「ファンシィダンス」と同様。引き締まったお尻が実にきれいです。立ち姿の美しさはまさに主人公と呼ぶにふさわしい。モックンの存在感が存分に引き出されてます。

さて、前作「ファンシィダンス」での成功により、周防監督は自分の好きなテイストをより今作に取り入れたんだろうか。固定カメラによる静かなセリフ回しのシーンがとても多い。これは文字通り周防監督が敬愛している小津安二郎の空間。穴山教授の部屋や相撲部屋にはいつも木漏れ日のような陽光が差み、穏やかな口調のセリフと絶妙な間が我々の心を暖かくする。そしてこの「静」のシーンが際だつほど、相撲の取り組みの「動」のシーンが生きてくる。

スポ根コメディなんて言われ方とは実は全く違う。確かに相撲の取り組みのシーンもいいんだけど、私は「静」のシーンの方が好きだな。セリフにあまり抑揚はないけど、だからといって無機質かというとそんなことはなくてねえ。どうも年取って、わーわーうるさいが苦手になってきたのかも。この映画って、こんなに静かな映画だったっけ?と驚いちゃった。音楽の影響も大きいかも。要所要所にいわゆるBGM的効果音が流れるくらいで音楽が全然うるさくないの。

竹中直人のお腹がゆるくなってお尻を押さえる演技はね、これほんっとに何度も見てるんだけど、笑っちゃう。次は笑わないぞと心に決めてるのに、笑っちゃう。よく考えてみると、竹中直人に限らず周防監督作品ってのは、何度見ても楽しめる映画なんだよね。すっごいありきたりな言い方で情けないけど。何回見ても同じシーンで笑えるし、同じシーンでほっこりできる。これって、実はとてもすごいことなんじゃないのかしら。

<追記>
本作がすごいのは、いとも自然に土俵に女性をあげてしまったことだ。というある方の評を聞いて、なるほどと思った。周防監督を見直しました。


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1 コメント

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以外に・・・ (おさかな)
2010-06-26 14:26:22
モックンが以外に良い身体だったんで、やっぱり相撲の映画なので体重増量したのかな。
今回も竹中さん、良い味出してくれました(笑)
あの女の子(マネージャー役の)可愛かったぁ!
監督はいつも、大きい人、小さい人・・・味のある人を魅力的に使うシーンを作ってますね。