Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

アマルフィ 女神の報酬

2010-09-18 | 日本映画(あ行)
★★☆ 2009年/日本 監督/西谷弘

「映らないところにお金をかけろ」

織田裕二、天海祐希、佐藤浩市。主要メンバーのキャスティングがストーリーと全然合っていないんだよね。天海祐希は大好きだけど、子供を誘拐されておろおろする主婦には適役じゃない。戸田恵理香は天海祐希と「BOSS」つながりのキャスティングか知らないが、外務省にお勤めするインテリとは程遠い。今や大作もののほとんどがテレビ局主導で制作されている日本映画の場合、テレビ局やスポンサーの意向だけでキャスティングされていて、本当にこの役にをやらせると作品が面白くなるのか、という観点では全く決められていないように思う。

加えて、それぞれの人物のバックグラウンドが全く見えないのね。そう見える脚本でもないし、演出でもない。人物達に奥行きが全くない。いちいち1人ずつ取り上げるのもめんどくさいけど、外交官黒田がニヒルでひねくれ者なのはわかる。でも、なぜそうなのか、そうなったのか、観客のイマジネーションを掻き立てるものが何一つ見えない。小説が原作なわけだから、もちろん人物造形は原作者がきっちりやっているはずだろうけど、映画からは何も伝わってこない。いつも苦虫を噛みつぶしたような顔でとっつきにくいオッサンなだけ。

「練り込む力」が極端に弱いんです。全然畑違いだけど、先日観たピクサーの「トイ・ストーリー3」が頭をよぎって仕方ない。主役から端役まで全てのおもちゃに背景があったし、なぜ今の彼らがいるのか、その来し方をスクリーンから想像できたもの。映画ってそういうもんじゃないのかなあ。映るものにお金をかけるんじゃなくて、スクリーンに映らないものに、もっとお金をかけないと日本の大作物はいつまでたっても一線を超えられないんじゃないだろうか。

しかも、長年周到に計画してきた犯罪を、犯人がそんなことで?みたいな理由で諦めちゃう展開にひたすらがっくり。全てにおいて残念な映画でした。

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