Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

サイボーグでも大丈夫

2009-06-02 | 外国映画(さ行)
★★★☆ 2007年/韓国 監督/パク・チャヌク
「えらく甘く仕上げたもんだ」

復讐三部作はとても好きですが、これはちょっと風合いが違いそうで、見るのを延ばし延ばしにしていました。

パク監督らしいシュールな美世界は健在。歯車の回る導入部といい、真っ赤な服で勢ぞろいしてラジオを作る工場の様子といい、「チャーリーとチョコレート工場」を思い出させます。カウンセリングを行う庭の奇妙な造形物や赤に黄色に塗られた地下のダクトなど、彼らしい感性が随所に光ります。目に楽しい。

ちょっと風変わりな症状を持つ患者が集う精神病院。その症状が青年イルスンによって「盗まれる」となくなるという発想はとても面白い。これは、暗示による治療のようなものですね。どうせなら最後までこのアイデアで突っ切れば、もっと面白くなったのに、と思います。

つまり、ラブストーリーとしての体裁を保とうという意図が全体の面白さを失速させているんですね。イルスンのヨングンへの好意がとんでもない悲劇になってしまうとか、イルスンの盗みによって患者たちの症状が悪化してしまうとか、いろいろできたはずなんですけど。

「復讐者~」だの「オールド・ボーイ」だの、あまりに救いのない結末の作品ばかり撮ってきたので、ちょっと甘い結末にトライしてみたかったのかも知れません。でも、残念ながら失敗でしたね。

カンヌで審査員賞を受賞した新作「コウモリ」はいつものパク・チャヌクっぽいダークな世界が展開していそうなので、こちらに期待します。神父役にソン・ガンホ、裏切られるはずはありません。

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