Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

イン・ザ・プール

2006-11-24 | 日本映画(あ行)
★★★☆ 2005年/日本 監督/三木聡
「治療してないし」



変な精神科医伊良部(松尾スズキ)と24時間勃起しっぱなしという病に冒された営業マン(オダギリ・ジョー)、強迫神経症のルポライター(市川美和子)、プール中毒の男(田辺誠一)の3人の患者を取り巻くコメディ。

まず、原作読んでません。それから演劇苦手なんで、松尾スズキも、役者としてはあまり見たことありません。と、いうことで結構“素”の状態で見ました。

確かに楽しいし、笑えるんだけど、もっとハジけてても良かったんじゃない?とか思ってしまう。精神病とか心理学に詳しい人なら、いずれの患者の行動も、そして伊良部という精神科医の行動も、結構よくあるネタだぜ。むしろ、冒頭の森本レオが淡々と紹介する奇妙な精神病の解説の方が面白かったかも。

患者以上にヘンな精神科医伊良部を演じる松尾スズキ。ううむ、どうもしっくりこんなあ。何だかウソっぽいんだなあ。ムリがあるというか…。この人ひとりで空回りみたいに見えちゃって、途中から竹中直人を思い出しちまった…。

さて、「継続性勃起症」を演じたオダギリ君、なんべんズボン下げるのさ~。まじめに脱ぐあたりがかなりおかしい。最近のヒゲもじゃなオダギリ君ではなく、やけにこざっぱりとしたオダギリ君。うーん、男前!しかし、この作品でもオダギリ君のシャツをパンツにIN!した腰回りのなんとまあ、細いこと。やたらとセクシーです。

一番私のツボにはまったのは、市川美和子の上司の編集長、ふせえり。ファッションと言い、言動と言い、笑った、笑った。「革命」だか「反対」だか書かれたインクを落としてある赤いヘルメットをかぶって、ヒッピーファッション。この人、学生運動やってたんだな。だから、産廃問題取材しろとか言ってたりして。「おまえ、○○した方がいいぞ」って棒読みっぽい話し方も、この役にぴったりで。つまり、奇妙なキャラクターが多い割には、ふせえり演じる編集長のキャラクターが一番作り込まれてたように感じた。あ、あと岩松了ね。なんだよ、時効警察キャストじゃん(笑)。

「患者以上に変」な医者の「変さ加減」をどう表現するか、というのがポイントだったんだろうと思うが、松尾スズキの「変さ加減」はどうも上滑りな感じ。伊良部は最後までどうも実像がつかめなかったなあ。一緒に石投げる、とか、暴れたら勃起が治った、とか、とどのつまりちゃんとした治療をしてないのが気にかかる。変な医師ならとことん変な治療法を施してもらったら、もっと面白くなったんじゃない?