Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

蘇える金狼

2019-04-02 | 外国映画(や・ら・わ行)

★★ 1972年/日本 監督/村川透

何せ松田優作がカッコいいハードボイルドの傑作というのが巷の評判ではあるが、女の飲み物に薬をもってシャブ中にしておいて「あなたのことが忘れられない」と言わせる脚本が胸くそ悪い。これも時代ということなのだろうか。その後も何も悪い事してない女を殴るシーンがあり、ギブアップ。話も荒唐無稽でマンガか!と突っ込みどころ満載。成田三樹夫や岸田森などの個性派俳優の演技を怪演と呼ぶこともできるかもしれないが、私にはマチズモ礼賛の男目線の都合のいい物語としか思えなかった。勘弁してくれ案件。


ROMA ローマ

2019-01-06 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★ 2018年/メキシコ・アメリカ 監督/アルフォンソ・キュアロン

(Netflix)

モノクロームのキリッとした映像美はとても好み。特に、家族の住むモダンで瀟洒な邸宅をとらえるカメラワークが美しい。機械のように完璧に平行に動くカメラは、物語に介入できない観測者の視点のようだ。当時のメキシコ史について知らないとキツい部分もあるが、それでも物語の端々からクレオの孤独と哀しみが迫ってきた。年も誕生日も知らない雇用主。果たしてクレオは家族の愛が得られるのだろうか。車窓を眺めるクレオの顔が今もなお脳裏に残る。

アカデミー賞外国語映画賞最有力で、同じく日本から出品されている万引き家族とつい見比べてしまうが、本作は物語の背景があまりに語られないので、より普遍的な物語である万引き家族の方が有利ではないかと個人的には思うのだが、果たしてどうなるでしょう。

われらが背きし者

2018-11-24 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★☆ 2016年/イギリス 監督/スザンナ・ホワイト

(Amazonプライム)
巻き込まれ型サスペンスで、ジョンルカレが原作となると、ある程度面白さは担保されたようなものなのだけど、どうにも物足りなさが残る。それは、ユアンマクレガーが演じるペリーという男の人物像があまり見えてこないからだ。冒頭、いきなり縁もゆかりもないロシア人から命がけのUSBをいとも簡単に受け取ってしまうのだが、それはきっと彼が有能な弁護士である妻と比べて実務には何の役にも立たない「詩」を教える大学教授であることの引け目から来るのだろうと想像できる。しかも、教え子と浮気をして妻にも見放されているらしい。そうした焦燥感やら、男の意地が彼をスパイを助けるというどでかい事件に首を突っ込ませてしまったのだろうと推測するわけだけど、そんな彼の迷いや葛藤、または事件を通した成長というのが、その後あまり描かれないんだよね。むしろ、上司の意向を無視して作戦を実行するM16のヘクターの方がそうした深みが出ていた感じ。ロシア、マラケシュ、ロンドン、パリ、スイスとめくるめくヨーロッパ紀行の映像はとても美しかった。

惑星ソラリス

2018-08-03 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★☆ 1972年/ソ連 監督/アンドレイ・タルコフスキー

日本で撮影したモノクロ首都高がとんでもなくカッコいい。船内セットも旧ソ連時代の美術として興味深い。睡眠中の想念が実体として現れ、何度も蘇るホラー展開に凍る。思い出に留まることを選んだラストシーンは原作と異なるらしく、これは原作を読まねばと思った。

LOGAN/ローガン

2018-05-02 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★☆ 2017年/アメリカ 監督/ジェームズ・マンゴールド

公開時やたらと評判良かったので見たけど、やはりアメコミは馴染まないことを痛感。娘役のダフネ・キーンは「ストレンジャーシングス」のイレブンのように孤高感のある少女。アメコミ映画はこうした個性派の若手を思いきって採用しフックアップできるのがいいところ。

ロシュフォールの恋人たち

2018-03-30 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★☆ 1967年/フランス 監督/ジャック・ドゥミ

みなみ会館閉館興行にて

やっぱりスクリーンで見るのは楽しい。おなじみの音楽が鳴って「来たーー!」というテンションになる。ミュージカル苦手な私としては本作のポイントはもっぱらファッション。端役のダンサーたちの衣装にいたるまでとってもステキ。

徹底的なカラーコーディネートが有名だが、たまたま町山さんの「ララランド評」の中で本作の美術担当が夫、衣装担当が妻の夫婦だと知る。なるほど、そりゃあ完璧なコラボができるよねー。それから以前も思ったんだけど、バラバラ死体の殺人犯のエピソードはどういう意味を持つのだろう。そこが気になる。

ワイルド・アット・ハート

2018-03-08 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★ 1990年/アメリカ 監督/デビッド・リンチ

(WOWOW)


再見。
久しぶりに見たら楽しめるかと思ったけど、やはり変わらずリンチで最もノレない作品。
闇社会の描き方や妖しい演出は、ほかのリンチ作品とさして変わらないんだけど
たぶん、ニコラス・ケイジに萌えないからだろうなあ。
それにこのカップルの過剰ないちゃつきが白々しく見えるんよねえ。
あと、プレスリーのラブミーテンダーだなあ。
ブレラン2049にも出てきたけど、
アメリカ人にとってのプレスリーが意味するものに感情移入できないんだなあ。

Re:LIFE リライフ

2017-12-11 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★ 2015年/イギリス 監督/マーク・ローレンス

(WOWOW)

誰か「なぜヒューグラントは同じようなこじらせ中年ばかり演じているのに、毎回面白いのか」を
真面目に研究していただけないだろうか?
展開がわかっているのにじんわり感動できるのは何なんだ。
「ラブソングができるまで」のマーク・ローレンス監督だけに
ヒューグラントの使い方も心得ているというところも大きいんだろうな。
JKシモンズ(コワモテなのに家族の話になると泣いてしまうのが笑える)や
マリサトメイなどの脇役陣も絶妙。
それにしても授賞式でトロフィーをもらう昔の若い映像(CG合成?)がむっちゃカッコいい.

ロブスター

2017-10-26 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★ 2015年/アイルランド・イギリス・ギリシャ・フランス・オランダ・アメリカ 監督/ヨルゴス・ランティモス

(WOWOW)

独身者は45日以内に相手を見つけないと動物に変えられる。
人間社会の愚かさをブラックユーモアたっぷりに物語る奇想天外SF。
知的な作品かと思いきや、メイドが股間にお尻スリスリとか、なんじゃこれ!の連発。
寒々しい風景に展開するこのむずがゆさがいかにもヨーロッパ。
ありがとうトニエルドマン」とか「フレンチアルプスで起きたこと」とかに似てるよねえ。
日本人の感性ではどう付いていけばいいのか。ラストもぶっ飛んでます。
でも、後になっていろいろ思い出して楽しめる。
それにしても、コリンファレルとかレイチェルワイズとかレアセドゥとか、なんでこんな豪華キャストなの。

ルーム

2017-08-15 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★ 2015年/カナダ・アイルランド 監督/レニー・アブラハムソン

(WOWOW)

閉ざされた世界が前半、解放後の苦悩が後半の明確な二部構成。
前半クライマックスの脱出のスリリングさも醍醐味だが、
テーマ的には後半部に重きを置くことで人間ドラマとしての深みが増している。
誘拐され、幽閉されレイプされ続けた主人公を思うとやり切れないが、
彼女の悲惨な境遇をことさら強調して見せない演出がいい。
そこを強調するとどうしても共感深度が強くなり、観客の感情もヒステリックになりがちだ。
しかし、そこをセリフではなく、繊細な演技や演出で見せることで
我々も彼女の7年間の苦悩にしっかりと、深く寄り添えるようになっている。

それにしても、子役の演技がすばらしい。主演男優賞は彼じゃないのか。

レイチェルの結婚

2017-08-08 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★ 2008年/アメリカ 監督/ジョナサン・デミ

(WOWOW)

「マンチェスターバイザシー」にも通じる、取り返すことのできない罪を負った家族の物語。
カメラはほとんど手持ちで、まるで本当の家族喧嘩に立ち会っているような臨場感を感じさせる。
Aハサウェイはもちろん、他のキャストもみなリアルな演技で胸を打つ。
特に父親役の俳優のじたばたしたもどかしい演技が滑稽で
カメラを意識していないリアルさがすばらしい。

友人が企画したパーティが何だか奇妙でそこがまたリアル。
そして、アイリッシュ、フォーク、サンバ、ヒップホップと世界中の音楽がパーティで奏でられる。
あまりに多様なメンバー構成に面食らうが(しかもなぜそういう人達が集まっているのか何の説明もされない。そしてほぼ生バンドだ)
おそらくそこには多様性や共生というメッセージが込められているのだろう。秀作。

ライフ

2017-07-19 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★☆ 2017年/アメリカ 監督/ダニエル・エスピノーサ

(映画館)

俳優陣はみな熱演。真田広之もまずます。
とはいえ、どの宇宙飛行士も肝心なところでマヌケすんなぁとイライラ。
最初からB級パニックSFだと思ってみればよかったんだな。
密室のハラハラ感は面白かった。
しかしRレイノルズって、未だにあんな扱いなのね。

宇宙船の美術はすばらしい。このあたりSFファンも納得のできでしょう。
何せ、物語がずっと宇宙船の中ですから、ちょっとでも違和感あると醒めてしまいます。

まあ、海のものとも山のものともわからん生物に名前付けちゃイカンよねー。
で、ラストもなんでああなったの?とツッコミ入れることは野暮なんでしょうか。

ライト/オフ

2017-05-26 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★☆ 2016年/アメリカ 監督/デヴィッド・F・サンドバーグ

(WOWOW)
スイッチを消す付ける。そのカチカチという音とともに悪霊が見えたり消えたり。
この演出がとにかく怖い。アイデアの勝利だね。
で、このパターンから脱するのがブラックライト。
そう来るかのひねりが面白い。
そして、母親思いの息子が泣ける。突っ込みどころもありつつ楽しめた。

リリーのすべて

2017-04-05 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★ 2015年/イギリス・アメリカ・ドイツ 監督/トム・フーパー

(Amazonプライム)

まずもって1920年代の美しいコペンハーゲンを再現しているハリウッドの美術がすばらしい。
そして、数々の絵画の美しさに目を奪われる。
音楽の力で引っ張る作品があるように、美術で惹き付ける映画も個人的には大好物だ。

リリーの生き方の是非は意見の分かれるところだが、彼の選択が正しかったかどうかは本作の主題ではない。
そのような生き方しかできない2人の愛の物語であり、2人は人生を生ききっている。だから美しい。


レヴェナント: 蘇えりし者

2017-03-26 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★ 2015年/アメリカ 監督/アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

(WOWOW)

襲撃されるデカプの後ろ姿から、馬に乗るデカプの顔の真横にカメラが来て、
そのまま崖まで落ちるまでがワンカットとか、撮影どうやっってんの!?の連続。
デカプとルベツキの狂気は半端ない。
でも、撮影同様に物語に没入できるかというとそうでもなく。
ひたすら撮影すげえなで終了。とはいえ、凄いもん見たなの感動に満足。