以下は、イラク、アフガン戦争で死んだ米兵の出身地、死亡した場所と状況、享年などを克明に記録した地図とグラフである。
※Home & Away War Casualties(CNN)
http://edition.cnn.com/SPECIALS/war.casualties/index.html
イラク、アフガンとも25歳以下が戦死者の大半を占める。最もたくさんの戦死者がいる年齢はいずれも21歳だ。
たとえば21歳の棒グラフをクリックすると、21歳の兵士が死んだ地点が表示される。その地点をクリックすると、死んだ兵士の名と年齢、死亡日時、死亡状況などが表示される。多くの兵士が、物資の輸送中や検問、パトロールなどの任務で死亡している。
以上の「Map view」を「List view」に変えると、戦死者のリストが表示される。
もちろん、侵略者として行ったという点は忘れてはならない。イラク、アフガンで数十倍、数百倍の罪なき人々が犠牲になっている。
安倍政権が戦争法で解禁しようとしている自衛隊の海外派兵での新しい任務は、まさにこのような兵站活動における武器弾薬を含む物資輸送と供給、検問や家宅捜索などの治安活動、パトロール等である。これらの任務遂行には車を運転できて鉄砲の打ち方さえわかっていればこと足りる。現に米兵はわずか3ヶ月の新兵教育を経てイラクやアフガニスタンに送られ、18歳や19歳で命を落としている。命をおとさなくても深刻なPTSDに陥っている。
7月27日、参院本会議で戦争法案が審議入りした。その中で、あらためて「徴兵制」が問題になった。
安倍首相は、以下の2点で徴兵制を否定した。
①憲法18条で苦役を禁じている。憲法上徴兵制はない。
②自衛隊はハイテク装備に固められたプロ集団で隊員育成には長い時間がかかる。安保政策上も徴兵制はない。
①については、石破氏が「徴兵制は苦役ではないから憲法違反ではない」と言っているし、政府が合憲派として紹介した西修、百地章両氏も、「徴兵制は苦役にはあたらない」としながら西氏は「ITの時代なので徴兵制は不要」、百地氏は「苦役ではないが、戦力を持たないとしている憲法9条に反する」としている。つまり、憲法18条違反ではないとしているのだ。
政府内や戦争合憲派の中でもこれだけさまざまな解釈がある徴兵制について、「決めるのは政府だ」として、前答弁を突如ひっくり返し「限定的徴兵制」を導入することくらい安倍政権はなんとも思わないだろう。
だが、問題は②である。徴兵制が制度として導入されるかどうかはそれほど重要ではない。就職難と経済的困窮、不安定雇用による社会保障からの排除などの理由で、若者が自衛隊を「安定した就職先」に選ばざるをえないという「経済的徴兵制」だ。
若者を自衛隊に大量に集め、ろくな訓練もしないうちに使い捨てで戦場に送られるような事態がくる危険だ。この不安を打ち消すために、政府は「ハイテク化した自衛隊では、一人前になるのに10年はかかる」などのイメージを振りまいているのだが、ハイテク化した米軍で起こっていることは、若年兵の使い捨てである。
(ハンマー)