新刊の森

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歓迎すべき新たな試み「東大闘争総括: 戦後責任・ヴェーバー研究・現場実践」

2019年01月08日 | 新刊書
東大闘争総括: 戦後責任・ヴェーバー研究・現場実践
折原 浩 (著)


折原さんが東大闘争総括の最適任者であるかどうかは別として
回顧的にではなくてかつての東大闘争を振り返る書物は、少ないだけに
貴重な試みでしょう。
「綿密な資料調査と徹底した観察」に大いに期待したいものです。



単行本: 350ページ
出版社: 未來社 (2019/1/8)
言語: 日本語
ISBN-10: 4624400682
ISBN-13: 978-4624400682
発売日: 2019/1/8
¥ 3,024


世界的なヴェーバー学者でもある著者は一九六七年以降の東大闘争時代の造反教官としてもつとに著名であり、これまでもおりにふれて関連論著を発表されてきていますが、東大闘争の象徴的事件でもあった安田講堂攻防戦五〇周年を来年二〇一九年一月に迎えるにあたり、その後の社会のさまざまな問題がこの東大闘争で提起された諸問題が未解決のまま、あるいはいっそうの悪化をみる現状を憂慮されて、一気に書き下ろされた渾身の闘争総括書。ヴェーバー学者として東大闘争に立ち向かった著者が、大学内外のさまざまな矛盾や策動を綿密な資料調査と徹底した観察によって現場実践的に事実解明した驚くべき実態がついに明らかにされる。問題にかかわりのあるひとたちへの問題提起であるとともに鋭い挑発の書!

目次

[主要目次]
プロローグ
第I部 軍国少年・理科少年・野球少年から戦後思想の渦中へ(§1-5)
第II部 マックス・ヴェーバーとの出会い(§6-10)
第III部 思想形成途上の諸問題――実存主義とマルクス主義の対抗的相補性とヴェーバー
 1 木を見て森を見ない実存主義(§11-12)
 2 森を見て木を見ないマルクス主義(§13-16)
 3 マルクス主義との両義的対決(§17-20)
 4 木も森も見るヴェーバー――マルクス以後の実存思想家(§21-24)
第IV部 東大闘争前史
 1 一九六〇年「安保闘争」(§25-27)
 2 一九六二―六三年「大管法闘争」(§28-32)
 3 一九六四年「ヴェーバー生誕百年記念シンポジウム」(§33-41)
 4 一九六五―六七年「学問の季節」における日常の取り組み(§42-45)
第V部 東大闘争
 1 「紛争」への関与(§46-49)
 2 医学部紛争と医学部処分(§50-55)
 3 文学部紛争と文学部処分(§56-67)
 4 「紛争」関与から現場の闘いへ(§68-74)
 5 文処分撤回闘争の継続と帰結(§75-81)
第VI部 「現場の闘い」の持続に向けて
 1 「解放連続シンポジウム『闘争と学問』」から(§82-88)
 2 ヴェーバー「合理化」論再考(§89-92)
 3 大学論・学問論・社会運動論の再構築に寄せて(§93-105)
エピローグ――共に歴史を創ろう――戦後の一時期を生きて、生活史・学問・現場実践の関連を切開し、後続世代の批判的克服にそなえる

人名・事項索引

著者略歴

折原浩(おりはら・ひろし)
1935年 東京に生まれる。
1958年 東京大学文学部社会学科卒業。
1964年 東京大学文学部助手。
1965年 東京大学教養学部専任講師(社会学担当)。
1966年 東京大学教養学部助教授。
1986年 東京大学教養学部教授。
1996年 東京大学教養学部定年退職。東京大学名誉教授。名古屋大学文学部教授。
1999年 名古屋大学文学部定年退職。椙山女学園大学人間関係学部教授。
2002年 椙山女学園大学人間関係学部退職。
著書――『危機における人間と学問──マージナル・マンの理論とウェーバー像の変貌』(1969年、未來社)、『大学の頽廃の淵にて――東大闘争における一教師の歩み』(1969年、筑摩書房)、『東京大学――近代知性の病像』(1973年、三一書房)、『デュルケームとウェーバー――社会科学の方法』上下(1981年、三一書房)、『学園闘争以後十余年――一現場からの大学―知識人論』(1982年、三一書房)、『マックス・ウェーバー基礎研究序説』(1988年、未來社)、『ヴェーバー「経済と社会」の再構成――トルソの頭』(1996年、東京大学出版会)、『ヴェーバーとともに40年――社会科学の古典を学ぶ』(1996年、弘文堂)、『「経済と社会」再構成論の新展開──ヴェーバー研究の非神話化と「全集」版のゆくえ』(ヴォルフガング・シュルフターと共著、鈴木宗徳、山口宏訳、2000年、未來社)、『ヴェーバー学のすすめ』(2003年、未來社)、『学問の未来――ヴェーバー学における末人跳梁批判』(2005年、未來社)、『ヴェーバー学の未来――「倫理」論文の読解から歴史・社会科学の方法会得へ』(2005年、未來社)、『大衆化する大学院――一個別事例にみる研究指導と学位認定』(2006年、未來社)、『マックス・ヴェーバーにとって社会学とは何か――歴史研究への基礎的予備学』(2007年、勁草書房)、『比較歴史社会学へのいざない――マックス・ヴェーバーを知の交流点として』(小路田泰直編、小路田泰直、水林彪、雀部幸隆、松井克浩、小関素明らと共著、2009年、勁草書房)、『マックス・ヴェーバーとアジア――比較歴史社会学序説』(2010年、平凡社)、『東大闘争と原発事故――廃墟からの問い』(清水靖久、三宅弘、熊本一規と共著、2013年、緑風出版)、『日独ヴェーバー論争――「経済と社会」(旧稿)全篇の読解による比較歴史社会学の再構築に向けて』(2013年、未來社)。
訳書――ラインハルト・ベンディクス『マックス・ウェーバー──その学問の全体像』(1965年、中央公論社)、改訳再版『マックス・ウェーバー──その学問の包括的一肖像』上・下(1987/88年、三一書房)、マックス・ヴェーバー『社会科学と社会政策にかかわる認識の「客観性」』(冨永祐治・立野保男訳への補訳/解説、1996年、岩波書店)


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