象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

数学者の苦悩と苦痛〜誤解は数学の上に卵を産み落とす〜

2018年09月22日 02時46分00秒 | 数学のお話

 ヨハネス•ケプラー(1571〜1630)と言えば、”ケプラーの法則”で有名な”天体学と数学の巨人”である。名前位は知ってる人も多いだろう。
 そのケプラーが、神学校を卒業し、”数学者になる”と母に告げた時、彼女は卒倒した。

 貧しい家計を支える為、何とか牧師の道を歩ませようとの母の苦悩も知らずに。当然の如く怒った母親は”お前は乞食になりたいのか”と怒鳴った。それに対し、ケプラー青年は”盗人になるよかマシだろう”と切り返した。

 以来、ケプラーの生涯は非常に波乱に満ちた貧しいものになる。母親は全てを見通してたのだ。彼もまた、リーマン同様に、貧しさと病気を相手に苦難の人生を生きた。

 ケプラーの研究と功績が、後の人類に及ぼした貢献を金に換算すると、アメリカがスペースシャトル計画(1981〜2011)に注ぎ込んだ総額1960億ドルを超えるという。つまり、ケプラーは自ら頭脳だけで200兆円を稼いだ事になる。
 そんなリーマンと並ぶ知の巨人も、彼が遺した輝かしい功績とは、全く正反対の人生を生きた。数学者の運命や生き様と言えば、それまでだが。
 彼が母親の言う様に、そのまま神学の道を歩んでれば、ケプラー家は何不自由する事なく、豊かな人生を送れたであろう。

 しかし、ニュートンの万有引力はなかったかもしれないし、未だに月旅行は夢であったか。天文学は数学者の道楽に過ぎず、ずっと昔に消滅してたかも知れない。


 当時、数学とは”乞食の学問”と呼ばれてた。今の時代においても、その源流と風潮は変わらない。その貧しさに加え、難解さと融通のなさが加わり、常に誤解を招く、他の学問から蔑視されがちな、美しくも悲しい学問でもある。
 全く、人類の歴史を存在そのものを変える程の学問なのにです。


 数学をテーマにしたブログ書いてるが。まだまだ数学に対する誤解は消えませぬ。私の努力も知力も足りないんですが(哀)。
 数学はあらゆる学問の土台になってるものの、それに見合う評価がされないまま、殆ど日の目を浴びる事もない。上述した”ケプラーの夢”を見るまでもなかろう。

 それに、数学の難解さだけが独り歩きし、まるで毒を撒き散らすかの様な、得体の知れない学問というイメージで、数学も数学者も捉えられてる。
 
 一度は数学にハマりかけた私めも、今や数学とは全く無縁の世界に生きてる。ブログで数学ネタやリーマンネタを書くくらいだ。

 それでも、Unicode表を調べながら、関数式がスマホでも読める様にと、せっせと数字記号や関数記号を組み合わせるが。基本的な関数式が用意されてないので、ホント一苦労する。


 例えば、インテグラル”∫”だ。この積分記号は、n=0〜∞領域が定義され、初めて定積分という、使用に耐える関数となる。
 そういう事が分かっていながら、Unicodeではギリシャ記号だけが用意され、後は知らんふり。絵文字作ってた方が楽ってか、確かに。

 勿論、Unicodeを作るプログラマーが数学畑でない事も問題だが。資質にも大きな課題がある。高校の数学がある程度理解出来るレヴェルなら、そんな誤解はない筈だが。


 アインシュタインじゃないが、”数学なんてのは仕立て屋にやらせときゃいいんだ”っていう風潮が、今の時代にも根強く残る。アインシュタインは既に、数学の貧しい将来を見抜いてたんですな。

 このままだと、アインシュタインの予言がそのまま当たっちまう。いや、物理学や工学の分野に呑み込まれ、乞食の学問から奴隷の学問へと、光を浴びる事なく姿を消すのか。


 昨今のネット社会やスマホ、インスタやツィートにフエイスブック、其れにパソコンやゲーム機、電子マネーにオンラインビジネスに仮想通貨なんて、数学がなければ存在すらしてなかったろう。
 ま、カシオの計算機位はあったろうけど(笑)。エニグマを解読し、ヨーロッパ大戦の半分を終結させた”コンピュータの父”アラン・チューリングですら、光を浴びる事はなく、同性愛者として短い生涯を閉じた。

 ある意味、高度な数学とは核よりも危険な存在かも知れない。今や核兵器の主流となってるプルトニウム型原爆を開発したフォン•ノイマンも数学者である。そのノイマンも”原爆の父”オッペンハイマーに隠れ、自ら開発した原爆の放射線の犠牲となった。
 偉大な数学者の不幸で不運な生涯を数えたらキリがない。まさに”不幸の学問”とも言える。


 この様に、数学の負の歴史をズラッと紹介したからとて、数学を取り巻く環境が変わる筈もない。別に数学の全てを理解して欲しいというのでもない。
 せめて、誤解をなくしてほしいと願うだけなのだ。しかし、数学はこれだけ地球上のあらゆる分野に貢献してるのに、与えられるのは誤解と無視と偏見のみである。

 大衆レヴェルで、民間レヴェルで、数学を正しい尺度で理解して貰わんと、数学は孤立する。しかし、数学の本当の価値が理解されるのは、”遠い明日”なのか。


 ただ、数学の方にも問題と課題は沢山ある。他の学問に比べ、ワンマン過ぎるのだ。他の学問がチームワークを重視するのに比べ、数学は一人でできる。
 紙と鉛筆とインスピレーションがあれば、誰でも数学者になれる。
 ラマヌジャンやカントールみたいな、超のつく天才数学者にはなれなくとも、私みたいな”数学バカ”にはなれる。


 以下は、あるブロガーのコメントの返しになリます。暇潰しに愚痴と思って聞いて下さい。

 私が思うに、数学は抽象的過ぎて、基本的なルールが統一されてない様に思う。他の学問に比べればですよ。

 数学者の数だけ固有のルールがあるというか。一人一人関数式の書き方が多少違いますもんね。例えば、複素数はsで統一されてますが。複素数の集合(複素数体)はCで表現される。たまに、zだったりもする。Zと言えば整数ですよね。


 それに、上述した様に、Unicodeの問題もある。コード表に絵文字を沢山埋める余裕があれば、数式や関数記号を埋めて欲しいと。

 上付きや下付き数字も用意されてはいますが、小さ過ぎますかね。せめて、割り算”/”の小文字は用意しときましょうよ。結局、Unicode開発者の未熟さ故か。


 それにこれからは、SEも含めた普通のプログラマーではなく、数学プログラマーが必要になるとされます。複雑で高度な関数を理解出来るプログラマーですね。

 ブログの中で数式や関数等式が自在に飛び交えば、ツィートやインスタみたいに、チャット感覚で数理問題のやり取りができ、写真を眺める様に数式や関数等式を理解する事も出来る筈です。


 もう少し踏み込んで言えば、数式用の関数等式用のスマホなんかを作ればいいと。そうすれば、類は類を呼ぶで、あっという間に”数学村”や”リーマンタウン”や”オイラーヴィレッジ”が出来るはずかな。

 しかし、今のスマホでは、ツィートやインスタグラム、日記形式の”つぶやき”がやっとの状況です。それ以上には進めそうにもない。例え進んだとしても待ち構えてるのは・・・。

 あまりにガチになっても、キツイだけですが。キーボード感覚で関数等式が打てたらずっと楽だし、理解も早くなる。子どもたちの教育にも、いやボケ防止にも良いのではと。

 それに、数学の複雑な公式も、スマホを眺めながら、指で操作しながら覚えられるし、一石二鳥のような気もするが。

 ただでさえ、数学はありとあらゆる関数が複雑に絡み合った、ややこしい窮屈な学問であり、誤解や弊害を受ける為に生まれて来た様なもんです。”乞食の学問”になるのも宿命ですが、やはり悲し過ぎる。


 そういう私も、大学では数学の授業に全く付いて行けず、教授や数学の悪口ばかり言ってました。その反省から、数学のブログを続けてるんですが、中々うまく行かない。行き着く先は偏見と誤解。
 
 数学の本のアマゾンレビューを見ると、半分は誤解とパッシングですね。
 勿論、どんな難題も理解できた人には、数学は美しく映るし、そうでない人には、ややこしいだけの詰まらぬ金にならない学問と決め付ける。それに敵愾心も加わるからややこしくなる。

 嗚呼、実に悲しい事だ。もっと人類は賢い生き物であった筈だ。何時から、数学は毛嫌いされる学問になったのか?これ程までに高度で崇高な学問は何処にあろうか。



6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Re.エロ過ぎる危ないオジサマ (lemonwater2017)
2018-09-23 13:17:27
Vivaサン、こんちわです。

エロが転んだです(笑)。ペンネーム変えようかな。

 私が努力家ではなく、数学が人類の知力をドンドン吸い上げるんですね。ある意味、SEXと似てる様な気もするんです。のめり込んだらキリがないと。

 ま、あんまりエロい話題だと、Vivaさんのペースにハマりそうなので、やめとこね。ケッケッケ。

 でも、子供達には、数学のエロい部分、甘い蜜美の部分を教えて上げるべきです。計算ドリルなんかはその後でいい。近い将来、複雑な計算は人工知能がやる時代が来るでしょうから。

 故に、温かい血の通った柔軟な知力が必要なんですよ、ヤッパリ。プレステを扱う様に数学に浸る日が来れば面白いけど。

 数学がスマホと同様に娯楽の王道となる日を信じてます。いやもうそこまで来てるような気がする。
返信する
Re.悲しい色やね (lemonwater2017)
2018-09-23 13:01:21
hitmanさん、久し振りです。

そうですね。数学とは、天才が全てを捧げる学問だと思うんです。だから、尊いし、美しくもあり、悲しいんですかね。

 人類の知能の偉大さを知るには最高の学問ナンデスが。まだまだ、等身大には理解されれませんね。数学にももっともっと遊びが必要ですかなぁ。
返信する
Unknown (viva)
2018-09-23 09:48:55
象さん、私もです。
野菜不足はお腹の調子悪くなります。
関係ありそうです。。

>偉大な数学者って、瞳をよく見ると、
>とても澄んでて優しい目をしている



そうなんですね~・・・
そう言う風に物事を見渡せる
貴方の心と、その瞳こそが
美しいのでしょうね~・・


あらためて考えさせられました・・

私も感傷的になりました。

象さんのこと、
エロ過ぎるただの危ないオジサマだと
思ったこともありましたが・・

大変な努力家なんですね・・
私と正反対・・


なので、
そんな象さんの事が気になります。
お腹の調子治った?かな?
返信する
悲しくも美しい数学の歴史? (ootubohitman)
2018-09-23 07:52:25
転んださんのこのブログを読んでたら、男なのに感傷的になります。

数学が難解な、他を寄せ付けたがらない学問であることは、想像に難しくはないんですが。悲しい歴史が詰まってるんですね。

上田正樹さんの悲しい色やねを思い浮かべます。美しさと悲しさって同居するんですよ、きっと。だから、天才を引き付けるんですよ。
返信する
Re.数学の持つ美学 (lemonwater2017)
2018-09-22 14:27:48
ビコさん、こんにちわです。

 今朝からお腹の調子が具合が悪く、今まで寝てました。どうも野菜不足なのかな。関係ないか。

 天才と貧困はトレードオフの関係にあるみたいですね。特に数学の場合はです。どうしても村形さんを思い出しちゃうんですね。もう、こうと決めたらテコでも動かない(笑)。数学者にはそういう所ありますもん。

 ホントはとても優しい人なのに、それを上手く表現出来ない。つまり、優しさや人柄は見た目なんですよ。偉大な数学者って、瞳をよく見ると、とても澄んでて、優しい目をしてる。勿体無い事です。

 ケプラーもオイラーもリーマンも、元々大学は神学部だったので、貧相層ではなかったんですが。オイラーを除き、リーマンとケプラーはキツかったですね。

 ケプラーにしても、後10年生きてたら、万有引力も証明し、月旅行は100年程早まり、火星移住の時代になってたかもです。
返信する
数学のもつ美学は (びこ)
2018-09-22 04:49:37
裕福な生活を犠牲にしてもいいくらい魅力があるのでしょうね。

一部の人を除いて、天才の才は貧困と引き換えに与えられているような気がします。

だからこそ尊い。
返信する

コメントを投稿