前回「その8」では、バーゼル問題の完璧な証明となる”オイラー・マクローリン法”の詳細を述べましたが、少し判りにくかったでしょうか。 1734年の最初の証明は、非常に画期的なものでしたが幾つかの問題があった。が、その10年後にオイラーは、無限解析を用いて完璧な証明を与えます。 この完全なる”バーゼル問題”の証明(1745、1748)では、オイラーはま . . . 本文を読む
イデアルの概念に慣れ親しんで頂く為に、前回「その4」の最後の補足とその続きを見ていきますが、イデアル類群Cₖ={Pₖ,P₀Pₖ}の計算をK=Q(√(−5))と言う2次体の例を使って説明しました。 更にその応用として、xとyの2元2次形式のx²+5y²で表す事のできる素数pについては、以下の「ラグランジュの定理」が有名でした。 つまり、”素数 . . . 本文を読む
偶然にも、この記事のタイトルと同じ著書「高木貞治とその時代:西欧近代の数学と日本」(高瀬正仁著、2014)があった。同じ様なタイトルに、「アーベルとその時代」(Aストーブハウグ著、2003)があるが、前者は”時代”をEraと書き、後者はTimesとしている。 例えば、Eraは元号などで区切られる時代を指し、江戸時代以前はPeriodを使ったという。一方、Timesは一般的 . . . 本文を読む
前回「その2」では、初回の補足を兼ねたおさらいと、類体論の元となる代数的整数論の歴史(前半)を述べました。 そこでまずは、代数的整数論の基本の基について簡単に復習します。 代数的整数αを有理数体Qに添加して得られる体をQ(α)で表すが、代数的整数とは通常の整数(有理整数)とは異なり、有理整数を係数とする代数方程式で最高次の項の係数が1となる様な方程式の解となる複素数(実数 . . . 本文を読む
連日、バカみたいに暑い。こんなに暑いのは何時以来だろう?熱中症という言葉がこれほど賑わったのも何時以来だろうか? 我が柳川市も、熱中症警戒アラートの対象になってしまった。因みに、柳川市近郊の久留米市では”暑さ指数”が33度を超え、熱中症の”危険”地域になった。 暑さ指数(WBGT=湿球黒球温度)とは、人間の熱バランスに影響の大きい”気温 . . . 本文を読む
前回「その1」では、高木貞治氏の研究の中核をなす”類体論”と、その基本定理である「高木の存在定理」について述べました。 自分では、結構掘り下げて書いたつもりですが、見れば見る程に穴がある。寄せられたコメントにも、それらを補足するものが目立つ。 そこで、前回のおさらいを兼ねて、「数の概念」と「近世数学史談」(共に高木貞治著)の解説を参考にし、類体論とその「存在定理」を振り返 . . . 本文を読む
Gooブログの「今日のテーマ」に”今週の予定は”ってのがあるが、仕方なく”類体論について纏めたい”と偉そうに書いた。だが実は、既に大半を書き上げていたから、何もやる予定はなかったのだ。 つまり、仕事以外では何の予定も入ってない。そもそも仕事自体は予定ではないし、嫌々ながら仕方なくやってるだけの事である。もっと言えば、暇潰しにもならない。 一方で、ブ . . . 本文を読む
「不可能の証明」の第3段階に入る前に、前回「その6」の[STEP2-2]で証明した様に、元の5次方程式y⁵−ay⁴+by³−cy²+dy−e=0―①の解yが、y=p+p₁・ᵐ√R+p₂・ᵐ√R²+⋯+pₘ₋₁・ᵐ√Rᵐ⁻¹―②の形に展開できる事を、3次方程式の例を上げて説明します。 「 . . . 本文を読む
計算と数学の違い ギリシャの偉大なる数学者プラトンは、”計算と算術(数論)は全く異なるもので、算術は誰もが出来るものではない”と言い放ち、若き天才ガロアは”計算の上を行く数学”を唱えた。 多くの人は、”算数の延長上に数学がある”と思い込んでいる。勿論、間違いではない。 が厳密に言えば、算数は計算で正しい答えを出す事を目的とする . . . 本文を読む
前回「その5」では、証明の第1段階のおさらいも兼ねて、詳しく丁寧に説明しました。 アーベルは証明の第1段階で”yを表す為に必要な全てのべき根ᵐ√R,ᵐ√R²,…,ᵐ√Rᵐ⁻¹が、最初の5次方程式の解y₁,y₂,…の有理式となる事が示せれば、「不可能の証明」を完了させる事は難しくない”と主張 . . . 本文を読む