夕陽丘

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日弁連の提言

2009年01月23日 21時00分09秒 | ロースクール日記
1月16日付で日弁連が出した法曹養成に関する改善提言の内容を読んでみました(日弁連サイト)。法務省、文科省サイドの動きと合わせて、一定の流れが確立しつつあるように思えました。法曹を目指す者としては何とも…

以下、提言要旨引用*****

(1)地域的な適正配置に配慮しつつ、法科大学院の一学年総定員を当面4000名程度にまで大幅削減すること。

(2)法科大学院の理念に沿った教育を実施するために必要な体制を整えることが困難な状況にある法科大学院については、他法科大学院との連携や学生募集の停止を含めた適切な措置を主体的に講ずること。

(3)法科大学院の基本的な履修科目につき、修得すべき知識の最低限の範囲を確定し、法的思考力の涵養を重視することを目的とした到達目標を設定すること。

(4)法科大学院における臨床科目の一層の充実をはかること。

(5)法科大学院入学後、はじめて法律を学ぶ未修者が3年間の課程を通じて法曹になるための基礎力を身につけることができるよう、教育内容・方法の工夫をはかること。

(6)法科大学院における成績評価及び修了認定が厳格になされるよう、各法科大学院がその実効性を担保する仕組みを具体的に講ずるとともに、各認証評価機関においては適切な評価方法の工夫をはかること。

(7)新司法試験の短答式試験について、いたずらに知識を重視した試験とならないよう、その出題対象を法律実務家となるために必要とされる基本的法律知識に限定し、その確実な理解を試すものとするとともに、論文式試験との配点割合を見直すこと。

(8)予備試験制度については、法科大学院が新たな法曹養成制度の中核的教育機関であることをふまえ、あくまでごく例外的な法曹資格取得の途として運用すること。

(9)各法科大学院と法曹三者の連携の下、新司法試験終了後、分野別実務修習開始までの間に、必要な実務導入教育を実施すること。

(10)新規登録弁護士の実務能力の向上をはかるとともに、社会の幅広い需要に応えられる能力養成のため、日弁連、弁護士会として、新規登録弁護士を対象とした研修及び全ての弁護士に向けた継続研修の体制を整備すること。

(11)プロセスとしての法曹養成制度を担う法科大学院、司法試験、司法修習の各運用及び制度の改善に役立てるため、それぞれの運用状況等に関する情報の公表を一層進めること。

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ひとつの見方として、この提言は、現在法務省や文科省サイドが考えている政策の方向性を日弁連としてお墨付きを与える趣旨になっていると思えます。

もちろん、政策立案には日弁連としても関与しているのでしょうから、日弁連の公式見解として、法務省や文科省と足並みをそろえるという意味合いでということですが、おおむねこの方向で制度の改革が進んでいくのでしょうね。

ただ、内容を見ると、ひとつひとつは納得できるものが多いです。法科大学院生の立場から問題なのは、自分が属している法科大学院が提言内容を実現できる体制をもっているかという不安でしょうか。

桐蔭は成績評価の厳格化を行うことを決定していますが、厳格化に耐えられるような教育システムの構築も焦眉の急であるように思えます。

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