LHFトーク"GONDLA"

LHFの二人のだらだらトーク。

たみおのしあわせ

2009年06月29日 | 過去の記事
監督・岩松了、主演・オダギリジョー、そして麻生久美子。『時効警察』のファンとしては劇場公開の段階で気にはなっていたのだが、先日やっとDVDをレンタルをして観ることができた。序盤に江口のりこが出てきたり、『時効警察』の監督の三木聡がビックリ出演していたりと、『時効警察』を知ってる人はちょっとニヤニヤしてしまうんじゃないかと思う。

ストーリーとしては、数々のお見合いを断り続けている、たみお(オダギリジョー)とそのたみおに結婚して欲しい父親(原田芳雄)。その中でお見合い相手の瞳(麻生久美子)とついに結婚することに。しかし瞳はどこか死んだ母親に似ていて、ラストはついに結婚式が行われるが…みたいな感じ。

評価を見てみると賛否両論みたい。いや、どちらかと言えば否定的な意見のほうが多いのかな。まあそっちの意見はというと「意味が分からない」とか「まとまってない」とか。まあその通りだとも思う。おれも色々考えたけど、結局何が言いたいのかはよくわかんない。ラストもちょっとびっくりなんだけど、それも「なんで!?」って感じ。だからまあ意味を求めてしまうとちょっと映画に逃げられちゃうような気がする。いや、意味はあるんだろうけどさ。

でも観ててなんか面白かったんだよね。観てる間はなんだかけっこうワクワクして。ラストまで大きな何かが起こるわけではないんだけど、そこまで退屈にもならなかったし。なんか“爆発する前の爆弾”をずっと見せられてる感じ。「うわー、これ最後どうなんの?」って思ってて。そんで結局最後に期待通りに爆発するんだけど。だから意味は分からなかったけど、そこまで不満はなかった。予想を超える爆発ではあったから。まあそれが予想とかそういうのを超えすぎたっていうのが否定の方に繋がっていくんだとも思うんだけど。

この映画に付けられたキャッチは「結婚しても、しなくても、どのみち君は後悔することになる」というソクラテスの言葉。そう考えるとまあ“結婚と幸せ”っていうのがひとつの映画のテーマではあるのかな。“たみおの結婚”までの物語ではあるんだけど、映画の中では、たみおの周りを描いた描写が多い。父親の恋愛だったり、近所の人たちの不倫だったり。小林薫が演じるトオルおじさんが近所の人たちの不倫を援助するようなことをするんだけど、その中で世間の目を気にして不倫をする人たちに「弱者」っていう言葉を投げる。“結婚”に縛られて、自由に恋愛することもままならない人たちに向けて。つまり“結婚”という100%幸せなものだと思われているものの中にある“不純物”を彼らを通して描いている。それがたみおの“結婚”の横に置くことで、たみおは果たして幸せになれるのかということを問いかけてるのかな。

ラストはとにかくビックリします。その裏にかかってる音楽がちょっとコメディっぽい。まあ「やってやったぜ!」っていうのが監督の中にあるんだと思う。つまりあの時のたみおと父親が監督で、追いかける親族がおれたち観客なのかな。あの時たみおが落とす花を親族は踏んじゃう。つーことは「追いかけるだけじゃなくて、落とした花を見てくれよ」っていうメッセージがなんとなくあるような気がする。だからたぶんストーリーの意味は囮なんだよね。それよりもなんとなく作品の匂いを感じてくれっていう。

うん、だからメッセージが強い映画ではないけど、おれは面白いと思います。でもひとつ思うのは、“結婚”ってそれでも幸せなことだと思う。いやそれは“結婚”もいいことばかりじゃないってことも含めた上で、なんとなくやっぱり羨ましいものではあるよ。


最新の画像もっと見る