静かな場所

音楽を聴きつつ自分のため家族のために「今、できることをする」日々を重ねていきたいと願っています。

第31回伊勢管弦楽団定期演奏会

2012年05月22日 23時09分01秒 | コンサート
今回、いつも仲良くしていただいているぱんださんをお誘いし、彼の車に乗せて頂いて聴いてきました。



伊勢管弦楽団第31回定期演奏会

モーツァルト/交響曲第39番

ビゼー/「アルルの女」より
前奏曲~メロドラマ~牧歌~メヌエット~カリヨン(鐘)~
アダージェット~ファランドール~メロドラマ~フィナーレ

ラヴェル/「ダフニスとクロエ」より
第2部後半および第3部(夜明け~無言劇~全員の踊り)

フォーレ/ラシーヌの雅歌(アンコール)


語り:徳田あかね(ビゼー)


合唱:やちまた混声合唱団、カンマーコール伊勢、ヴォーカルアンサンブルEST、合唱団「うたおに」


管弦楽:伊勢管弦楽団



指揮:大谷正人



2012年5月20日(日)  14時開演

三重県文化会館大ホール





 モーツァルトは対向(両翼)配置。ティンパニはバロック・ティンパニを意識したかのような硬質のマレットを使用していた。前日の夜更かしがたたって、第2楽章から第3楽章の途中にかけて意識が飛んだ(ごめんなさい!)。したがって、この悲しいまでに澄み切った晩秋の青い空と白い雲のようなモーツァルトを、雲間に見え隠れする日食を見るように聴いたのだった。

 2曲目のビゼーからは編成も大きくなり、気のせいか団員さんたちのやる気も倍加したかのように思え、こっちも、しっかり聴かせていただいた。「アルルの女」は、ずっと組曲で聴いてきて、それこそ子どもの頃から耳馴染みなのだが、今回、本来の劇の順に並べ直し(だから、あの有名な「メヌエット」は入っていない)、朗読にてストーリーを追いながらの演奏は、この曲の、今までに聴いたこともない隠された正体を聴くような、鳥肌が立つような経験だった。その、カルメンとよく似た陰鬱で悲劇的なストーリーや作曲者の生涯との関連についてはこちら(伊勢管HP「指揮者の部屋」)を読んで下さい。
 こうやって聴くと、あのファランドールの熱狂が、まるで悲劇の終幕に向かう主人公の狂気の内なる高まりと重なって、ある種の恐ろしささえ感じさせるから不思議。また、組曲では、なんとなく勝手に「イマイチ、落ち着かん曲やなぁ」って感じてた曲が、見事に場面場面の情景描写と潜在的な心理描写を為しえていることに驚く。ビゼーって、やっぱり天才だったのだ。
 あっ、語りの徳田さん、見事でした。

 最後のラヴェルは圧巻。
 第2部の後半から始まって、第3部の最後までを演奏した。この曲は、何年も前から「いつかはやる」と目標にしていたかと思う。今回、それが実現したのだ。
 どんな細かな音にも心が込め切られていて、その命を賭けたような瞬間の連続に心底圧倒された。
 夜明けのクレッシェンド、あの太陽がしだいに姿を現す場面の高揚感。
 あちこちの、様々な難所に食らい付き、炎を発してクリアしていく様は、これがオーケストラの演奏会なのか、と思うほどの興奮を呼ぶ。
 ステージは照明の反射以上に輝いて見えた。音が光っていると思えた。
「全員の踊り」が信じられないほどのニュアンスに彩られ、振幅の大きな波動の繰り返しに揺さぶられた。
・・・などなど、いろいろ書いても、どうも、あの感動を書けない。
 今回も最後は涙腺直撃。
 居眠りに始まり涙で終わったコンサートだった。

 伊勢管と大谷さんは、いつもこうして、何か大きなものを心に残してくれるのだ。
 今回は、合唱で馴染みの顔もたくさんステージに立っていた。
 ご苦労様。
 素晴らしいステージでした。

 アンコールにフォーレの「ラシーヌの雅歌」が演奏された。
 高校の時、合唱コンクールの選択曲のひとつだったが、練習したもののフランス語が難しく結局は他曲に変更した、あの名曲。暖かく血の通った弦の響きと程よく脱力した合唱が、こっちの心を浄化していった。

 去年の定期のマーラー9番も素晴らしかったが、今回もひけをとらない素晴らしさ。伊勢管は、ここ3年ほどで、それ以前とは別物かと思うくらいの飛躍を成し遂げていると思う。今後も期待している。


・・・書くべき言葉、文が見つからないままに、とりあえず書きました。また直すかも知れません。






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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
すばらしかったです (ぱんだ)
2012-05-23 17:04:35
アルルの女は時々聞いていた曲でしたが
あのような悲劇なストーリーなんて思いもせず聞いていました。

今回のナレーションの入ったプログラムは私のような者には
本当に音楽を楽しめる良い企画だと思います。
これからアルルの女を聞くと今までとは違った感覚で聞いてしまいそうです。

ラベルのは、本当に圧巻と感動としか言いようが無かったです。
親父りゅうさんのブログを見て
またあの時の感動がよみがえってきました。
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>ぱんださん (親父りゅう)
2012-05-23 17:56:34
感動を共有できて本当に良かったです。
「アルルの女」は、私も新鮮な発見でした。

ぱんださん、新日フィルでも存分に楽しんできて下さい。
ハーディングですか、いいですね。
私は、まだ実演では聴いたことがない人気指揮者です。
きっと、また違う感動があると思いますよ。
CD、用意しときますね。

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