静かな場所

音楽を聴きつつ自分のため家族のために「今、できることをする」日々を重ねていきたいと願っています。

子どもの本屋はメリー・ゴーランド

2006年08月28日 00時14分25秒 | 
最近読んだ本のこと。
 「子どもの本屋はメリーゴーランド」(増田喜昭著,晶文社刊)
著者は 児童書専門店の店主。単なる書店ではなく、子ども達や市民のために広く活動されています。詳しくはリンク先のHPを参照してください。

この本には読書の愉しみ、子どもの発想や行動のすばらしさが溢れています。
保育園から高等学校、市民講座まで、著者から「本」の魅力を聞いた人は、みな読書好きになってしまうようです。
楽しいエピソードや魅力的な言葉もいっぱい。
たとえば・・・
絵本の紹介で訪れた保育園で、肝心の絵本を忘れてきたことに気付き、とっさに駐車場で拾った石っころとの対話で持ち時間をごまかした話とか、小学校のときに勧められたエンデの「はてしない物語」を10年ぶりに読んだ青年が突然バイクでやって来て、こんどは「モモ」を買いにきた話。
「本は買うだけでいいのです。決してあわてて読まなくても・・・・。」と言ってみたり、店内の本に「このほんは、ぜひ立ち読みしてください」という紙を乗せておいたり・・・。
高校生に「本の話」をしたとき、剣術武芸の本を採り上げ「・・・かなりエッチだけど、君たちにはかなりむずかしいので読まなくてもいいからね。」と言ったら、翌日、たくさんの高校生が買いに来た話。


まだまだ、ありますが、あとはご自身で読まれてはいかがでしょう。
あと二つだけ紹介したいところがあります。

一つは、著者が「ぼくの宝物の一冊」という「お話を運んだ馬」の中のセリフ・・・・
「きょう、わたしたちは生きている、しかし、あしたになったら、きょうという日は物語に変わる。世界ぜんたいが、人間の生活のすべてが、ひとつの長い物語なのさ」


もう一つは、「ながーいあとがき」から・・・・。少し長いけど、引用させていただきます。
(ある日、過労で倒れた著者は沖縄の灰谷健次郎氏宅でしばらく静養する。そして、ほぼ快復して帰りの飛行機内で娘さんからの手紙を読む。その手紙の文面・・・)


むずかしい本よんでも、オモシロクない体操やっても
考え込んでもだめですよ。もちろん薬のんでも。

お父さんに必要なのは五つの銅貨(※)です。
ゆうがにとぶ蝶です。
子どもの目がじっとみつめるものです。

むずかしい問題の答えは、単純なものの中にあると
知っているでしょう?

心は言葉にできません。ましてや文章にもできません。
でも映画や、絵や、詩に、それを感じることが
できるでしょう?

お父さんがどうしてこういう仕事をしているのか?
きっとそういうことでしょう?厚い本を書く学者と同じか
それ以上のことを、絵本を読む子どもは
知っているし、感じているでしょ?
(後略)


※映画「五つの銅貨」・・・著者は沖縄から帰る前夜、この昔なつかしい映画を娘さんと一緒に観たのでした。
このエントリ某表ブログと同一記事御免!

子どもの本屋はメリー・メリーゴーランド

晶文社

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