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■「日本人と英語」を考えてゆくブログ

地面を泳ぎたい

2008年05月08日 | 記事
 
泳ぎに行きましょう

 生徒の間違いをどのように考えるべきでしょうか。be動詞の変化の間違いや三単現のsの間違いなどは学習者の勉強不足として片付けられるとしても、日本語表現から英語表現を類推した際に起こる間違いは致し方ない部分もあるのではないでしょうか。生徒に英作文をさせてみると、ごく基本的な英語のルールをも無視した英文を作ったりします。live in Japanとするべきところをlive Japanとしたり、He died of cancer.とすべきところをHe was died of cancer.としたりします。意味と文法が結びついていない証拠が英作文には現れます。しかし日本語表現を英文に置き換えてみた時に起きる次のような間違いはどうでしょうか。つい最近も私の生徒の一人が同じミスをしました。

「海に泳ぎに行きましょう。」の意味で次のように前置詞の選択を間違える。

(×)Let's go swimming to the sea.
(○)Let's go swimming in the sea.

 「学校に行く」はgo to schoolだし、「駅に行く」はgo to the stationじゃないか。じゃあ、「海に泳ぎに行く」はgo swimming to the seaだろうという考えは一定の論理を形成しています。このようなとき、一つの説明としては「『~しに行く』という意味を表すgo ~ingの後に場所が来るときには~ingの動詞に前置詞を合わせる」というものがあります。go skiing to Hokkaidoではなく、skiing in Hokkaidoだというときも、go camping to the mountainsではなくgo camping in the mountainsだというときもこの説明は利用できます。go shopping to the storeではなく、go shopping at the storeであるというときも使えます。

go walking 「散歩に行く」
go dancing 「踊りに行く」
go fishing 「釣りに行く」
go hiking 「ハイキングに行く」
go skating 「スケートに行く」
go snowboarding 「スノーボードに行く」

 しかしここに持ってゆくための説明が必要な場合もあります。そのようなときはまずは注意を引くために挑戦的な語りをすることです。注意を引くための説明としてはgo swimming to the seaという英語を言う生徒に「できるもんならやってみなっ」と言い放つことです。生徒は「?」と思ってこの英語が何を意味するのか考えるはずです。何がおかしいのか、なぜ先生は「できるものならやってみろ」と言っているのかを考えるはずです。あるいは挑発的な別の説明としては黒板に2つの英文を書いて「どっちがあり得る英文か?」と問いかけることです。

Let's go swimming to the sea.
Let's go swimming in the sea.

 「ありえる」「ありえない」の2者択一なので説明としてはとてもシンプルであり、理解のしやすい提示です。swim in the seaが「ありえる」のは「海で泳ぐ」からであり、swim to the seaが「ありえない」のは「海まで泳ぐ」からだという説明は「うんうん」と納得のいくものではないかと思います。「できるものなら海まで泳いで行ってみろ」というわけです。海で泳ぐのではなくて、海まで泳いで行くには・・・。

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