フツーの見方

フツーの論理で考えれば当然だと思うことが、なぜかマスコミでは出てこない。そんな意見を書き残しておきたいと考えてます。

その後のマスゴミ

2010-04-03 | Weblog

 惰性でTVをつけていたら NHKでマスメディアの未来を憂える討論番組がやってました。全然マークしてなかったのでホントに偶然ですが、blogの記事とも関連しそうなので一応視聴しました。
 新興ネット企業のトップとネットビジネスについて到底理解しているとは思えない新聞の古株ではまともに議論がかみ合わう訳もなく、記者クラブによる情報カルテルで報道が均質化し、相互批判もしない、といったマスゴミの真の問題点を議題に上げる訳もなく、まぁ残念な結果(究明も提言もナシ)になったのは仕方がないでしょう。とりあえず NHKに特番をやらせたというだけでもネット世論の効果でしょうか。
 どこまで本気かは不明ですが、危機感を持ち始めたのなら良いことです。まず自分に問題があると気付かなければ改善もありませんからね。

放送記念日特集
激震 マスメディア ~テレビ・新聞の未来~ (NHK)2010年3月22日(月)

http://www.nhk.or.jp/special/onair/100322.html

【テレビ】3/22(月)NHK総合でテレビ・新聞の未来に関する討論番組…ネットの爆発的普及で、若者を中心としたテレビ離れ・新聞離れが懸念
http://blog.livedoor.jp/video_news/archives/1346761.html

 上の Netの匿名意見の方が見事なフォローですね。

 また何となくTVを付けていたら、 3/27 TV東京「奪われた17年半~足利事件の“罪”~」という番組もたまたま観てしまいました。やはり問題意識を持っていると情報にぶつかる機会も増えるのでしょう。

http://www.tv-tokyo.co.jp/contents/newtitle/2010/03/053027.html

 これは当然過去の報道に対する検証番組か、と期待したのですが…。
 結局マスゴミ報道側の問題解明もなく、冤罪の構図に対する踏み込みもなく、何が言いたかったのか全く意図不明なものでした。土曜の昼間、ほとんど宣伝もないようだし、局としてのヤル気も感じられない。
 時々映し出された取材メモがリアルなので、報道側もどういう情報をどこから得て菅家氏がクロだという確証を得たのか、その辺りのメモを見せてくれれば参考になったのに…。おそらく記者クラブからの情報だから出せない、ということなんだろうね。
 と言うわけであまり中味のない菅家氏の近況だけでした。途中の展開から邪推すると、拘置所を見て怒りに震えるとか墓参りをさせて涙ぐむ(絵になる)シーンでも撮りたいという狙いだったのか。
 それでも映像ならでは、菅家氏のリアルな表情やしゃべり方から語らない想いが伝わるという感はありました。本当にフツーのどこにでもいるオッサンという印象でした。それが検察垂れ流し報道で極悪人のイメージを作り上げられ、一家離散した訳です。
 まぁ、ニュース以外では全く“その後”に触れようともしない他の民放マスゴミよりは100倍マシでしょうか。無罪になったことで自分たちの誤報の罪を忘れ去ろうとしているのか。日本にはジャーナリズムは存在しないのか。

4/2 警察&検察の自己総括が発表されました。これ自体異例のことなので一歩前進という気はしますが内容はほとんど予想通りの言い逃れと言った感じでしょうか。当然、菅家氏が訴えた“暴力行為”は認めていません。

足利事件 警察庁・最高検が総括 「DNA型鑑定 過大評価」 (産経新聞)2010年4月2日
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100402-00000048-san-soci
 警察庁は「犯人でなければ重要凶悪事件を自供するはずがない」との思いこみから、「(取調官が)期待する供述が得られるまで繰り返し質問したりする取り調べが虚偽供述につながった」と結論づけた。最高検も「(秘密の暴露などの)客観証拠による裏付けが得られなかったのは、菅家氏が真犯人ではなく、虚偽自白をしているからではないかといった点からの検討が必要だった」と総括した。

裏付け不足…「DNA型鑑定を過大評価」 警察庁、足利事件の捜査検証結果発表 (産経新聞)2010年4月1日
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100401-00000545-san-soci

地方紙の方が詳しいです。地方紙も簡単にサーチできるのはインターネットのおかげですね。

「DNA鑑定 過大評価」 警察、検察が足利事件検証 (下野新聞 SOON)4月2日
http://www.shimotsuke.co.jp/special/ashikaga-jiken/20100402/303827

 しかし、何度も「やってない」という自供を無視し、精神的拷問にかけておいてよく言うもんですね。虚偽供述とか菅家さんの性格への留意が欠如していた、なんて完全に責任押しつけの表現です。気が弱くて嘘を付いたのを見抜けなかった事(だけ)が失敗というニュアンスです。しかも、これに乗じて 「適正捜査推進管理官」(既設) なんて無駄な役職を増やしている。内輪で監視して何になるのか。
 自白の信用性なんていくら心理学者(御用学者)を連れてきても他人の心の中までは分りっこありません。最低限、無茶な取り調べで強要等はしていないという証明のために録画を残す、と言う方が論理的な結論でしょう。
 そして裁判では自白そのものは証拠と認めない とすれば解決する話です。
探したら地方版のニュースで近いコメントがありました。

足利事件:検証報告書 「自白のみ求め」 県警が責任に言及 /栃木 (産経新聞)2010年4月2日
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100402-00000098-mailo-l09
 氷見・志布志・足利事件の共通項として、「虚偽自白」が挙げられる。村岡教授は、これまでの警察・検察の捜査報告書が「あたかも虚偽自白をした側に問題があったかのような分析」と批判。足利事件の報告書については「警察の捜査が虚偽自白に追い込んだ」と責任を明文化した点で、「視点の切り替えが行われており、一歩前進した」と評価する。
(中略)
 だが一方、「一度(容疑者が)黒だと判断したら、それを覆せない不動の岩盤のような警察の体質を変えるのは容易でない」と指摘。再発防止策が取り調べの適正化や高度化に重きを置いている点にも懸念を示す。報告書は「客観証拠に基づいた捜査力の向上」を掲げ、証拠に占める「自白」のウエートを下げることをにおわせているが、「自白が証拠の王様という信仰は根強い」と述べる。
 代用監獄が廃止され、全面可視化(録音・録画)が実現したとしても、「自白は客観証拠を補完するだけのものであるべきだ。それは世界的なすう勢」と強調する。

 次は、警察&検察発表を検証もせずに(ここが報道の仕事だろう)そのまま流し続けたマスゴミも自己総括して欲しいものです。果たして何社がやるでしょうか。

【4/5追記】

 4/4の東京新聞社説で「新聞やテレビへの世論の激しい反発」があったことを明記していたので紹介します。
 “社説”で書いた以上、これまで大手新聞紙面ではほとんど載ったことがない“批判意見”が多数あった事を公式に認めた見解と見て良いのでしょうかね。とは言っても相変らず弁明ばかりで、どこが問題(新聞の敗北)だったのか具体的な総括にはなっていないので道は遠い。

週のはじめに考える 権力監視と未来の提言 (東京新聞)2010年4月4日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2010040402000072.html
 メディアにとってことし最大の事件は、民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる検察捜査とこれを報道した新聞やテレビへの世論の激しい反発と批判でした。
(中略)
 確かに政治資金規正法は罰則が禁固五年以下で、形式的とも軽微な法律ともいえません。しかし、核心の陸山会の四億円の土地購入資金が小沢幹事長の記者会見での説明通りの家族名義の私的資金だったとしたら、現職衆院議員を逮捕して罰するほどの悪質性があるかどうかは疑問です。
 購入資金のなかにゼネコンからの裏献金や水谷建設役員が供述したとされる一億円のヤミ献金が混じっていてこそ特捜部捜査の公正、公平の大義が保てるというものです。メディアに公判を検証する義務が残りました。
(中略)
 権力との関係で新聞の敗北の歴史は少なくありません。情報操作の危険性を自覚しつつ、取材力を磨き、見識を高めていくしかありません。それが汲(く)むべき教訓でしょう。わたしたちは何より読者に情報の「真実」を伝えなければならないからです。

 ということで、公判の検証は是非ともやって欲しいものです。どれほど重罪に問えるだけの証拠があったのか興味深い所です。
 報道に問題があった点を曖昧ながら認めたのは一歩前進ですが、改善策がいかにも取って付けた精神論だけで具体性を欠くのは情けない限り。最後は唐突に話題転換されているし。社を代表する論説にしては文章もお粗末…ワザと分りづらくしてるのか?

※冤罪報道の罪を追究したルポルタージュ記事が見つかったので参考に揚げておきます。

検証・甲山事件報道 思い込みで作られた「犯人視」
 警察と一体化する報道の罪 (大岡みなみ(=池添徳明))1999年
http://www2.tky.3web.ne.jp/~norin/kabutoyama.html

コメント
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