子供の頃は、この花火の音を聞くと、学校に行っている間もそわそわしていた気がする。
大人になってからも、この音で、ああ夏が来たなという気分になった。
ところが、昨日の朝は静かだった。
ネットで検索すると、1件だけ「2020年の初山は中止」の記事があった。
それを確かめるため、富士見町の浅間神社へ行ってみた。
浅間神社はひっそりとし、境内には数台の車と数人の人の姿があるだけだった。
この神社は国道16号の直ぐ脇にある。
歩道橋の上から神社前の道路を見ると、いつもの通りの様子である。
例年だと、この道路の両側に露店が並び、先の交差点の近くまで伸びる。
さらに先に仙波氷川神社があるが、その境内も露店商の車で埋まってしまう。
いつだったか忘れたが、たまたま祭り当日にこの道をとおった時に、その盛況ぶりを見たことがる。
西側の石鳥居の方へ廻ってみると、先ほど見えたベンチに座る人と車の傍の人しかいない。
社務所の前の車は神職のもので、ちょうど帰るところのようだった。
神職がいるということは、何らかの行事が行われているはずである。
社務所の横には、自転車も並んでいた。
先ほど上から見た石鳥居の外から、改めて中を見る。
塚(古墳)に上る階段は封鎖されているように見えた。
石段脇の手水鉢の両側には笹がたてられ、階段下には「ご参拝 順路→」の札が掛かっていた。
石段の上を見上げると、社殿に灯りがつき、人の気配があった。
順路に従って、右手の女坂を上る。
石段の途中から、社殿に人がいるのが見えた。
石段を上りきり、社殿の裏に回る。
そこには、富士の火口を模した穴があり、中には御賽銭が投げ込まれていた。
こどもの頃は大きな穴だと思っていたが、今では小さく感じられる。
社殿の周囲の戸は取り払われ、中には灯りがつき、何か作業をする人達の姿があった。
何人か参拝する人もいて、御賽銭を投げて祈っていた。
しかし、この状態では、御祈りする人には違和感があっただろう。
石段側は、紅白の縄で遮られていた。
ちょうどその下を歩く人の姿が見えた。
子供の頃の記憶では、露店の灯りで明るくなった境内に、セミの鳴き声がしていた。
梅雨明けが早ければ、もうニイニイゼミが鳴いてもおかしくはない。
今年は長い梅雨で、セミの声はまったくない。
子供の頃は楽しい思い出があるが、大人になると、毎年気にはなるが足が遠のいていた。
祭りが行われている時は来ないで、中止の時だけ来るとはどういう積りなのか、自分でも良く分からない。