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荻原浩 「それでも空は青い」 読了

2024年03月24日 20時21分48秒 | 読書
こんばんは、ジニーです。

春分の日も過ぎましたが、寒い日が続きなかなか春を感じにくいですね。

さて、読書感想のお時間。
今回は荻原浩さんの「それでも空は青い」です。

本作は7つの短編がつづられている短編集です。
「一緒にいたい人がいる」をテーマにいろんなシチュエーションの、いろんな主人公が登場します。
恋愛もあれば友情もあり、家族間の関係のものもあります。
それだけに広く共感を得やすい作品かもしれませんね。

収録されているのは以下の7作。

■スピードキング
プロ野球選手になった友人の訃報が届いたこときっかけに共に過ごした学生時代から今までを振り返る主人公の話。
最後にちょっとしたどんでん返しがあって驚きました。

■妖精たちの時間
クラス中の視線を奪った転校生。彼女は「妖精が見える」らしい。
舞台は同窓会なのですが、彼女はこれまで一度も同窓会に顔を出したことはなかった、しかし20周年を記念する今回は会に参加していた・・・。

■あなたによく似た機械
「ああ」とか「うん」とかしか言わない夫を持つ妻。
そんな夫にロボットなのではないかと疑念を抱くようになり、夫が仕事に出た時間を利用してその証拠を探し始めるが。

■僕と彼女と牛男のレシピ
7歳年上のバツイチの恋人をもつ僕。
この恋には牛男という壁があり、その壁をクリアしようとする奮闘劇。

■君を守るために、
飼い犬にメロメロなOLが主人公の物語。
あまりにも愛しすぎて仕事中にも顔が見えるように部屋に置いたカメラに知らない人間の足が映り込んでいた。
異常事態に社内の同僚に助けを求めた後に意外な出来事が起こる。

■ダブルトラブルブッキング
双子の書記のような作風の物語。
ずっと一緒に過ごしてきた双子が、どのようにして困難を脱してきたのか。

■人生はパイナップル
「パイナップルは嫌いだ」という祖父を持つ主人公の物語。
祖父と過ごした10数年間をキャッチボールを通してつづられたとある家族の絆。

どれもこれも面白い作品でしたが、中でも欲に好きなのは「僕と彼女と牛男」と「君を守るために、」です。
前者はどこかお仕事小説のような側面もあり、仕事と恋と牛男に奔走する主人公の純真さと一生懸命さがずっとあって、思わず応援したくなる内容でした。
後者はちょっとホラー要素があるのですが、なんともポップな作品で、思わず笑ってしまう場面も。
ホラーってこんなに面白くかけるんだ、なんて感動もありました。


すべての物語には前述のとおり「一緒にいたい人がいる」というテーマがあり、そこにはいろんな形のやり取りがあるのですが、そこにはやはりいろんな形のコミュニケーション方法がありました。
それは時にキャッチボールであり、時にはお酒であり、時には現世への未練であり。
でもそこでしか生まれないコミュニケーションには誰にも言えない秘密が何気なく込められていたりしていて侮れません。

でも視点を変えてみると僕らの生活もいろんなコミュニケーションとそれを行うツールとがあって成り立っていて。
こういったコミュニケーションを通して相手を知っていっています。
誰かとつながっているということは、普段あまり気にすることは少ないかもしれませんが、とても大切なことなのだと思い出させてもらえるような作品でした。

「それでも空は青い」。
とてもいいタイトルですよね。
人の数だけ、人生があり悩みや喜びもありますが、どんな時もどんな人も見上げれば同じ空がある。
タイトルからもやはりそんな「つながり」を感じられるのは気のせいでしょうか。



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