恐怖日和 ~ホラー小説書いてます~

見よう見まねでホラー小説書いてます。
たまにグロ等閲覧注意あり

山路譚【きょうも山道を走るのだ・3】

2021-03-08 11:39:28 | 山路譚




 山道をよくドライブする。
 昼間でも深夜でも、どこの山道を通っていても今まで怪異に出会ったことはない。
 だが、「ん?」というようなことは多々ある。気のせい、目の錯覚、そう言ってしまえばそれまでだが、さっきのは何だったのだろうと後々まで気になって仕方ない。あの時あの場で確かめておけばよかったと後悔するが、もしそうしていたら無事では済まない怪異に出会っていたかもしれない。
 ドライブコースのほとんどが心霊スポットと呼ばれる場所のある地域を通る。知って通っていたわけでなく、後になってそこがそう呼ばれていると知るのだが、すぐそばを通っていたと思うと感慨深い。
 だからと言って、明らかな怪異に出会うことはないだろうが。

               *

 山中には殺人事件の遺体遺棄現場もあり――後に心霊スポットになっている――やはりこれも知っていて走るわけでなく、こちらのほうのドライブコースに遺体を遺棄する事件が発生するのだ。山中はいろんな意味で怖い場所だと痛感する。
 だが、ドライブし始めた頃は狭く険しかった山道も今や広くきれいに整備されずいぶん走りやすくなった。その分、怪しさは薄れた。
 最近、家の近くで今までいなかったカラスを見かける。付近の自然が開発され消えてなくなったからだろう。
 深い山も開発され、畏怖が消えた時、追われた怪異が街に流出するのはもうすぐかもしれない。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿